兄と弟
夕暮れ。
木ノ葉の修練場。
風が木々を揺らしていた。
一人の少年が立っている。
うちはサスケ
その拳は固く握られていた。
地面には無数の苦無。
投げつけた跡。
だが。
どれも狙いが荒い。
「くそ……!」
苦無を掴み、また投げる。
木に突き刺さる。
だが深くは入らない。
サスケの呼吸は乱れていた。
頭の中に浮かぶのは一つの名前。
うちはイタチ
兄。
尊敬していた存在。
だが今は。
抜け忍。
木ノ葉を裏切った男。
サスケの拳が震える。
「なんでだ……」
その時。
後ろから声がした。
「力みすぎだ」
振り返る。
そこに立っていたのは――
うちはオビト
サスケは眉をひそめる。
「……何だよ」
オビトは木に刺さった苦無を見る。
「全部浅い」
「腕は悪くない」
「でも今の投げ方じゃ当たっても殺せない」
サスケの目が鋭くなる。
「……別に」
「お前に教わるつもりはない」
オビトは肩をすくめた。
「そうか」
少し沈黙。
風が吹く。
サスケが言う。
「……知ってたのか」
オビトは聞き返す。
「何を」
サスケの声が低くなる。
「兄さんのことだ」
沈黙。
オビトは答えない。
サスケは続ける。
「里じゃみんな言ってる」
「抜け忍」
「裏切り者」
「暁」
その言葉を吐き出すように言う。
「ふざけんな……」
サスケの拳が震える。
「兄さんがそんなことするわけない」
だが。
その言葉はどこか弱い。
自分でも信じきれていない。
オビトは静かに見ていた。
何も言わない。
サスケが叫ぶ。
「……でも」
「実際そうなんだろ!」
その声には怒りと混乱が混ざっていた。
沈黙。
やがてオビトが言う。
「サスケ」
サスケが睨む。
「何だ」
オビトは少しだけ考える。
だが。
真実は言えない。
だから。
違う言葉を選ぶ。
「……もし」
「本当に裏切ってたら」
サスケの瞳が揺れる。
オビトは続ける。
「お前はどうする」
サスケは即答した。
「殺す」
迷いはない。
「俺が」
「兄さんを殺す」
風が吹く。
オビトはしばらく黙っていた。
そして言う。
「……そうか」
サスケは苦無を拾う。
「それしかない」
「うちはの恥だ」
オビトは小さく息を吐いた。
そして言う。
「なら」
サスケが見る。
オビトは静かに言った。
「強くなれ」
短い言葉。
だが重い。
サスケの目が細くなる。
オビトは続ける。
「今のお前じゃ」
「イタチには届かない」
その名を聞いた瞬間。
サスケの目が燃える。
「……分かってる」
オビトは背を向けた。
歩き出す。
サスケが聞く。
「おい」
オビトは止まらない。
サスケが言う。
「お前はどう思ってる」
「兄さんのこと」
沈黙。
数歩歩いて。
オビトは言った。
「……さあな」
振り返らない。
「でも」
「簡単な男じゃない」
それだけ言って。
オビトは去っていく。
残されたサスケは拳を握る。
夕焼けの中。
その瞳に映るのはただ一つ。
兄の影。
うちはイタチ
その存在が。
サスケの運命を大きく動かし始めていた
木ノ葉の修練場。
風が木々を揺らしていた。
一人の少年が立っている。
うちはサスケ
その拳は固く握られていた。
地面には無数の苦無。
投げつけた跡。
だが。
どれも狙いが荒い。
「くそ……!」
苦無を掴み、また投げる。
木に突き刺さる。
だが深くは入らない。
サスケの呼吸は乱れていた。
頭の中に浮かぶのは一つの名前。
うちはイタチ
兄。
尊敬していた存在。
だが今は。
抜け忍。
木ノ葉を裏切った男。
サスケの拳が震える。
「なんでだ……」
その時。
後ろから声がした。
「力みすぎだ」
振り返る。
そこに立っていたのは――
うちはオビト
サスケは眉をひそめる。
「……何だよ」
オビトは木に刺さった苦無を見る。
「全部浅い」
「腕は悪くない」
「でも今の投げ方じゃ当たっても殺せない」
サスケの目が鋭くなる。
「……別に」
「お前に教わるつもりはない」
オビトは肩をすくめた。
「そうか」
少し沈黙。
風が吹く。
サスケが言う。
「……知ってたのか」
オビトは聞き返す。
「何を」
サスケの声が低くなる。
「兄さんのことだ」
沈黙。
オビトは答えない。
サスケは続ける。
「里じゃみんな言ってる」
「抜け忍」
「裏切り者」
「暁」
その言葉を吐き出すように言う。
「ふざけんな……」
サスケの拳が震える。
「兄さんがそんなことするわけない」
だが。
その言葉はどこか弱い。
自分でも信じきれていない。
オビトは静かに見ていた。
何も言わない。
サスケが叫ぶ。
「……でも」
「実際そうなんだろ!」
その声には怒りと混乱が混ざっていた。
沈黙。
やがてオビトが言う。
「サスケ」
サスケが睨む。
「何だ」
オビトは少しだけ考える。
だが。
真実は言えない。
だから。
違う言葉を選ぶ。
「……もし」
「本当に裏切ってたら」
サスケの瞳が揺れる。
オビトは続ける。
「お前はどうする」
サスケは即答した。
「殺す」
迷いはない。
「俺が」
「兄さんを殺す」
風が吹く。
オビトはしばらく黙っていた。
そして言う。
「……そうか」
サスケは苦無を拾う。
「それしかない」
「うちはの恥だ」
オビトは小さく息を吐いた。
そして言う。
「なら」
サスケが見る。
オビトは静かに言った。
「強くなれ」
短い言葉。
だが重い。
サスケの目が細くなる。
オビトは続ける。
「今のお前じゃ」
「イタチには届かない」
その名を聞いた瞬間。
サスケの目が燃える。
「……分かってる」
オビトは背を向けた。
歩き出す。
サスケが聞く。
「おい」
オビトは止まらない。
サスケが言う。
「お前はどう思ってる」
「兄さんのこと」
沈黙。
数歩歩いて。
オビトは言った。
「……さあな」
振り返らない。
「でも」
「簡単な男じゃない」
それだけ言って。
オビトは去っていく。
残されたサスケは拳を握る。
夕焼けの中。
その瞳に映るのはただ一つ。
兄の影。
うちはイタチ
その存在が。
サスケの運命を大きく動かし始めていた
【〆栞】