『似合わないなぁ』

 いきなり何を言い出すんだろうと思ったら似合わないの一言。
 まったく失礼だな……でもきっと名前の言う通りだ、傘をさしながら苦笑した。
 少し前までは曇りだったが、ついに雨が降りだした。名前は天気予報を見てなかったようで、俺の傘に入って帰ることとなった。

「でも、ずっとお前と一緒にいたいと思ってるのは本当だぞ?」
『うん、私もだよ』

 歩く度に肩が軽くぶつかる。
感情が揺らいで、怖くなった。名前が消えてしまうんじゃないかって。
 馬鹿だな……そんなこと、あるはずがないのに。
 急に黙った俺に、横にいる名前は首を傾げた。そして見上げるように俺を見る。
 このままずっと、死ぬまで、死んでも、君と一緒にいたい。そして二人でいつまでも過ごそう。一人じゃできないことも、名前と一緒ならなんだってできる。たとえ行き着く先に幸せが待っていなくても。
 だなんてくさい台詞ばかりが頭に浮かぶ。

『どこだって、私は幸せだよ』
「……え?」
『だって、一緒なんでしょ?』

 おかしいな、俺は声に出していただろうか。
 きょとんとしていると、名前はクスクス笑いだした。
 風丸君の考えていることなんて私にはお見通しなの。
 なんて、そりゃお手上げだな。
 息が出来なくなっても、そうして死がやってきても、君と過ごした日々が形のあるものだから。俺達は、俺は、やっと意味を知ったんだと思う。無くしてきた理由を。それは、出会うための、手に入れるための、俺達の未来。

「大好きだよ」
『私なんて、愛してる』

 とりあえずは笑っているこの瞬間が、たったひとつの形なんだろう。



お前の姉様リクエストありがとうございました(笑
110923

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