「今日からお前は俺の女だ」

 は?
 そんな言葉しかでてこないような台詞を吐いたのは一週間前のミストレーネ・カルス。ミネストローネと間違えそうな美味しそうな名前をしている私の先輩のような上司のような人だ。
 彼は容姿端麗で文武両道だからとても人気が高い。
 ……が、問題なのはなんでそんな人が私なんかに話しかけたかだ。しかも、俺の女だ、とか……いきなり言われても凄く困る。まぁファンの女の子なら泣いて喜ぶだろうけど。「おい」生憎私は実力やら容姿やらは認めてるがファンではないし、興味すら抱いたこともなかった。
 でも、最近じゃ頭の中がミストレーネ・カルスでいっぱいになっている。これは…なんでだろう。「ナマエ」よくわからない感情に支配されている自分がなんだか嫌になる。
そういえばこの前も女の子からお菓子とか貰ってたな。
 思い出した途端胸がチクリと痛んだ。
だからなんなの……てかまたミストレーネの事考えてるしさ……うわあああわけがわからないよ!「ナマエ、聞こえてないのか」
 その瞬間私の体が盛大に傾き、誰かとの距離が無くなった。

『……っ!?』

 思わず身が堅くなる。でも、よく知っている香りだ。たったそれだけなのに、なぜか力が抜けていった。て言うか、

「やっと気付いたか」

 真っ赤になっているだろう私の目の前にいたのは、この一週間ずっと私の頭を支配し続けた人物そのものだった。
 ニヤリという効果音が似合いそうな笑い顔でこちらを見ている。

『ミ、ミストレーネ、さん……』

 ミストレーネ・カルスは軽々私を抱き締めると「次ナマエが俺を無視したら、どうなるかわかってるよな?」耳元で囁いて、また私にキスをおとした。


朱廻鈴音様、この度もリクエストをしてくださってありがとうございました。
110507

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