舐めんなよ
掴まれた腕。
力の入り方が、妙に洗練されている。
逃がさないための位置。
無駄のない圧。
(……なるほどな)
ただの脅しじゃない。
本気で連れていく気だ。
面倒くさいことこの上ない。
「離せって言ってんだろ」
もう一度言う。
声は低く、はっきりと。
だが。
男は動かない。
「抵抗は無意味だ」
淡々とした声。
感情がない。
決めつけるように。
(……ああ、そうかよ)
内心で、小さく笑う。
そういう顔だ。
相手を舐めてる顔。
子供だから。
力もないと思ってる。
逃げられないと思ってる。
(……舐めんなよ)
その瞬間。
体が、動いた。
考えるより先に。
捻る。
掴まれている腕の角度を、ほんの少し変える。
男の指のかかり方がズレる。
同時に。
足を踏み込む。
間合いの内側へ。
(そこだ)
肘。
最短距離で打ち込む。
男の脇腹へ。
「っ……!?」
反応が、遅れる。
一瞬。
その一瞬で、十分だった。
腕が、外れる。
拘束が解ける。
(いける)
そのまま、体を捻る。
重心を落とす。
次の動きへ。
すべてが、繋がる。
淀みなく。
迷いなく。
「――」
男が、距離を取る。
目が、変わる。
さっきまでの無機質な視線じゃない。
明確な警戒。
(……だろうな)
当然だ。
今のは。
ただの子供の動きじゃない。
(……ああ)
内心で、納得する。
これ。
知ってる。
この動き。
この感覚。
(マダラに叩き込まれたやつだ)
前の世界。
戦いの中で。
身体に刻まれたもの。
(……でも)
違和感がある。
この身体は。
今の自分のものだ。
あの頃の体じゃない。
筋肉も。
骨格も。
何もかも違う。
(なのに)
動けた。
思った通りに。
完璧に。
(……なんでだ?)
一瞬、思考がよぎる。
だが。
すぐに、答えに辿り着く。
「……あ」
小さく、息が漏れる。
(そっか)
理解した。
「禪院、か」
ぽつりと呟く。
父の名前。
血。
(……そういうことか)
戦うための体。
動きに適した構造。
それを持っている。
(母さんだけじゃなかったんだな)
引き継いだのは。
血を操る力だけじゃない。
父の側の。
もっと直接的な、“戦うための資質”。
それが。
今の動きを、可能にしている。
(……なるほどな)
納得する。
しっくりくる。
だから――
もう、迷いはない。
視線を上げる。
男を、まっすぐに見る。
「お前さ」
口を開く。
少しだけ、笑う。
「子供だからって、舐めてんだろ」
静かに。
だが、はっきりと。
言い切る。
空気が、張り詰める。
周囲の音が、遠のく。
だが。
怖くはない。
むしろ。
(……いいな)
体が、軽い。
思った通りに動く。
それが、こんなに気持ちいいとは。
「……面白い」
男が、低く呟く。
完全に、認識を変えた。
“対象”から、“敵”へ。
(やっとか)
遅ぇよ。
そう思いながら。
オビトは、ゆっくりと構えた。
もう、逃げる気はない。
だったら――
(ぶっ飛ばすだけだ)
力の入り方が、妙に洗練されている。
逃がさないための位置。
無駄のない圧。
(……なるほどな)
ただの脅しじゃない。
本気で連れていく気だ。
面倒くさいことこの上ない。
「離せって言ってんだろ」
もう一度言う。
声は低く、はっきりと。
だが。
男は動かない。
「抵抗は無意味だ」
淡々とした声。
感情がない。
決めつけるように。
(……ああ、そうかよ)
内心で、小さく笑う。
そういう顔だ。
相手を舐めてる顔。
子供だから。
力もないと思ってる。
逃げられないと思ってる。
(……舐めんなよ)
その瞬間。
体が、動いた。
考えるより先に。
捻る。
掴まれている腕の角度を、ほんの少し変える。
男の指のかかり方がズレる。
同時に。
足を踏み込む。
間合いの内側へ。
(そこだ)
肘。
最短距離で打ち込む。
男の脇腹へ。
「っ……!?」
反応が、遅れる。
一瞬。
その一瞬で、十分だった。
腕が、外れる。
拘束が解ける。
(いける)
そのまま、体を捻る。
重心を落とす。
次の動きへ。
すべてが、繋がる。
淀みなく。
迷いなく。
「――」
男が、距離を取る。
目が、変わる。
さっきまでの無機質な視線じゃない。
明確な警戒。
(……だろうな)
当然だ。
今のは。
ただの子供の動きじゃない。
(……ああ)
内心で、納得する。
これ。
知ってる。
この動き。
この感覚。
(マダラに叩き込まれたやつだ)
前の世界。
戦いの中で。
身体に刻まれたもの。
(……でも)
違和感がある。
この身体は。
今の自分のものだ。
あの頃の体じゃない。
筋肉も。
骨格も。
何もかも違う。
(なのに)
動けた。
思った通りに。
完璧に。
(……なんでだ?)
一瞬、思考がよぎる。
だが。
すぐに、答えに辿り着く。
「……あ」
小さく、息が漏れる。
(そっか)
理解した。
「禪院、か」
ぽつりと呟く。
父の名前。
血。
(……そういうことか)
戦うための体。
動きに適した構造。
それを持っている。
(母さんだけじゃなかったんだな)
引き継いだのは。
血を操る力だけじゃない。
父の側の。
もっと直接的な、“戦うための資質”。
それが。
今の動きを、可能にしている。
(……なるほどな)
納得する。
しっくりくる。
だから――
もう、迷いはない。
視線を上げる。
男を、まっすぐに見る。
「お前さ」
口を開く。
少しだけ、笑う。
「子供だからって、舐めてんだろ」
静かに。
だが、はっきりと。
言い切る。
空気が、張り詰める。
周囲の音が、遠のく。
だが。
怖くはない。
むしろ。
(……いいな)
体が、軽い。
思った通りに動く。
それが、こんなに気持ちいいとは。
「……面白い」
男が、低く呟く。
完全に、認識を変えた。
“対象”から、“敵”へ。
(やっとか)
遅ぇよ。
そう思いながら。
オビトは、ゆっくりと構えた。
もう、逃げる気はない。
だったら――
(ぶっ飛ばすだけだ)
【〆栞】