SPIRIT WORLD
もしも夢主が子どもになったら

 へろー!みんなのアイドルそらだよ!うん、嘘だよ!
 現在あたくしは海常と探索中にございます。心配しなくても何だかんだ仲良くやっています。
 現在二階の教室を探索中です。武器とかないかなーと思いながらルンルン探していたのが悪かったのか、あたしは災難に巻き込まれる事になる。

「次行くぞ」

「なーんもないっスねぇ」

 ゆっきーの指示で隣の教室に移動する事になったが、きー君はつまらなさそうに声を漏らす。飽きちゃうよね、と相槌打ちながらあたしが最後に廊下に出ると、みんなが立ち止まっている。

「どしたの?」

「向こうに怪物がいます」

 コボちゃんがあたしの前に立ちながら教えてくれるので、その向こうをそっと覗き込むと廊下の先にはカタカタと動きこちらにゆっくり向かってくる骸骨の標本。

「骸骨?」

「え?そらさんにも骸骨に見えるんですか?」

「え?うん」

 森りんが瞠目しこちらを見る。どうやらみんなにも普通の骸骨の標本に見えているようで、怪物ではないのか?と一同が思った瞬間。

「ほっ!?」

「え!?」

 急にグイッと後ろに腕を引かれてみんなから数歩離れた。隣のハヤヤがバッと振り向くと目を見張る。
 あたしも振り向くとそこにはゾンビの顔。白衣を着て両サイドのみふさふさの髪があって目玉はないが片目眼鏡を装着した科学者という言葉がピッタリの怪物。

「アレは囮…!」

「そらさん!!」

 ゆっきーがハッとし骸骨の方を見るが既におらず、ハヤヤと森りんが手を伸ばすが、科学者怪物がもう片手に持っていた何かの玉をあたしに投げ付けた。

「うわっ!?」

 玉があたしの頭に当たった瞬間割れ、もくもくと緑の煙が立ち込める。みんなが反射的に口元を覆い立ち止まり、あたしは目を瞑り急な事に対応出来ず煙を大きく吸い込んでしまった。

「この野郎!!」

 あたしから手を離した怪物は煙から逃れるように後退り、怒鳴るゆっきーの声が聞こえた。あたしの後ろで足音が遠ざかっていくのが聞こえ、恐らく怪物は逃げたのだろう。

「そらっち!」

 きー君の声も聞こえたが、そこからあたしは意識を飛ばしてしまい床に倒れた。










【小堀side】

 そらさんが緑の煙に覆われ倒れる音が聞こえたから恐らく中で倒れているはず。みんなで煙を散らせるように扇ぐと、緑の煙が晴れていきそらさんの姿が見えるようになった。

 あれ、何か小さくないか?いや、小さい!?
 服はゴソゴソになっており服に埋もれるようにして倒れるそらさんを見て、オレ達は声を上げた。

「「「はあああああああ!!?」」」

「え!?そらさん!?」

「うわああああ!!そらさんがあああ!!」

 オレと笠松と黄瀬が吃驚して声を上げ、森山は何故か目を輝かせており、早川は頭を抱えて絶叫した。

 その声に反応してビクリとその小さな体が震え、俯いていた顔を上げた。

「…う、ん?」

 パチパチと目を瞬かせ、オレ達を見上げるそらさん。そして倒れていた体を服が邪魔なのか重そうに起こして床に座った。

「なんか、みんなおっきくない?」

 そらさんが小さいんです。










 あれから黄瀬がゴソゴソの服ごと丸めて抱き上げ、みんなで必死の形相をしながら走って体育館に戻る。突然階段から出てきたテケテケっぽい奴はオレと笠松が蹴り飛ばした。
 息を切らせて戻ったオレ達と黄瀬に抱かれたそらさんを見て全員がフリーズし、慌てて駆け寄ってきた。

「えっ!?誰その子!」

「つかそらさんは!?」

「この子っス!!そらっちが子どもになっちゃったんっスー!!」

「「はあああああああ!!?」」

「「キャー!可愛いいいいい!!」」

「黄瀬、何があったか説明しろ」

 みんなが慌てたり歓喜したりする中、唯一冷静な赤司が説明を促し事の経緯を笠松から伝えられた。

「結局その科学者っぽい男は逃げちまった。だが倒してねえから戻る方法はソイツに聞けりゃわかるかもしれねえが…」

「そらさんがこの様子じゃ…」

 笠松と森山の心配そうな視線を感じたそらさんは周りを見渡した後、僅かにうっと顔を歪めた。
 ちゃんと今までの記憶はあるらしいが、もしかすると子どもみたく泣き易くなってるのかもしれない。

「取りあえず、その格好じゃ動き難いだろう。服を整えてやる。おいでそら」

 アレックスさんが黄瀬から泣きそうなそらさんをヒョイと奪うと、誠凛監督と桐皇マネを連れて倉庫の方へ移動する。
 それを見て森山が連れて行くなと嘆いている。煩いなコイツ。










 あれから女性陣に服を整えてもらったそらさん。2〜3歳くらいになっているので、元々着ていた黒Tシャツのみで事足りたらしい。
 誠凛監督に抱っこされながら戻ってきた。オレ達はその間これからどうするか話し合っており、探索に行くとの話もあったがもしかしたら時間が経てば戻るかもしれないし、副作用が後から効いてきて探索中に何かあると大変との事で、暫く此処で様子を見る事になった。
 その旨を今吉から伝えられる。

「今はそのまんまで悪いけど辛抱してや」

「うん、だいじょぶ。はやくもどりぇゆといいけど」

 コクリと頷くそらさん。舌ったらずなところと仕草一つひとつが何というか、母性や父性を擽るんだろうな。オレもその内の一人ではあるが、周りの奴ら大半その可愛さにやられているらしく、顔を押さえて悶えている。しっかりしろよお前ら。

 誠凛監督に降ろしてもらいそらさんは床に座ろうとするが、薄着で冷えると言われ桐皇マネの膝の上に座る。

「にしても本当ちっせーな」

「しかも舌ったらずでおもしれー」

「やめてよ、みねたん」

 火神が感心したように呟きその隣で青峰がうりうりと頬を押すと、ていっとその手を叩くそらさん。目を丸くさせた後口元を覆い後ろを向いた青峰だが、こっちからするとその顔はよく見える。デレデレじゃないかオイ。

「(クッソ…普通に可愛い…)」

「青峰君、心中お察しします」

 青峰の肩をポンと叩く…おお、黒子か。誰かと思った。相変わらずの影の薄さだ。

「みねたん、ごめんね?」

「「ふぐぉあ!!」」

「「「可愛過ぎぃぃぃ…!!」」」

「!?」

 拗ねたとか心配したのか青峰の所にトテトテと近寄り顔を覗き込みながら謝るそらさん。瞬間、火神と青峰と周りの数名が顔を押さえて床に転がった。その中に女性陣も混ざっていて、床に蹲り震えている。え、怖い。
 そらさんもビビってるし。

「そらちんおいでー」

「何言ってるアル。そら、オレの方にくるアル」

「青峰達から離れるのだよ」

「もっかい抱っこさせて下さいっス!」

 口調に特徴のある奴ら、言わなくてもわかるよな。そいつらが立ったまま近付いて行くが、そらさんの顔色が変わった。

「こっ」

「「「「こ?」」」」

「こわいいいい!!みんなおっきしゅぎ!!」

 ひいいいいと言いながら走って逃げたそらさんに、デカい四人はショックを隠せない様子。まあこれだけデカい奴らが一気に押し寄せてきたら怖いよな。オレも黄瀬くらいの身長だけど。

 駆けて行くそらさんを追い掛ける四人とその他。増えてる。てててっと走るそらさんの歩幅は当然短く、一歩で大きく詰める追い掛け組。どれだけ抱っこしたいんだお前ら。
 するとそれを止める人物が一人。

「お前らやめるんじゃあ!!そらさんが怖がっとるじゃろうが!!」

 岡村が一同に怒り止めると、後ろを振り返って涙目のそらさんの前にしゃがむ。

「そらさん、心配せんでもええからの」

「お、おかたん…!」

 うるっと目にいっぱいの涙を溜めてぎゅっと抱き着いたそらさんを抱き上げる岡村。う、羨ましい事なくもない…。

「何で元主将には懐くのかな?」

「アゴリラそらを返すアル」

「意味わかんなーい」

「相変わらず酷い!」

 陽泉の年下三人が特にブーイングを発していた。自分らの主将だった奴なのに容赦ないな。

「岡村ー、オレにも」

 そこで福井が両手を差し伸べると、そらさんは仕方ないなというような顔で福井に移る。小さくなってもあの性格は変わらずか。

「ふくくん、あっち」

「ん?おー」

 そらさんが指差す方向へ連れて行く福井の顔は凄く嬉しそうだ。よかったな。

「おら、オレんとこにも来い」

「ブッフォ!宮地さんちゃっかりしてる!」

「うっせえ!木村軽トラ!!」

「今ねえよ」

「パイナップルもな」

 と、騒ぐ秀徳マイナス撃沈中の緑間。

「私も抱っこさせて!」

「オレが肩車してやるよ」

「永ちゃんの場合片方だけで充分だよな」

「筋肉馬鹿が移るからやめとけ」

 と、洛山。

「えらい人気者やな」

「可愛がりたくもなるだろうけどな…」

「ぼ、僕も抱っこ…」

「え?桜井…?」

「すっすいませんんんん!」

 と、桐皇。

「そらさんおいでー」

「チッ、面倒臭ェ事になりやがって」

「とか言って心配してるんだろうな」

「抱っこしたいんだろうね」

「デレ宮見られんじゃね」

 と、霧崎。

「オレも抱っこしたい!!」

「お前だと動き多いから落とす。駄目だ」

「津川は頭ジョリジョリされて終わりっしょ〜」

 とマイペースな正邦。

「「オレも…」」

「あんた達じゃ落とすかもしれないから駄目よ!!」

 と、誠凛。多分本当は独り占めしたい監督に抑えられている。凄い上下関係見えた。
 そんな感じで必死に目線を合わせるなどして恐怖を与えないようにしながら近付く野郎共に呆れて見ていると、困ったそらさんと目が合った。

「コボちゃん!へゆぷ!」

 ヘルプって意味か?駆けて来るそらさんを座ったまま受け止める。直ぐさま笠松以外の海常が駆け寄ってきてオレにそらさんを渡せと言う。

「オレに!オレに抱かせてくれ!!」

「オ(レ)にも!!」

「オレが先っスよ!!」

「テメェら煩ェんだよ!!そらさんが困るからヤメロ!!」

 笠松にシバかれる三人を苦笑してみていると、後ろから声を掛けられた。

「オレにも是非抱かせて欲しいんですが」

「あ、赤司?」

 そらさんを見るとやや緊張した面持ちで頷くのでそらさんを渡すと、赤司はそっと抱き上げる。そらさんは遠慮がちに服を握ると、赤司の顔を見て感心した声を漏らす。

「ふおぉぉ…」

「どうかしましたか?」

「いちばんあんていかんがあゆ…」

「そうですか?」

 安定感…流石赤司って感じだな。赤司も嬉しそうに微笑している。それを間近で見たそらさんは、多分照れてると思う。肩口に顔を埋めて顔を上げなくなった。それを見てまた周りが悶えていたのは言うまでもない。

「赤司オレも」

 そう言って譲り受けたのは虹村。抱っこかと思えば肩車をしてあげている。

「う、わわ!」

「大丈夫だって。頭持て」

「うん…うわぁ!たかい!しゃしゅがにじむー!」

「おいパンツ見えんぞ」

「はいくんしゃいてー」

「あんな大人になっちゃう駄目だよ影葉」

「はい、勿論です」

 灰崎のセクハラにしらっとした目を向けたそらさん。そこも変わらないな。っていうか、有白と影葉ちょっと毒舌だぞ。

 すると不意にそらさんが眉間に皺を寄せた。気付いた赤司が声を掛ける。

「そらさん?気分でも悪いですか?」

「んーん…へ、へ、へっ」

 ふるふると頭を横に振ったが、何かを我慢しているそらさん。この感じはあれか。

「へっくち!!」

 鼻を両手で押さえて可愛らしくクシャミをした。その瞬間ボンッと音が鳴りそらさんに煙が一瞬まとった。

「うおおっ!!?」

 虹村は急な衝撃にガクンと後ろに倒れて尻餅つき、落ちる!とみんなが思った瞬間近くにいた赤司が後ろに回り込んでそらさんを支えるが、何かが違った。

「あ、足…!?」

「そらさん…?」

「う、え?」

 虹村は長い足がある事に吃驚し、赤司までもが尻餅ついおり戻ったそらさんを後ろから支えていた。此処まではまあいい。
 肩車していた倒れた虹村の肩にはそらさんの両足(しかも生足で美脚)、虹村の後ろにはTシャツと下着のみのそらさん、そしてその後ろに赤司。カオスだ。

「「パンツは紺か」」

「おー!戻ったんだな!」

「あわわわ!そらさん!」

「早く服!桃井さん服!!」

「はっ、はい!!」

 真顔で見つめる青峰と灰崎。他の男共は視線を逸らしたり赤面したり…オレはちょっと見たけど今は首から上を見てるから。バッチリ紺とか見てないから。
 呑気なアレックスさんと慌てる誠凛監督と桐皇マネ。そらさんは状況が飲み込めずポカン顔だ。

「わ、悪い!!」

 虹村は顔を真っ赤にすると慌ててそらさんの両足を下ろした。そこでそらさん覚醒。

「ひっ、ひぎゃあああああああ!!!」

「そらさん落ち着いて下さい」

 ぐいぐいTシャツの裾を伸ばして下着を隠すがそれだと襟元から…いや、見てない見てない見てないから!
 赤司と虹村はジャージを脱ぐと足元と肩に掛けてやっており、そこからは女性陣が男性陣を蹴散らして着替えさせるというてんやわんやな光景だった。

 何はともあれ戻ってよかったと思う。薬が切れたのか、クシャミが原因かはわからないが、取りあえずあの怪物見付けたら倒さないとまたこんな事態に巻き込まれかねないと思った。

「携帯さえあれば撮れたのに…」

 そう悔やむ声は後を絶たなかった。それは幼児化そらさんの事か、戻った後の事か…あえて聞かないでおこう。

 以上、実況のコボちゃんでした。











Ricota様、とと様、月影綺羅様、お待たせしました!
勝手ながらお三方のリクエストが被っていたのでまとめさせて頂きました。
記憶をなくさせるか考えましたが、あえて記憶は残してみました。そして一番ラッキー助平な虹村と赤司でした。気に入って頂けると幸いです。
素敵なリクエストありがとうございました!

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