幼稚園
気づけば、四年が経っていた。
早いのか、遅いのかは分からない。
だが確実に、俺はこの世界に慣れていた。
(……まあ、なんとかなるもんだな)
現代生活。
最初は意味不明の連続だったが、今ではある程度理解できる。
車は相変わらず怖いが、危険範囲を把握すれば問題ない。
電車も、乗り物として受け入れた。
スマートフォンは……未だに意味が分からんが、便利なものらしい。
そして今日は――
「オビトー、準備できた?」
(ああ)
初登園日。
幼稚園。
聞いた時は、少しだけ身構えた。
集団行動。
教育機関。
忍界で言うなら、アカデミーに近い。
だが――
(戦うわけじゃねぇしな)
そこまで気負う必要もない。
鏡の前。
自分の姿を見る。
制服。
動きやすい服だ。
派手さはないが、機能的。
その上に――
黄色い帽子。
(……目立つな)
やたらと目立つ。
安全のためらしいが、目立ちすぎだろ。
そして。
ポシェット。
肩から下げる、小さな袋。
(忍具袋みてぇなもんか)
そう考えれば、まあ納得できる。
中には、ハンカチやら何やら。
最低限の装備。
「よし、似合ってるわよ」
綾乃が、満足げに頷く。
「ほんとに」
宗一郎も、腕を組んでうんうん頷く。
「かっこいいな、オビト」
(……そうか?)
正直、よく分からない。
だが、二人が嬉しそうなので否定はしない。
外に出る。
朝の空気。
少し冷たい。
だが、心地いい。
幼稚園へ向かう道。
同じような格好の子どもたちが、ちらほら見える。
(……多いな)
同年代。
同じ装備。
同じ目的地。
集団だ。
(……まあ、なんとかなるだろ)
そう思っていると。
「裏葉くん?」
声。
振り向く。
女性。
優しい顔立ち。
「今日からね、よろしくね」
先生だ。
(……ああ、こいつが指導役か)
自然とそう判断する。
「わんこ組だからね」
(わんこ?)
組の名前か。
忍界とは違う、ゆるい響き。
だが。
「元気いっぱいの子が多いから、きっと楽しいよ」
そう言って笑う。
(……なるほど)
雰囲気は、悪くない。
中に入る。
子どもたち。
走り回る。
叫ぶ。
笑う。
(……うるせぇな)
率直な感想だった。
だが。
嫌ではない。
騒がしいが、危険ではない。
それが分かるだけで、十分だ。
「ねー、あの子」
「かっこよくない?」
小さな声。
視線。
向けられている。
(……なんだ)
理由は分からない。
だが、見られている。
先生たちも、少しだけざわついている。
「背も高いし、顔立ちも整ってるわね」
「将来すごくなりそう」
(……またか)
最近、よく言われる。
イケメン。
整ってる。
そういう評価。
正直、実感はない。
だが。
否定する理由もない。
(まあ、どうでもいいな)
重要なのはそこじゃない。
ここで何をするか。
どう過ごすか。
それだけだ。
ふと。
頭に浮かぶ。
(……そういや)
虎杖悠仁。
あいつは、ここにはいない。
見たことがない。
通っていない。
(まあ、家庭の事情か)
深く考えることでもない。
それぞれの事情がある。
忍界でも同じだ。
視線を戻す。
周囲。
子どもたち。
先生。
空気。
(……悪くねぇ)
結論。
やれそうだ。
騒がしいが、平和。
それだけで、十分だった。
「はい、みんなー!」
先生の声が響く。
「わんこ組、集まってー!」
子どもたちが、集まる。
その中に。
オビトも、自然と混ざる。
新しい環境。
新しい日常。
その中で。
また少しずつ。
世界は、広がっていく。
早いのか、遅いのかは分からない。
だが確実に、俺はこの世界に慣れていた。
(……まあ、なんとかなるもんだな)
現代生活。
最初は意味不明の連続だったが、今ではある程度理解できる。
車は相変わらず怖いが、危険範囲を把握すれば問題ない。
電車も、乗り物として受け入れた。
スマートフォンは……未だに意味が分からんが、便利なものらしい。
そして今日は――
「オビトー、準備できた?」
(ああ)
初登園日。
幼稚園。
聞いた時は、少しだけ身構えた。
集団行動。
教育機関。
忍界で言うなら、アカデミーに近い。
だが――
(戦うわけじゃねぇしな)
そこまで気負う必要もない。
鏡の前。
自分の姿を見る。
制服。
動きやすい服だ。
派手さはないが、機能的。
その上に――
黄色い帽子。
(……目立つな)
やたらと目立つ。
安全のためらしいが、目立ちすぎだろ。
そして。
ポシェット。
肩から下げる、小さな袋。
(忍具袋みてぇなもんか)
そう考えれば、まあ納得できる。
中には、ハンカチやら何やら。
最低限の装備。
「よし、似合ってるわよ」
綾乃が、満足げに頷く。
「ほんとに」
宗一郎も、腕を組んでうんうん頷く。
「かっこいいな、オビト」
(……そうか?)
正直、よく分からない。
だが、二人が嬉しそうなので否定はしない。
外に出る。
朝の空気。
少し冷たい。
だが、心地いい。
幼稚園へ向かう道。
同じような格好の子どもたちが、ちらほら見える。
(……多いな)
同年代。
同じ装備。
同じ目的地。
集団だ。
(……まあ、なんとかなるだろ)
そう思っていると。
「裏葉くん?」
声。
振り向く。
女性。
優しい顔立ち。
「今日からね、よろしくね」
先生だ。
(……ああ、こいつが指導役か)
自然とそう判断する。
「わんこ組だからね」
(わんこ?)
組の名前か。
忍界とは違う、ゆるい響き。
だが。
「元気いっぱいの子が多いから、きっと楽しいよ」
そう言って笑う。
(……なるほど)
雰囲気は、悪くない。
中に入る。
子どもたち。
走り回る。
叫ぶ。
笑う。
(……うるせぇな)
率直な感想だった。
だが。
嫌ではない。
騒がしいが、危険ではない。
それが分かるだけで、十分だ。
「ねー、あの子」
「かっこよくない?」
小さな声。
視線。
向けられている。
(……なんだ)
理由は分からない。
だが、見られている。
先生たちも、少しだけざわついている。
「背も高いし、顔立ちも整ってるわね」
「将来すごくなりそう」
(……またか)
最近、よく言われる。
イケメン。
整ってる。
そういう評価。
正直、実感はない。
だが。
否定する理由もない。
(まあ、どうでもいいな)
重要なのはそこじゃない。
ここで何をするか。
どう過ごすか。
それだけだ。
ふと。
頭に浮かぶ。
(……そういや)
虎杖悠仁。
あいつは、ここにはいない。
見たことがない。
通っていない。
(まあ、家庭の事情か)
深く考えることでもない。
それぞれの事情がある。
忍界でも同じだ。
視線を戻す。
周囲。
子どもたち。
先生。
空気。
(……悪くねぇ)
結論。
やれそうだ。
騒がしいが、平和。
それだけで、十分だった。
「はい、みんなー!」
先生の声が響く。
「わんこ組、集まってー!」
子どもたちが、集まる。
その中に。
オビトも、自然と混ざる。
新しい環境。
新しい日常。
その中で。
また少しずつ。
世界は、広がっていく。
【〆栞】