SPIRIT WORLD
結集

 黒い紙二枚の内容は以下のようになっている。

A-4
上位でもベスト無限
を逃した果物


A-6
S
G


「マコマコはもうわかってるの?」

「当たり前だろうが」

 数人が紙を覗き込んでおりマコマコは余裕だと言うように鼻で笑ってみせる。

「お前はわかんねえんだろ、どうせ」

「あぁん?失敬な」

「じゃあ解いてみろよ」

「やってやんよ!!」

 最初の解読時に断念したのは誰か。そうですあたしです。そんな挑発を受けてあたしがマコマコの方に移動し黒い紙と睨めっこする。
 その隣ではニヤニヤするマコマコ。イケメンは何をしてもイケメンだから狡いよね。
 まずA-4を考える。ちなみに周りは見守る体勢でいる。

「ベスト無限って…どんな表現だよ…んー、無限、無限、無限…」

 呟いて思い浮かぶのは無限記号。∞の記号が浮かんだ途端理解した。

「わかった!キウイだ!」

「キウイ?何でだよ」

「無限の記号ってこう書くじゃん?ベスト無限っていうのはベスト8って意味で、上位でもベスト8を逃したって事は9位って事で。果物だからキウイ」

 いつの間にか近くにいた峰さんの質問に対し指で宙に無限記号を書きながら説明する。これはわかった。ナゾナゾを自分で解けて喜んでいると、黒い紙に演台と浮き出る。

「演台?」

 山崎少年がそれを見てステージに顔を向けると、古びた演台の側面に赤文字で浮かび上がる。

「理科室…」

 古橋少年が無表情に呟いた。

「理科室に行け、か」

 その隣の瀬戸少年が眠たそうな目で白い紙5-4を見て言う。

「どうだ。解けたぜ」

「そのドヤ顔うっぜえ」

 マコマコにドヤァと顔を向ければ忌々しそうに睨んでくる。褒めろよ。

「ほら、次やれ」

「あたしのが年上なのに…」

 扱い雑じゃね?と文句を言いつつA-6の紙を持ち考える。…考える。が、全くわからない。何でSとGだけなの?いじめ?
 ちらりと隣を見ると馬鹿にした顔でこちらを見るマコマコがいた。悔しい。

「…それにしても疲れたなあ〜あっちで休みながら考えようかな〜」

 ぐぐっと伸びをし何でもないような言い方で赤君のいる所へ移動しようと立ち上がる。ヘルプ赤君。

「待てよ。此処で休みながら考えればいいだろ」

 不意にグイッと腕を引かれてストンとその場に座る。腕を引いた人物、マコマコを見ればそれはもう大層な憎らしい笑みで行かせませんと目で物語る。バレてた。
 助けをと赤君を見てみるが苦笑を返され助けてくれない。酷いいい。

「…降参します」

「素直過ぎて面白くねえ」

 あんまりだ!!負けを認めたのに!!

「答えはSONG、歌だよん。Gの上にSがあるっしょ?S on Gって事でSONG」

 原少年が後ろから覗き込みながら答えを教えてくれる。近い、恥ずいわざとか。
 黒い紙は文字が変わり、浮き出るのはピアノの文字。

「ピアノ?」

「ステージの陰にあったはず!」

 リコぴんがそう言うとステージ近くにいた火神少年が軽々ステージに上がり、陰に行って確認する。

「白玉しらたま!」

「はい?」

「白玉って書いてあるぜ!」

 白玉?何それ美味しそう。火神少年の言葉が信じられない誠凛の面々がステージに上がり確認するが、間違いなかったとの事。

「白玉ってあの白玉?」

「作ればいいのか?」

「材料なんて何処にもないでしょ」

 小金井少年と伊月少年、リコぴんらが話すのを聞きながら赤君が白い紙に書き留めていくのを眺める。

 “此処を出るには案内人が必要”
 “案内人は道や怪異の正体がわかる”
 “案内人失う事なかれ”
 “理科室に行け”
 “番人に白玉を差し出すべし”

 以上が白黒の紙の解読だ。解読出来た事で探索の主旨も固まった。まとめ終えた赤君が全体に声を掛けて注目を集める。

「今後の探索ですが、一、3年生教室の手掛かり調査。二、此処へ連れてきた第三者の調査。三、理科室と番人と白玉しろだまを探す。以上の三点を重点に置いて探索していきます」

「「おい赤司、白玉しらたまだろ?」」

「黙れアホ峰バカ神」

 赤君の話に割入るのはお馬鹿さん二人。赤君に白玉しらたまって言わせたかったんだろうな。一蹴されてたけど。
 ふとあたしはあの温かい壁の事を考える。絶対何かがあるはず。悶々と考えていると翔ちゃんがマコマコを押し退けてあたしの隣におり、肩を組んできた。どうした。

「あの壁も調べやなあかんな?」

「翔ちゃん」

「忘れてへんで」

 あたしには温かく翔ちゃんらには冷たい壁。赤君もわかっているようで、赤君と目が合うと頷かれた。

「今までに探索で得た些細な情報も脱出のヒントに繋がると思います。山口さんが温かいと言う二階の壁、怪物の狙いは何か、ファイルに載っていたオレ達は狙われているかなど問題は尽きませんが、落ち着いて一つひとつ解決していきましょう」

「「おう」」

「桐皇の皆さんと山口さんはお疲れ様でした。休んで下さい。次の探索ですが…」

 赤君が言うと三つの学校が挙手した。
 霧崎、誠凛、そして洛山。

「小太郎…勝手に手挙げてんじゃないわよ」

「だっていい加減動きたい!!」

 赤君は葉山少年を呆れたように一瞥し、この三つの学校の中から選ぶつもりのようだ。
 どうするのかなと思いながら見ていると、さっちゃんと峰さんに腕を引かれてステージに連行され、ステージにもたれながら座らせられる。休めとの事らしい。

「山口さんはどうですか?」

 おいおいリコぴんあたしに振るなよ。三校からじっと見つめられて苦笑する。

「何処でも…」

「は、なしで!」

「ええー」

 これは参った。

「じゃあ一人…」

「もっと駄目に決まってんだろ」

 若ちゃんに言われ撃沈。だって本当なら連れて行きたくないよ。わざわざ危険な目に遭わせるメンバーを選ぶなんて、そら出来ないっ!
 すみません調子に乗りました。

「くじ引きで…」

「…仕方ないわ」

 妥協するリコぴん。ささっとくじ引きを作ると各校の主将が引いて、一緒に行く学校が決まった。

「オレ達か」

「やっと動けるー」

「オレ留守番でもいい?」

「駄目だろう」

 悪童マコマコの学校でした。

「宜しくな?案内人さん」

「宜しくな?麻呂眉さん」

 ニヤリと笑って言う彼に言葉を返すとこめかみをグリグリやられた。死ぬ。

「行き先は三階の別館。設備がどうなっているかわからねえのは三階だけだ。理科室と番人、白玉しろだまを探す」

「白玉しらたまでしょ」

「黙れ馬鹿女」

 あたしのが年上なのに…。

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