『やっほぉぉぉ!!』

 青い海、青い空、さんさんと照りつける太陽……ついに、ついについにサッカーアイランドのアプリコット島に来たよ!

「ライオコット島の間違いだろ」
「馬鹿だねぇ」
『うるっせぇ黙れ』

 いいじゃんかちょっとぐらい間違えたって、アプリコットとライオコット似てるじゃんかよ。コットが、コットが!!
 わざわざ指摘してきた豪炎寺と基山にそう怒鳴ると、ドヤ顔しながら鼻で笑われた。なんだこいつら……ムカつく……!
 わなわな震える私の肩にポンではなくボンと何かが置かれる。というか掛かる。もう一度言うがポンではない、ボンだ。恐る恐る振り向くと綱海が水着姿で「ちょっと持っててくれねぇか? あ、絶対落とすなよ、絶対」とまるで持ってて、ではなく持てと言っているような有無を言わせない笑顔を浮かべながら立っていた。
 なーんだ、やっぱりこいつも円堂属性か。
 少し前から気付きはじめたのだが、綱海も円堂と同じように裏がある。今確信した。綱海達のお腹は真っ黒で私のお先は真っ暗だ。
そのまま海へと走り去っていく綱海を眺めていたら、私と同じような状況の禿げを発見した。

『葡萄ってばだっさ、ププッ』
「俺を葡萄なんかと間違えるお前に言われたかねぇよ」

 か、かんだだけじゃんか……!!
 不動は両肩、首に自分、鬼道、佐久間の荷物を掛けていて、その荷物の主達は既にその場にいなかった。何が入ってるのか知らないがやけに大きい荷物だな。

「知りたいか」
『うわぁぁぁぁ!?』

 いきなり背後からした声にビクッと体が跳ねた。それと同時に佐久間が抱き着いてくる。反動で綱海の荷物を落としかけた。危ない危ない落としたら死ぬ。

「その中には男の秘密が入ってんだよ」
『あぁあれかいわゆるエロ本か』
「なわけないだろう馬鹿かお前は」
「駄目ですよ鬼道さん馬鹿が移ります」
『よーしてめぇら表出ろ』

 もう表には出てるけど言ってみた。まぁ、今の私の格好じゃ説得力も迫力も何もないが。
 結局鬼道も佐久間をずるずる引きずりながら再びどこかへ消えていった。な、なんだったんだ……それに中身がなんなのかわかってないし。もういいやめんどくさい。
 一年組と土方さんが砂浜で走り回っているのをジトリと見る。いいなぁ一年って。純粋で可愛い後輩たち。それに比べて二年組は……汚い汚い汚れまくってる不純過ぎてる。

「誰が“不純過ぎてる”って?」

 目の前をさくさく歩いてきた全体的に中性的すぎる男が苦笑いした。重そうだな、持とうか? と訊いてくる中性的な男こと風丸に感動を覚えた。
 まともなやつがいたよ……よかった……!!
 私は盛大に頷くと風丸に綱海の荷物を渡した。風丸はそれを自分の肩に掛ける。そう言えば、風丸の荷物が見当たらない。

『風丸、荷物は?』
「あぁ、これが俺の荷物だよ」

 そう言って指したのはさっきまで私が持っていたもの。え、それ綱海のじゃないの?

「俺が落としたら殺すって言ったんだ」

 前言撤回。全然まともじゃない。こいつこそ不純の塊だ。
 脅しとかお前汚すぎるぞ自分が重たい目するのは嫌だからって……綱海可哀想だな。だからあんなに落とすなって言ってきたのか。
 まぁ、風丸も女にはこんなことはさせないやつだ。紳士的なのかそうじゃないのかよくわからないが。
 とにかく前で笑い続ける男には逆らわないようにしよう、うん。

「どうでもい、やよくないけど……お前ら五月蝿い」



やけに長引いた。間違えて吹雪君を登場させかけてしまって急いで基山と書きかえたとか…うん。
大分お待たせしましたギャグだと思いたいギャグです、どうぞお納めください。
110220

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