SPIRIT WORLDもしも夢主が見た目は子ども頭脳は大人だったら
「そらちゃーん!こっちに来て!」
「はぁーい」
こんにちは。あたしは山口そら、小学3年生くらいです。
くらいと言うのも、実は中身は成人を超えているからです。某名探偵のように体が縮んじゃったんです。
原因は不明。ただ今の状況で言えるのは、ホラゲトリップをした事による衝動か何かで縮んだのではないかって事。
あたしはよくわからない異世界に連れてこられた様子。だって変な怪物いるし、あたしの世界で漫画になっている黒バスのキャラ達が目の前にいるし。
そして何故かあたしには案内人という役割があるみたいです。暗号の書かれた紙の答えがそれで、他の誰でもないあたしだけが案内人として道や怪物の正体がわかるとの事。
子どもなのでそんなの酷過ぎると言う人が半数以上だったが、状況が状況なだけにそうも言ってられず毎回探索に出ている。
冒頭であたしを呼んだのは桃井嬢。さつき姉ちゃんと呼んでいます。他も兄ちゃん姉ちゃんと呼んで子どもを演じています。あの眼鏡っ子を真似て猫被って「あれれー?」って言ったりしてます。最後のは嘘です。
中身が大人である本当の事を言おうとも思ったが色々と面倒な事になる気がして早々にやめた。
「もう直ぐ出発みたいだけど大丈夫?」
「うん。平気だよ」
「そらちゃんはしっかりしとんなぁ」
そりゃまあ成人超えてますしね。今吉少年に頭を撫でられながらアハハと笑っておく。
「そらちゃーん高い高〜い!」
「わっ!?涼太兄ちゃんか!吃驚した」
急に背後から両脇に手を差し込まれ持ち上げられた。振り返ると金髪がキラキラと輝くシャララな彼だった。
「そらちゃんのほっぺプニプニっスねー」
「あはははは」
そのまま彼の目の高さに合わされればスリスリと頬擦りされて、されるがまま状態。まあ一応子どもの体な訳だしほっぺプニプニだから突きたくなるのもわかるので、セクハラとか言うつもりはないけどみんな距離が近いんだよね。
「次はオレらと一緒だから任せるっスよ!」
「うん。お願いします」
ぎゅうううと抱き締められながら話をしていると、黄瀬少年の腕からあたしをヒョイと抜き取ったのは紫原少年。抱き枕を抱きかかえるようにして抱っこされるが、足が宙ぶらりん状態なのでちょっと嫌だ。
「行ってらっしゃいのハグしてあげんね〜」
「あ、ありがとう敦兄ちゃん」
嬉しいんだが苦しい。力強過ぎ。
何故あたしがこんなにいい子いい子されているかと言えば、あたしは色々勝手によく動くけど奇跡的に何か見付けたり謎を解決したりするのでよしよしされてるんですね。ちなみにさっきの探索で虹村少年と灰崎少年が隠されていたのを見付けて救出しています。
「では海常の皆さん宜しくお願いします」
「おう」
「そらも気を付けるんだよ」
「うん」
赤司少年に声を掛けられ武器のステンレス製フライパンを持っていざ出陣。
今回の探索結果を言うと、怪物に狙われ易い案内人のあたしではなく何故か今回は黄瀬少年が真っ先に狙われて、原因は最後までわからなかったけどフライパン奥義を使う事によって守り切った。
フライパン奥義とは何ぞやとな?例えばね、フライパンを振り回すだけでなく、床にスライドさせて足元狙ったりフライパンの柄の部分を刺すのに使ったり、バットとコラボで大きい音出したり色々だよ。
守り切ったのもあって黄瀬少年はあたしを褒めて褒めて褒めまくり、ちょっと度が過ぎる程にベタベタするようになった。
そして現在。あたしは黄瀬少年の胡座の上にスッポリと収まって座っています。
「涼太兄ちゃん暑い」
「オレは寒いんスよー」
何を言っても離してくれないので内心溜め息を吐いていっそこのまま寝てやろうかと思った矢先、また浮遊感が襲い気付くと青峰少年に肩車されていた。
「そら暇だろ?バスケ教えてやる」
「ちょっと大ちゃん!そらちゃん休ませてあげないと!」
「黄瀬なんかのとこで休めるかよ。ベタベタベタベタ暑苦しい」
「ちょ、青峰っちひどいっスよ!」
青峰少年は止める二人を無視してバスケのゴールリングに近付き、持っていたボールを持たせてくれる。
「この高さならダンク出来んだろ。やってみろよ」
おお、確かにダンクなんて出来ないからこれは嬉しいかも。あたしはボールを両手に抱えると、青峰少年はゴール下でバランスよく軽くジャンプをし、あたしはそれに合わせてボールをリングに叩き込む。
「ふおぉぉぉぉおおおお!!」
「な?ダンク楽しいだろ!」
「初めてやった!ありがとう大輝兄ちゃん!!」
キラキラした目で両手とゴールを見比べ感動するあたしを見た青峰少年は、予想以上の反応だったからか彼も嬉しそうに笑いバスケの何が楽しいかを教えてくれる。バスケ馬鹿だなぁ、可愛い。
「青峰、いつまでもそのままでは危ないから降ろすのだよ。あと肩車をしながら跳ぶのは危険だ。やめるのだよ」
「あ?うっせぇな。大丈夫だっつーのこれくらい」
「お前がどうなろうが知ったこっちゃないがそらが怪我でもしたらどうするのだよ」
「させねーって」
緑間少年が近付いてきたかと思えば眼鏡を押し上げ危険だと注意し青峰少年と言い合う。あたしはオロオロと二人を見比べていたが、緑間少年が青峰少年の肩からあたしを降ろし床に立たせる。
「おい、勝手な事すんなよ!」
「お前に近付けさせると馬鹿が移る。色んな意味で」
「失礼だなお前!!」
ワーワー言い合う二人の側にはいつの間にか紫原少年と黄瀬少年、桃井嬢がいて二人の喧嘩の仲裁に入るが結局みんなで言い合いしている。
周りはそれを見てこれがキセキの世代のよくある光景かと傍観しているだけで止める気が更々ない。
あたしがどうしたものかと困っていると肩を叩かれた。振り向くとそこには黒子少年。
「煩いのでこっちで休みましょう」
そう言って手を引かれた先は彼らから離れた位置で、虹村少年が近くにいた。
「アイツら元気だな。お前はずっと出っぱなしなんだ。ちゃんと休め」
どうやら黒子少年にあたしを連れてくるよう指示したのは彼らしい。
気遣いの言葉を掛けると共に頭を撫でてくれる彼を兄貴と呼びたくなった。あっ兄貴ィィィ!!心の中だけで呼んでおく。
「じゃあ僕が隣にいてあげますので、ゆっくり休んで下さい」
「あ?お前はもういいよ。後はオレがそらの面倒見るから」
「いえ。僕が見ます」
「いや、オレが見るって」
オイ結局ここも揉めてんじゃねえか。
火花を散らしながら静かに言い合う二人を見上げたあたしは人知れず溜め息を零す。そしてそろっとその場を抜け出すと、赤司少年の元に移動する。
「そら?」
「此処で休む」
「いいよ。おいで」
赤司少年は暗号の書かれた紙や今までの探索結果をまとめた紙を見て色々と考えているようで、その隣に膝を立てて座ったあたしに彼は小さく笑って歓迎してくれる。
「そら。一つ聞きたいんだけどいいかな」
「ん?何?」
「オレ達に隠してる事、ある?」
ギクッと体が強張るのがわかった。膝に顔を埋めて寝ようとしていたあたしは恐る恐る顔を上げると、赤髪の彼は微笑みながら出来るだけ優しい声色で問い掛けてくるが、目は真剣そのもの。ふざけたりしたら殺されるなと思った。
「んん…隠し事、っていうか…」
「…オレの勝手な予想だけど。そらの本当の年齢はもっと上なんじゃないかな」
何とも急に的を得た話で、何この人と怖く思った。疑問系なのに疑問に聞こえない。
「話し方に落ち着きがあるのは、今時の子どもでなくはない話だからそこまで着目はしていないんだけど。言葉の節々で言い回しが大人びていたり子どもなら冷静になれない場面でやけに冷静だったり…大人に見えると思ってね」
今までみんなと同じように接してくれていたのでまさかそんな風に見られ観察されていたなんて思わず、本当に周りをよく見て色んな事を想定する素敵な脳の持ち主だなと呑気に思った。
ちなみに、頭脳派の今吉少年と花宮少年、瀬戸少年辺りが何となくではあるが同じ理由で察し始めているとの事。
「この不思議な世界だ。何があっても可笑しくはない。だからこそ、本当は大人の人が子どもになって此処にいる事も考えられなくはない。オレの勝手な憶測だけどね」
憶測という割には確信持って話されるんですね、流石です。
あたしは素直に認めて、言ったところで信じてもらえると思わず面倒だったから子どものフリをしていたと正直に話すと、頭に手を乗せられ責めていないと言う。
「ただ気になっただけだよ。そらはよくやってくれているし、今更この世界に連れてきた張本人など疑いはしない」
そう言って微笑む赤司少年にあたしは苦笑を返した。同時に酷く安心して、力が抜けたように膝に顔を埋めると優しく頭を撫でられる。
正直、色々と不安に思う事があった。言葉で表現するにはちょっと時間を有するくらい色々と。だからこそあたしを突き放すわけでもなくそのまま優しくしてくれる彼に、あたしはちょっとだけ涙がちょちょぎれてさり気なくズボンに涙を押し付けた。
全員があたしの本当の年齢やあたしの他に隠している事を知ったらどうなるんだろうなとか、此処を脱出出来たら元の姿に戻ってみんなに会えるのかなとか、色々考えている内に意識は沈んでいき眠りへと落ちていった。
ゆずは様、お待たせしました!
キセキ+虹村という事で、彼らと満遍なく絡ませたつもりがやはり赤司がいい所を持っていっちゃいました(笑)
見た目は子ども頭脳は大人の夢主は、ただただ可愛がられるだけの話になってしまいました…こんな作品でも喜んでもらえれば幸いです。
素敵なリクエストありがとうございました!
5/10
←|→
BACK/
TOP
ALICE+