「名前! やっと僕と結婚してくれる気になったんだね」
『は、え、何の話』

 いきなり突撃してきてそれはないだろうと思うのだがあぁもう振動で体が痛いっ!
 私に抱きついて耳元で迷惑なくらい大声で叫ぶのは吹雪士郎。私の鼓膜破り隊隊長間違いない。結論から言えば私達は付き合っていない。ついに頭がおかしくなったかなー……いつものことか。
 肩を押して放してもらおうとするがびくともしない。くっそこんなとき男女の力量の差が憎い!!

『はーなーしーて』
「やだ、だって放したら逃げるじゃない」
『あったりまえ私を誰だと思ってんだてめぇ』

 睨み付けて言えば、僕の運命の人と語尾にハートが付きそうなくらい幸せそうに言った。こちとら不幸じゃ。
 いつまでたっても通らない私の意見。それどころかもっと悪化している気さえする。
突然ピタリと動きが止まった。その瞬間太ももに彼の手が這う。

『まてまて何やってるんだお前は』
「何って……ナニがしたいけどここは名前のパンツをおかずに『気持ち悪いわっ!!』

 ひぃぃぃ何言ってんのこいつは!! 吹雪の手に渡ったらどんな姿で帰ってくるか分からんいやむしろ帰ってこないかも……私の可愛いパンツちゃんをそんな危険地帯に放り込めるかお前なんぞに絶対やるものか。
 吹雪を思いっきり蹴り飛ばし、渾身の力で顔面に拳を食らわせた。はずだった。
 ドス、食い込むような鈍い音。勝った、と思ったのは一瞬だけ。後ろからなんか手が伸びてきたんですがー!! え、あれ? じゃあ私が殴ったのは……。

『基山ぁぁぁ!?』

 鼻血を撒き散らして地面とこんにちはをしているいつもよりちょっと赤い基山だった。
 駆け寄りたいが後ろから伸びた手が私を放してくれない吹雪だな、吹雪だろ。

「名前、今は僕に集中してよ」
『私らそんな関係じゃないでしょうが』
「これからそんな関係を作ろうよ」
『絶対嫌』

 すると吹雪は、まるで仕方ない、聞き分けの無い子だ、と言うような目で私を見ながら溜め息を吐いた。吐きたいのはこっちなんですけどね。
 なにその嫌味ったらしい溜め息は、そう言おうとしたら続きが言えなくなった。無理矢理酸素を吸う術を奪われ息ができなくなる。抵抗しようとするが全く意味がない。ついに我慢できなくなり息を吸うため口を開けると、空気じゃなく吹雪の舌が侵入してくる。
 ぎゃぁぁ気持ち悪いぃぃ!
 そっちに集中しすぎて、別の何かが私の身に起きてたなんて気付かなかった。


(けほっ、吹雪おま)
(名前のパンツゲット!)
(は……おいっ、待てぇぇぇ!!)


なこ様、リクエストありがとうございました!
110205

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