SPIRIT WORLD
交流

 白玉ゲット後。他の怪物に鉢合わせない内に体育館へと戻った誠凛一行。

「取ってきたどー!!」

 中に入った瞬間イエーイ!と両手を挙げて報告すると複数が立ち上がり喜んでくれた。

「んでもって番人の居場所もわかったよ!」

「マジかよ」

「おーおー、やるなァ」

「あと重大な発表があります」

 復活していた峰さんと翔ちゃんが褒めてくれた。しかしあたしが真剣な顔を作ると、探索に行った誠凛以外の空気がピリッとする。

「白玉しらたまの本当の名前、白玉はくぎょくだった事実が判明しました」

「「マジかよ…!!」」

 ガーンとショックを受けたような顔をする峰さんと黄瀬少年。他の人は一瞬にして白けた目をし、高尾少年だけが「大した事じゃなかった」とゲラゲラ笑っていた。

 他の人同様白けた顔であたしらに座るよう促した赤君。いつもの澄ました顔はどうした。そして順ちゃんから事の流れを報告してもらう。

「成る程、わかりました。これは大きな進歩です。皆さん本当にお疲れ様でした」

「じゃあ次は乾燥室にいるその番人に白玉を渡すっつー事でいいんだな」

「はい」

 確認するように言った笠松少年に頷く赤君。あたしは確定ではない事だが現在の状況で判断している事を伝えておく。

「怪物だけど、やっぱり真っ先に狙われるのはあたしかもしれない。此処からは憶測だから聞き流してくれていいけど、多分怪物は基本的に普通のしっかりした人間の体が欲しいんじゃないかな。けどあたしは案内人だから邪魔者を排除するって意味で狙ってきて、でも近くに人間がいたらそれはそれで体もらう為に襲う、的な感じなのではないかと思ってるんだけど」

「確かに、的は得てるな」

 大坪少年に頷いてもらい、あたしは話を続ける。

「ファイルに載ってるみんなは、今直接的に狙われてなくてこれからも狙われない保証はないまま。でも勘だけど番人に白玉渡してから何かは変わるはずだから、その後に狙いが変わるって可能性もなくはない」

 以上があたくしめの考えでございます、と締めくくると頭いい組はうんと頷いた。

「何かが変わるんは当然あるやろな。いい意味でも悪い意味でも」

「まあ変わってくれねーと脱出なんて以ての外だしな」

「そうですね。これからは状況がガラッと変わる可能性があります。全員が心して下さい」

 翔ちゃんマコマコ赤君の言葉にみんなは頷き、表情を引き締める。あたしも例外ではなく、グッと手に力を込めた。

「乾燥室へはオレ達洛山が行きます」

「やっとだぁー!!」

 葉山少年が両手をガッツポーズして挙げて喜ぶ。どんだけ。

「白玉は実渕、お前に託す」

「わかったわ」

 白玉をかがみんから受け取った実渕少年。探索に行った誠凛以外は普通にしているが、あたし達はやっぱり股間から出た玉って事で複雑な念を抱いていたのはあたしらだけの話である。

「そらさんは少し休んで下さい。先程は休憩取られていなかったので…出発はまた声を掛けます」

「ん、ありがと。了解」

 赤君に促されて頷くと解散になった。すると直ぐにコガがあたしを呼びに来て、留守番組も加わった誠凛の所に連行される。なになに?

「そらさんお疲れ様でした」

「うん、ありがとう」

「ちゃんとコイツら男共、役に立ちましたか?」

「オイ!言い方に棘あるぞ!」

 リコぴんに心配されながら会話を楽しみつつ、みんな助けてくれて助かったと伝えると安堵したように息を吐いた。

「鉄平達も是非とも話したいって言うから来てもらったんです。話し相手になってあげてくれませんか?」

「え、 あたし?」

 別にいいけど、と言うとぬっと現れた男子。ニコニコ笑いつつちょっと何を考えているかわからない天然木吉少年だった。

「話すのは初めてですねそらさん。オレはこの〜木何の木気になる木〜の」

「木吉君でしょ、知ってるよ自己紹介聞いたし」

「ああ、そうだった」

 アンタ歌いたいだけだろ。と思ったのはあたしだけではないはず。

「みんな探索に行っている間に仲良くなってるからオレ達もって思って。リコも日向もみんないい人だって言うからオレはそらさんを信じる事にしたんです」

「そっか、ありがとね」

「オレも仲良くなりたいなと思ってるのでそらさんって呼んでます」

「事後報告ですか別にいいですけど」

 ちょっと今までにないタイプなのでお姉さん戸惑っております。

「じゃあヨッシーって呼ぶね」

「初めて言われたなー」

 へらっと笑う木吉少年改めヨッシー。うん、害はないように見えるけど掴めない子だ。

「あの、オレ達も」

「そらさんと」

「話したいです!」

 するとその後ろから土田少年が顔を出し、自分もと言ってくれたかと思えば降旗少年と河原少年も続く。やだお姉さん嬉しい。でも三人で分けて言う必要なくね?

「勿論宜しく!じゃあツッチーとフリと河ちゃんね。あと敬語無理に使わなくていいからね」

 誠凛はあだ名で呼んでる人多めだからそれを真似しちゃうんだぜ。本人に呼んでみたいあだ名使うのが一番だ。
 それから他愛ない話をしてから、休みになってないとテッちゃんに言われ休むよう促された。楽しく会話するだけでも充分楽しいけど。

 だがテッちゃんに背中を押されて壁際に移動していると、不意に自分の体が持ち上がり誰かに俵担ぎをされた。

「うわぁっ!?」

「黒子っちこの人借りまーす」

「あ、黄瀬君」

 どうやらワンコシャララ黄瀬少年に担がれたようで、すたこらさっさと連れ去られるあたし。何でだ。
 そして連れてこられたのは海常のいる所で床に降ろされる。

「何で?」

「オレ達もお話ししたいなーって!ぶっちゃけ最初は胡散臭い人かと思ってたんスけど、頑張ってる様子とか伝わったし面白い事言う人だなって思ってたんスよ!大分下品でしたけど」

「かなりカミングアウトしたな」

 胡散臭い人って…軽くショックを受けているとわたわた慌てて手を振る。か、可愛い。

「あ、いやだから、今は話したいなって思ったからオレの意思で連れてきたんスよ!オレ結構そらさんのノリ好きっス!」

「え、何かありがとう」

 ごめん黄瀬少年。あたし偏見持ってたわ。
 あたしと関わる事があるとしたら探索とか一緒にしてあたしっていう人間を認められない限り話し掛けられないんだろうなって思ってたけど、自分の感情に振り回されるだけじゃなくて現状況把握したり周りの人の考えとか評価もある程度聞き入れたりして人間性見てくれるいい子だったんだね。

 まあ原作のテッちゃんと黄瀬少年の出会い編で嫌悪していたのに試合後コロッと変わったって話が印象強いのと、今まで読み漁ってきた色んな読み物で人に心開き難い少年っていう表現あるから偏見持ってちゃってたんだけど。
 実際人に心開き難いんだろうけどね。最初は胡散臭い思ってたって辛辣に言ってるし。でも思ったより柔らかい印象でちょい安心。

「じゃあイエローハットって呼んでもいい?」

「え、何スかそれあだ名っスか?うわ、それ人のあだ名にするとかセンスなさ過ぎっしょ!」

 うるせえええ!!調子乗んなよデルモ!!

「チッ…じゃあきー君でいいよ」

「妥協っスか!?」

 何かそのツッコミ聞いた気がする。

「じゃあこの流れで他の人も…」

 そう思い顔を横に向けた瞬間、高速で何かに両手を取られた。何事?

「ああ…やっとお話しする事が出来ました。今までずっとあなたの事を見ていて話し掛けるタイミングを見計らっていたんですが、探索続きで中々合わずに今の今まで…くっ!でもこの時がやってきました!オレの名前は覚えていますか?由孝とでも呼んで下さい!そらさんとお呼びします!オレ達は年齢は少し違えど同じ人間、年の壁を乗り越えた先にあるのは愛!オレは案内人として任務を全うするあなたの事を守りたい!!これからは一人で頑張らずにオレに頼って下さい!!」

 何なのこの子かなりヤヴァイ。

 想像を絶する程の女の子好きだな。いや、あたし女の子って年じゃなくて大人の女性なんですが、君可愛い子にしか興味ないんじゃないの?あたしにも詰め寄るってどんだけストライクゾーン広いの?大丈夫?

 みんなドン引きする意味がわかった。一生懸命だし真剣に言ってるんだろうなって思えるのは、まあ年上っていう事で心に余裕?(ドヤ顔)を持って森山少年の事を冷静に見る事出来るからだけど、同年代の女子からすれば当然引かれるわコレは。
 このいかにもな歯の浮く台詞とマシンガントークと剣幕もさながら、怖い。

「うんオッケー。じゃあ森りんって呼ぶわね」

「由孝と」

「君が大人の男性になったら考えてやろう」

 適当に流す為にそう言ってしまったのが間違いだった。森りんはキラキラ目を輝かせるとガッツポーズを天高く掲げて言い切った。

「恋が実ったァァァァァァ!!!」

「何でそうなるのォォォ!!?」

「馬鹿野郎ォォォォオオ!!!」

 何この子どうしようと思っていると、森りんの背後から笠松少年の飛び蹴りが炸裂。バキッて音したけど大丈夫?

「いつもああなんで大丈夫です」

「あ、そうなんだ…」

 呆然としているあたしに近寄って来たのは小堀少年。あ、初登場ですね、お疲れ様です。

「オ(レ)とも仲良くして下さい!!みんな楽しそうでう(ら)やましいッス!!」

「あ、うん。えっと、じゃあ早川君はハヤヤね。君はコボちゃん」

「あざす!!」

「え…コボちゃん…」

 早川少年も便乗する。本当に早口でラ行言えてないから聞こえ難い。早口で早川だからハヤヤって付けたら案外喜んでくれた。コボちゃんは微妙らしい。反応がイマイチだった。可愛いのにコボちゃん。

 ゲシゲシと森りんに制裁下している笠松少年に声を掛ける。

「主将君はゆっきーって呼んでもいい?」

「!?う、え、と…っ!!」

 おや?んんん?
 笠松少年は話し掛けた途端に赤面してしどろもどろになる。この子が女性苦手なのは覚えてるけど、今まであたしに対して普通じゃなかった?

 はて、と思い返してみると笠松少年の前後に喋る事はあっても直接的な会話をした覚えがない。あ、じゃあ苦手なんか。

「綺麗なお姉さんは好きですか」

「!!!?」

 キリッとして某CMの真似をすると面白いくらいに挙動不審になって口をパクパクする。重症過ぎやしないか。
 でもその反応が嬉しくてニヤニヤしていると後ろからきー君に言われた。

「いや、綺麗なお姉さんって」

 ちょっとおおおおお!!絶対語尾に(笑)付けたよね!!酷くない!?デルモに言われると余計傷付くわああああ!!

 てかこのページあだ名付け大会なの?ってくらいあだ名ネタになってね?これでいいの?

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