INFINITY WORLDあたしが大興奮
峰さんときー君のダブルチームで圧力という名のプレッシャーを掛けながらジェイソンにディフェンスをする。
ジェイソンは意地になって抜かそうとするが彼の前に回り込み一瞬動きを止めた峰さん、その隙を突いてバックチップでボールを獲ったきー君。その後もきー君は赤君のコピーでアンクルブレイクを仕掛けたり
型のないシュートとやらでそんなシュート決める!?と思うようなシュートをした峰さん。
「いやぁ…すっごいわぁ…」
「……」
「…さっちゃん?」
感嘆の息と言葉しか出ないあたしは、無言でコート内を見つめるさっちゃんに気付いた。
すると少し笑いながらも滲み溢れ出た涙を拭うさっちゃんにあたしは目を丸くさせ、テッちゃんもそれを見て優しそうな表情と大きな声でコート内にエールを送った。
あれか。中学の時を思い出してたとかかな。あたしはそう自己解決をすると頭をそっと撫でてあげた。
「ありがとうございます、そらさん」
潤んだ瞳で見つめられながら礼を言われたあたしに息子が付いてたらマグナム発動してたってくらい可愛いわさっちゃんマジ天使。
ダブルチームで一気に押せると思ったが、そこは流石というべきかジュニアのあのパスで着実に点を返すジャバ。モブがハイテクニック使ったのには感心した。ナメてたわすまん。
でも峰さんときー君の表情は変わらなかった。冷静に状況を見据えてる。
かがみんのパスで超速攻でやり返した峰さんだったが、コート内できー君と峰さんが言葉を交わし、動きが変わった。
「ちょっと二人共…!?」
「いくらなんでも調子に乗り過ぎじゃ…」
リコぴんとさっちゃんが驚愕しながら不安そうに呟いた。見る感じではダブルチームを解いてきー君が一人でジェイソンの相手をするらしい。
「…いいや、逆だ。あいつらに余裕なんてねぇ。あれはそれを悟らせない為のプラフだ」
プラフ?疑問符を浮かべていると真ちゃんが演技なのだよと教えてくれた。へぇ。一々英語にしないでくんないかなリコぴんパパよ。
赤君が言ってた通りの作戦だったけど予想以上にあっちゃんがカバーしてた7番がやり手だったので点差が詰められていない状況らしく、ジェイソン相手ではダブルチームでも予想以上に体力の消耗が激しい為、きー君は峰さんの体力温存を優先して一人で立ち向かうと言う。
「自己犠牲…男前過ぎるぜきー君マジ惚れそう」
「駄目だからね絶対」
スタミナ尽きてもいいって思ってるきー君の考え方にうっと手で口元を覆って涙目になっているとタカ君が淡々と突っ込んできた。今そういうのいいから。え?あたしも?すんまそん。
みんなが神妙な面持ちで見守る中、きー君はキセキの世代の彼らの能力をフルパワーで駆使してジェイソンを止める。でもジェイソンも負けていなくて、冷静さを欠いているジェイソンがきーくんに追い付いてシュートを止められそうになると会場の息が詰まった。
その一瞬。あたしを始め、みんなの脳裏にある話が過る。
Strkyの試合から数日後、きー君がゆっきー達を心配して練習後に電話していた時。仇を取るのではなく、今まで自分達がみんなとやってきたバスケを証明して欲しいとゆっきーは言った。
それを電話越しに聞いていたみんなの表情が締まった。その話、表情、光景が脳裏に浮かんで、きー君は力を振り絞った。
「らあ!!!」
ガッ!!と音を立ててダンクを叩き込んだきー君。ジェイソンは吹っ飛ばされ、会場が一気に沸いた。
「…え!きー君の目が光ってる!!」
どういう原理!?さっきの峰さんもそうだけどゾーンに入ると目が光るって何なの!?…ってゾーン!?
「て事は…ゾーン+完全無欠の模倣!?」
「そんなの…」
「保って数分なのだよ。…だが最早断言出来る。今この瞬間だけは、コート上の選手で最強は黄瀬だ」
ナンテコッタ…マジでか。前の世界である日友達が言っていた…「黒バスで最強なのって黄瀬だよね?だって何でも真似出来ちゃうんだよ。制限時間があるとはいえみんな真似出来ちゃうんだよ。これでゾーンに入ったって話になったらマジ最強の中の最強、つまり神になるのでない?」…と。それが実現した、だと…!?マジで最強じゃん!!この話知ったら友達興奮すっかな!!
会場がディフェンスコールをする中、赤君は何かを思案するような表情をしている。それに気付いたあたしは疑問符を浮かべたけど、流れていく試合に目と脳を奪われ思考の隅に追いやられた。
10点差に詰めたところで第3Qが終わり、息切れする選手のみんなにタオルやドリンクを配った。
「大丈夫黄瀬君!?アイシングもっとお願い!!」
「ハイ!!!」
「えっ!?そらさんに言ったんじゃないんですけどすみませんお願いします!」
あたしが選手顔負けの勢いで返事をして持ってきたアイシング用の氷など持ってくるとリコぴんが申し訳なさげにあたしを見たが必死に動くあたしを見てそのままやらせてくれた。熱気に当てられてあたしも大興奮中である。
そして最後の10分、第4Qが始まった早々、きー君にパスが回って真ちゃんの超長距離3Pシュートを入れようとするが、その場に跳躍する事も出来ずボールは重力に従って落ちスタミナ切れできー君はその場に崩れ落ちた。
「黄瀬君!」
「きー君!!」
体力が底を付いて体が震えているきー君を見てテッちゃんも声を上げた。
「ははっ…カッコわりー…」
「カッコ悪いものか。ここまでよくやった。後は任せろ、涼太」
きー君に手を差し伸べ肩を貸すのは赤君。あたしとテッちゃんが迎えに行くようにベンチから離れて赤君からきー君を受け取り、両サイドからあたし達が肩を貸して支えベンチに連れて行く。
…ん?っていうか涼太?
何故急に名前呼び。
そう思いながらきー君を座らせてリコぴんが介抱する中、試合を再開したコート内に目を向けると赤君とジュニアが対峙していた。
何か会話をしていると思っていると、また外からならば辛うじて見えるほんの僅かな予備動作でパスを投げ掛けたが、投げる前にボールをコート外へ弾き出した赤君。
全員が驚愕に目を見開いていると、赤君は聞こえる声量で言った。
〔絶対は僕だ。頭が高いぞ〕
英語だからわかんないけどズガタカ発言なら最高ッス僕司様ァァァァァァァ!!!
「あかっあかっ、あかかかか!!」
「何語?」
「僕っ子な赤君んんんん!!こっち向いてェェェェ!!」
「はい。直接お会いするのは初めてですね、そらさん」
「初めましてグボァハァ!!」
初めて見た僕司状態にあたしは大興奮でオーバーヒートし、呼び掛けたら芸能人ばりに煌めいて手を振って応えてくれたのでデジカメにその素敵な微笑を収めたところで、意識を飛ばした。
「えっ!?」
「そらさん!?」
練習期間中、赤君に呼び出されて代わるかもって話を聞いたテッちゃん達伝いに聞いていたので、わかっていたけど急にここで出てきたので吃驚だ。あざーっす!!
呑気にそんな事を考えながら思考がプツリと切れた。
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