端から見たらそこそこ可愛い女の子。今日も元気に庭、じゃなくて校庭を駆け回っている。マネージャーのくせに。
 その理由を答えるのは簡単だ『風丸君タオルだよ!!』
「うわぁぁぁ近付くなぁぁあ!!」

 そう、至ってシンプル。
 凄まじく残念なこの娘が、俺を大好きらしいから。名前は苗字名前。
 さっきも言ったようにそこそこ可愛い。こんな風に突進とかせず、黙っていれば、の話だけどな……。

『なぜ逃げるんだい風丸君!』
「胸に手を当てて自分に聞いてみろ!」
『わかった……あれ、おかしいよ風丸君!!手に胸は当てられない!!』
「逆だ馬鹿! それに頑張れば当てれる!」


 名前と会ってからは一日の半分以上をつっこみに費やしている気さえする。そろそろ喉が疲れてきた。
 はぁ、と溜め息をついたら名前が俺の顔を覗きこんできた。

『どうしたのさ溜め息なんかついちゃってー……あ、わかった! 明日の昼御飯についてでしょ! 大丈夫私が作ってくるから』
「どうしてそうなるんだ、お前じゃないんだからそんな心配はしてない」

 続けてお前のせいだ、と言おうと目を開けたが、言えなかった。想像以上に距離が近い。
 どうしようか、そう思いながら後退る俺にこいつはついてくる。
 ついてくるな間違いなく今の俺真っ赤だから。名前が調子にのっていろいろエスカレートするに決まってる。
 その瞬間、自分の唇に何かが触れた気がした。
 な、え、ええええ!?
 さっきよりも盛大に後退り、口元に手を持っていく。

「お、ま、今……!!」
『ごめん、風丸君が可愛すぎてえへへうへ』

 待てよ俺フ、ファーストキスなんだぞ。
 目の前で凄く嬉しそうに顔を赤くさせて笑う名前とは裏腹に、俺の顔は半分青、半分赤という妙な組み合わせになってしまっている。


はじめまして向日葵様!
リクエストありがとうございました。
110514

ALICE+