INFINITY WORLDあたしに説教
只今あたくし、山口そらは皆さんの前で正座させられております。
理由は単純。ついて行ったからですねわかります。無視しちゃったしね。
赤君が目の前で仁王立ちしてらっしゃる。ゴゴゴゴと地鳴りのようなものが聞こえるような聞こえないような。
「見守っていて下さいって言いましたよね?」
「す、すみまむふぅ!!」
誤っている途中、ガシッと片手で両頬を掴まれて口がタコさんになる。こ、こんなマコマコがしそうな事を赤君がするなんて…!
成長したわね。って痛い痛い。
「日本語わかりますか?Do you understand Japanese?」
「お、おーいえー」
何かここで英語で言い直されると馬鹿にされてる度が増しますね。流暢な英語がまた…泣きたい。
「だって心配だったから…」
「それを言えば桃井達もそうでしょう。それでもちゃんと留守番していましたよ」
「…ルールは破る為にあるってアニメで」
「アニメの話ですよね」
「うぐ」
瞳孔が開いている。これ以上ふざけるとマジで締め上げられそうになるのでそろそろ黙ろう。
チーンと撃沈しているとかがみんが声を掛けてきた。
「つかお前、いつ口説かれたんだ?」
「え!?そらっち口説かれたんスか!?」
「え?誰が誰に」
「お前があのシルバーとかいう奴にだよ」
「そらさんあの時の英語聞き取れてなかったんじゃないですか?」
何の話だと首を傾げているとかがみんとテッちゃんから説明される。どうやらあの時今日こそオレとパーリナイしようぜ的な事を言っていたらしい。
「知らない」
「知らなかったらんな事言わねえだろ」
「この前偶然会ったのは会ったけど…じゃあその時に言われてたのかな?聞き取れないからそんな事言われてるなんて思わなかったけど」
「それっスよ絶対!」
話を理解した峰さんにもそう言われて考える。そういえばゴリラ猿と言い合ったなと思い出して言えばきー君にズビシッと指差された。人を指差すんじゃありませんとグギッと反らしてやれば痛いと言って叫んでいた。ザマァ。
「油断も隙もないね〜」
「全くなのだよ」
あっちゃんと真ちゃんが神妙な面持ちでそう呟く。ジェイソンに対しての言葉かと考えていると、赤君から命が下った。
「今後そらさんはJabberwockの前での単独行動は禁止です」
「え。そんな大袈裟な。子どもじゃあるまいし」
「手篭めにされてもいいならどうぞ。…と言いたいところですが」
手篭めの言葉にギクッとなる。こ、怖いなそれは。あんなゴリラにヤられたら…考えるだけで恐ろしい。
「オレがよくないので。単独行動はやめて下さい。…お願いします」
きゅん。ななな何だよその意味深長な言葉は。オレがよくないって…やめろよ照れるだろ!
「オレがじゃなくて、オレらが、ねー」
そこへわざわざ言い直すあっちゃん。赤君とあっちゃんが睨み合っている気がするけど、取りあえず心配掛けたのはわかったし悪いと思ったからちゃんと謝った。
「明日はさつきと一緒に迎えに行ってやるよ。だから一人で来るんじゃねえぞ」
「承知した。宜しくお頼み申す」
「何キャラですか」
あたしが正座から片膝着いた形に切り換えるとテッちゃんに白い目を向けられた。
翌日。試合会場に来ると、既に沢山の人が集まっていて屈辱を晴らしてもらうべくみんな既にヒートアップしていた。
峰さんとさっちゃんの横を(保育関係者にバレないように変装する為)帽子に伊達眼鏡を掛けた格好で大荷物を抱えて歩きながら連れて行かれるままについて行けば、そこには集まっているチームみんなの姿。挨拶をすると荷物を置くよう促された。
「っていうか、あたしベンチにいていいの?俊ちゃん達も来るって言ってたから観客席で応援しようと思ったんだけど」
「何水臭い事言ってるんですか!差し入れしてくれたしマネージャー業だっていっぱい手伝ってくれたじゃないですか〜!立派なチームメイトですよ。私のサポート役っていう感じで」
さっちゃんが腕に抱き着いてきた。ハートが飛んでおる。かわゆし。でもマジでいいのかな。
「それにJabberwockの人達に目を付けられているらしいじゃないですか。目の届く範囲にいて欲しいんです、何かあった時の為に」
リコぴんもあたしの心中を察してかそう言ってくれた。昨日の件は既にリコぴんパパから若ちゃん達も聞いているらしい。
相変わらず過保護だなぁと思いつつその配慮が嬉しく、お言葉に甘えて近くで応援させてもらう事にした。
「で、その大きい荷物は何スか?差し入れにしては多過ぎるような…」
「ああ、これね。これはレモンの蜂蜜&砂糖漬けと栄養チャージゼリーとか色々。試合の合間に補給してちょ。あとアイシングに使えそうな物とかかな」
きー君に尋ねられ開けながら説明する。それは助かると喜ばれた。
ちなみに、リコぴんとさっちゃんもレモンの蜂蜜漬けを作ってきたらしい。出来栄えを見ようとどれどれと蓋を開けてちょろっと見てみたら、タイヤのように分厚く切られたレモンも入っていたので見なかった事にしてそっと蓋を閉めた。何も言うまい。成長はしてる。切ってるんだから。あと香りも悪くなかった。ただでかいだけだ。
「こっちは?」
「内緒。んふ!」
「「(絶対よからぬ事を考えているに違いない…)」」
残りの荷物を指しながら順ちゃんが聞いてくるが、口元を押さえて笑って誤魔化す。順ちゃんと若ちゃんの顔が些か険しくなったが気付かないフリをした。
「そういやボーパルソースって何て意味?」
「
VORPAL SWORDSな」
「…プッ」
「ソースって」
発音よくかがみんに訂正された。その後ろではリコぴんパパが吹き出していたが、峰さんに馬鹿にされたように笑われるのは癪である。
ムッとしていると、真ちゃんと赤君から『鏡の国のアリス』に出てくる“ジャバウォックの詩”に由来しており、ジャバウォックという怪物を倒した剣がヴォーパルソードなので、Jabberwockを討つという意味でもこのチーム名を付けたそうな。成る程な。詳しくは本を見るかWikiさんでと言われた。…成る程な。あ、理解したらJabberwockって言えるようになったわ。でもジャバで充分だな。
未だプーックスクスと笑っている峰さんのケツを後ろから蹴っておいた。自分だって知らなかっただろうし発音も上手く出来ないくせに!ケッ!
そんなやり取りをし各自アップを取っていると時間になったようだ。
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