SPIRIT WORLD
“誠凛レギュラーを救う”後のマッサージの様子

※ちょっと如何わしい表現入ります。

 誠凛との探索後、かがみんに背負われて体育館に戻って来ると入り口付近にいたきー君がいち早く気付いた。

「お帰りっス!ってそらっちどうしたんっスか!?」

「あら、どうしておぶってもらってるの?」

 きー君の声にゾロゾロと玲央きゅんを始めみんなが集まってきた。あたしが説明するよりも早く順ちゃんが事の経緯を話し、その間にあたしはステージ下にいるひのちゃんの近くに下ろしてもらう。

「ありがとうかがみん」

「おう」

 事情を聞いた数名が駆け寄ってきて、さっちゃんと森りんが泣き付いてきた。

「そらさん!大変だったんですね、大丈夫ですか?お一人で頑張ってたんですね!」

「そらさん大丈夫ですか!?痛みますか!?ああ、こんな時にベッドがあれば!!」

「うん、大丈夫。取りあえず二人共落ち着こうか」

 近い二人を押し返して遠ざけながら苦笑を浮かべる。大袈裟だよ、ちょっと体を打ち付けただけなんだから少し休めば治るんだから。心配されて嬉しくないわけがないけど、大した事ないので心許ない。

「そらちん地べたに座ると冷えちゃうよ。抱っこしてあげる」

「いや、大丈夫」

「確か倉庫にマットがあったな。あれ持ってこい」

「でも埃っぽかったッスよ?」

「あ、オレさっき干しました!取り込んできます!」

 あっちゃんも声をかけてくれるが抱っこという響きが何だか嫌でふるふると頭を横に降振る。
 その側で若ちゃんがタカ君に指示したがタカ君はアレを使わせるのは…と悩む。しかしそれをフリが挙手をして割り込み、どうやら使えるかと思い外で叩いて埃を取り除き日が出ていないので無意味かと思ったが外に出しているとの事でその足で取りに行った。ファインプレーだぜフリ。マットがあるとないとでは違うからね。

 フリとテッちゃんが持ってきてそれをステージ下に敷く。

「ありがとう黒子君、降旗君。さ、そらさんここに寝て下さい」

「え?」

「パパ直伝の相田式全身打撲用マッサージをします」

「…え?」

 それって…多分内容は違うと思うけど、ヨッシーが受けてたマッサージみたいな?それってヤバくね?
 左腕の肘の擦り傷をリコぴんに治療してもらった後、ズルズルとリコぴんに引きずられる。

「ちょっ、まっ、大丈夫大丈夫あたし大丈夫!!全っ然問題ない元気元気!!」

「そんなはずないです!私の目をナメてもらっちゃ困るわ!」

「ちょっ助けて!ヘルプ!」

「大人しくしろよ」

「やってもらった方がいいに決まっているのだよ」

 踏ん張るがその細くて小さな体の何処にこんな力が?と思う程強い力でマットに引きずられていく。峰さんと真ちゃんが何を意固地になっているのだという目で見てきて、誠凛以外のみんながそんな目をしている。

 だが誠凛のみんなはわかっている。リコぴんのマッサージがどれだけヤバいか。何故あたしが頑なに嫌がるのか不審に思っているだろうが、それよりもあたしに哀れむような目を向け両手を合わせていた。

「「(ご愁傷様です…)」」

 そんな目向けなくていいから助けてェェェェ!!










【日向side】

「ぎゃああああああ!!!」

「はい、力抜いて〜」

「無理無理無理ィィィ!!あ゛あああ゛ああああ!!」

 今体育館には断末魔とゴキゴキという音が響いている。全身打撲用マッサージで何でそんな音が出るんだ?更に悪化してねえか?と思うが、効果は抜群なのをオレ含めた誠凛は知っている。
 今まで何を大袈裟な、と笑っていた他校の連中もその様子を見て青ざめていた。おぞましい光景を見て平然は保てないだろうな。

「この辺が一番…」

「ひぐぅ!!いっだあああああ!!ぐあっもうやめてェェェェ!!」

「まだ終わってませんよ!開始三十秒しか経っていないじゃないですか」

「ひぃぃぃぃいいいい!!」

 木吉はマッサージを受けた時の事を思い出しているのか一番真っ青だ。
 カントクはうつ伏せたそらさんの上半身を持ち上げ腕を後ろにグイグイと引っ張る。
 あの格好は…ヤバいな。

「…ない胸でもよく映えるな」

 灰崎がそう言った瞬間虹村と赤司に殴られていた。だがわからなくもない。あれは…ちょっといい。こう、胸が突き出されてて…って、オレは変態か!

「日向顔赤いよ」

「人の事言えねえだろうが」

 隣にいた伊月に声を掛けられるが二人して少し赤面する。他数名も同じ。うん、これは仕方ないと思う。

「ハァッ…ハァッ…」

「ハイ次行きますよー」

「えっまだ?ちょ、ま、待って…」

「待てません」

 言葉だけ聞いているとちょいちょい厭らしい。だが目を開けて見てみるとそらさんは顔真っ青で汗だくで息を切らせており、何も厭らしい事はない。寧ろ哀れ。

「んどああああああ!!」

「ほいっ」

「ほぐぉあ!!!」

「ていっ」

「んに゛ゃあああああぁぁぁぁあああ!!」

 カントクの軽快な声とは反対に悲痛の絶叫が響きが暫く響き、みんなで見守るという不思議な図が出来上がった。

「はー…はー…っ」

「お疲れ様でしたそらさん」

 うつ伏せにマットに力なく横たわるそらさん。上がった息を整えながら叫び疲れからかぐったりと虚ろな目で一点を見つめている。お疲れ、そらさん。

「仕上げしますね」

 そう言ったカントクは先程とは違い優しい手付きで労わるようにマッサージをする。その手付きはオレ達は受けた事ないくらい繊細で、いかにそらさんを大事に扱っているかが手に取るようにわかる。オレ達にも優しくしてくれと思った。

「あ…気持ちぃ…」

 先程の後だった事もあり、ふにゃりと笑うそらさん。疲れ切った体にはとても気持ちがいいらしく、此処にみんながいる事が頭から抜けたらしい。

「ふぅ…んん!そこ…あっ」

「「………」」

「此処ですか?」

「んんっ…そこー…気持ひぃ…」

「涎垂れちゃいますよ?」

「あ、ヤベ…」

 へにゃっとだらしなく開いた口から涎が出そうになるのをカントクが笑いながら止め、慌てて口を押さえるそらさん。

「あっ!あっ…そこ駄目痛いっ」

「でも此処凝ってますし。今までの探索で蓄積されてきたんですね、きっと」

「うん…あ、ああああ!いたぁ、い…ひぃ、んっ」

「「オレちょっとトイレ…」」

 黄瀬と森山さん含めた数名がトイレに向かう。いや、疚しい意味はなくちょっと落ち着くためだろう。男には些か辛い状況だからな。ナニかしにいくわけじゃねえと信じたい。だが此処にきてストレスや疲れが溜まってるから…反応してしまうのは仕方ない。うん。男の性だ。

 見てるのはマッサージなんだが、やはりそらさんの声が宜しくない。油断し切ってるからそんな声出るんだよ。頼むからもうやめてくれ。聞いていたいけどやめてくれ。
 口元を押さえてそっぽ向く虹村と赤司など真面目組、ニヤニヤ笑う今吉さんと原など意地悪組、赤面して立ち尽くす笠松さんと緑間などウブ組。その他諸々と反応は様々だ。
 桃井さんとアレックスさんはやらしい声とニヤニヤ笑っている。笑ってないで止めてくれよ女性陣。カントク絶対楽しんでるだろ。

「はい、終わりです!」

「ん〜…もう終わり…?」

「終わりです。後でまたしてあげますから。どうですか?」

 やっと終わったマッサージにオレ達は安堵の息を漏らした。オレ達もある意味地獄だったわ。そらさんは気持ちよさに寝そうだったようでトロンとした虚ろな目でカントクを見上げる。
 …あの目も宜しくない。

「…うん。痛くない。疲れも凝りも取れてるし、体が凄く軽い!」

「痛みに耐えたからこそです。お疲れ様でした」

「ありがとうリコぴん。リコぴんもお疲れ様」

 身軽だと言い立ち上がったそらさんはぴょんぴょんとその場を跳ねる。嬉々として喜んでいる中でオレ達男組は複雑だった。ちょっと顔を合わせ辛い。いや、ただのマッサージだったんだけどよ。

「終わった〜?」

「うん!スッキリ!!リコぴんすげえや」

「よし。なら向こうに行こっか〜」

「ん?向こう?」

 春日さんが一番に声を掛けたかと思えば何でもないような顔をしてそらさんの肩を抱き倉庫へと向かう。…って待てコラァ!!

「オイコラ春日テメェそらさんを何処に連れてく気だ馬鹿野郎!」

「何処って倉庫?」

「春日さん…」

「男女間でのウニャニャニャを聞くのは野暮っしょ〜」

「ウニャニャニャって何だァァァ!!」

 宮地さんが止めに入り氷室が微笑を浮かべながらも冷めた目で見つめているが、当の本人はあっけらかんとしておりコガが思わずといった感じで突っ込む。よく言った。

「あんなん聞いたら何もせずにはいられないっしょ?」

「それを抑えてナンボだろーが」

 黛さんが腕を引いてそらさんを引き離した後、福井さんと春日さんが顔を合わせて睨み合いながらブツブツと言い合う。そらさんはやり取りを聞いて意味を理解したようで赤面しあわあわと慌てている。

「いい喘ぎ声だったぞ!」

「喘ぎじゃないからァァァアア!!」

 何で今そこで言うかな!!とそらさんは顔を覆いながらアレックスさんに突っ込んだ。だが本人が否定しようにもあれは誰が聞いても喘ぎ声だった。

「くだらねー事言ってねえで眠たいなら寝ろ」

「とか言って寝込み襲うんっしょ?」

「油断させといてか」

「テメェらしばくぞ!!」

 花宮が下らない事はもういいからとそれとなく空気を変えようとしたっぽいが、原と山崎にからかわれて意味なく終わった。
 当のそらさんは赤面したまま頭を押さえており、自分の失態を理解して反省しているようだった。そらさんは話が早くて助かる。

「ひあっ!?」

「「!?」」

「そらさんは首が弱いんですよね」

「ヘえ〜?何処ですか?」

 何の悪ふざけかカントクと桃井さんが背後からそらさんの首を突いた。当然そらさんは吃驚して声が出るわけで。何で収まりそうだったのにぶり返すかなァァァ!!

「カントクもうやめてくれ!!」

「また被害者が出る!!」

「被害者って何だ!!失敬な!!てかリコぴん達ね、ちょっと来なさい」

 誠凛のみんなで止めるとそらさんは何か少し勘違いしたのか失礼だと怒る。いや、耳に悪いとかじゃなくてだな。弁解する間もなくそらさんは二人を隅に連れて行くと説教を始めた。

「あのね。こんな空気にしたのはあたしが悪いよ?けどあたしだけじゃなくて二人もアレクさんも女なんだし、これだけ男がいっぱいいる中でこの空気続けちゃうと灰君とか峰さん辺りがちょっかい出してくるかもしれないからもうやめよう。これ性教育ね。わかる?男は狼なんだよ」

「「はぁーい」」

 何を言っていたかは不明だが、真剣に話をするそらさんに二人は渋々といった感じで頷いていた。何言ったんだろうか。

 その後。そらさんはトイレから戻ってき数名が顔を赤らめてやや前屈みになるのを見て、全員に飛び蹴りを食らわせ始めた。

「痛いっス!!」

「なっ何するんですか!」

「萎えるかなって思って」

 ほぁたー!と言いながら変なポーズをするそらさん。ああ、成る程。確かにこんな奇行見たら萎えるわ。

「…っと」

「ん?」

「もっと蹴ってくれてもいいですよ!!」

 ただ一人。森山さんを抜いては、だが。
 顔を赤らめてもっと痛ぶれと言う森山さんにそらさんはドン引きの顔をして笠松さんとバトンタッチをしていた。

 まあ…森山さんのお陰でいつもの空気にはなったかな。











月影綺羅様、お待たせしました!
“誠凛レギュラーを救う”の続編という事でご希望頂き、楽しく書かせて頂きました!
悪ふざけが過ぎる部分が多かったですね(笑)
気に入って頂けると嬉しいです。
素敵なリクエストありがとうございました!

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