INFINITY WORLD
みんなとお祝い

「それでは!無事に進学、進級した事を祝しまして!」

「「かんぱーい!!」」

 バイト後、パーティー予約を取っていたらしいとある飲食店に連れてこられた。都内に通う子達みんないるが、霧崎の五人とちーちゃんはいない。まあ、好き好んで馴れ合うような子達ではないからね。だから誠凛海常秀徳桐皇正邦の現役と卒業生、岡さんと福君が勢揃いだ。

 ちなみに此処でちょっとした情報だが、岡さんがイメチェンしたらしい。髪色が明るく変わっており理由を聞くと彼女を作る為との事。所謂大学デビューというやつだなと思います。それにしても彼女か…特に岡さんモテたい願望強いもんな。青春か、若いな。
 岡さんに本当に彼女出来ちゃったら寂しい事は寂しいけど、いつも喚いてるのを見て頑張れって応援したくなるから此処は応援しておこう。

 それにしても、あの世界でも思ってたけどすっごい豪華な面子だよね。あたし此処にいていいのかなって思っちゃうんだけど。

 乾杯の音頭を取ったタカ君に合わせてみんなで乾杯する。あたしはオレンジジュースだ。本当はお酒飲みたいけど今18歳だから断念。早く二年経て。

「大学どんな感じだった?」

「広いの一言に尽きるな」

「学食のご飯美味そうだったよな」

 みんな大学の入学式や新学期の話で持ち切りだ。目の前では岩ちゃんとコボちゃんが質問に答えてくれて、新しい友達が出来たとか美男美女がいたとか、若者ならではの会話がわいわい飛び交い聞いているだけで楽しい。

「高校生は部活の方も順調?」

「若松さん、主将としてバリバリ頑張ってますよ!」

「青峰さんの扱いも慣れ…すいませんすいません!!」

 右隣のさっちゃんと良君の言葉に若ちゃんは照れたようにそっぽ向いた。だだ峰さんだけは良君の言葉に対して睨みを利かせていた。

「今の主将って誠凛が順ちゃんで、海常がハヤヤで、秀徳が清ちゃん弟で、桐皇が若ちゃんだったよね。正邦は?」

「多分言ってもわかんないよ!」

 あ、うん…。いい笑顔でともっきーに言われたら何も言えなくなった。

「陽泉はたっちゃんがなったって聞いたし。洛山と霧崎も変わらずあの頭脳派の二人だし。あ、そうそう。あたしみんながバスケしてるところ観たいんだけど。あと清ちゃんの弟も見たい!」

「バスケは観にこりゃいいだろ」

「宮地さんの弟はまんま宮地さんッスよ」

 かがみんとタカ君に答えをもらうが何か適当過ぎない?

「清ちゃん、弟君呼んでよ」

「出た、よくある無駄な呼び出し」

「無駄扱いされた…」

 容赦ない清ちゃんにチーンと机にうつぶせていると左隣のリコぴんに背中をポンポンと叩かれて慰められた。

「今度誠凛練習試合の予定あるんで、よかったら来て下さい」

「ありがとうリコぴん!バイト時間合わせて行くね!」

 キラッキラした目を向けると優しく微笑んでくれるリコぴん。

「そらさんが来るならもっと気合を入れないといけませんね」

「頑張ってね。また公式試合も観に行くから。楽しみだなー」

 微笑むテッちゃんに頷き返しながら食事を口に運ぶ。

「で。そらさんはこれからどうするんじゃ?やっぱり保育士に戻るんか?」

「あー…」

 岡さんの問いにまだ考え中と苦笑しながら答える。

「保育士以外にするとしたら何したいんスか?」

「そうだねぇ。例えばバーテンダーとか」

「似合わねえ」

「歯科衛生士とか」

「口調優しいイメージだから無理だろ」

「看護師とか」

「白衣の天使にはなれんね〜」

「みんな今日酷くない?」

 そんなにあたしを落ち込ませたいか。特に峰さんと村ちゃんとスガをじとりと睨むが笑ってスルーされた。ちょっと年近くなったからって敬意は忘れちゃならんよ。

「オレはどの制服も似合うと思いますよ!」

「お前はそればっかか!!」

 うん、森りんは安定の回答でゆっきーも安定のツッコミだわ。

「やりたい事沢山あんのか?」

「いや、明確にはないのよそれが。他の職種にも手を出せたらって思ってるだけで。でもやっぱり保育士がしっくりくるかな…」

「そらさんの保育姿見てみたいもんやなぁ」

 福君に尋ねられ何て自分は中途半端なんだと思った。けど今までこんな感じだったから焦りはない。翔ちゃんにそんな事を言われ、あたしは目を瞬かせた。

「今再現しようか?」

「は?」

 あたしの言葉に一同呆気に取られる。

「オホン…はい皆さーん。ご飯の時間ですよー。手はちゃんと洗ってバイキンさんとバイバイしましたかー?」

「「……」」

「しましたかー?」

「「(え、これオレらが子ども役?)」」

 子どもが親しみやすいようにニコニコ笑顔を振り撒き身振り手振りを加えてみんなに声を掛けるが反応がない。まるで屍のようだ。いや唖然としてるだけだけど。

「し・ま・し・た・かー?」

「「は、はぁーい…」」

「はいオッケー!今日の夜ご飯はこのお店の人が一生懸命作ってくれたご飯です。食べ物と作ってくれた人にありがとうって気持ちを込めて、みんなで頂きますをしましょう。せーのっ頂きまーす!」

「「頂きまーす…」」

「上手に言えたねー」

 当然乾杯から時間は経っているので既に食べ始めているのだが、食べ始める体ていで手を合わせさせて挨拶をするってところまでを披露。一部の人がちゃんと挨拶をしているのできちんと褒めておく。

「ちょっと普通よりオーバーにしたけど大体こんな感じ?」

「いやわかるけどわからんわ」

「オレ達が子ども役するんじゃなくて、本当の子ども相手で保育してるのを見たいって意味なんだと思うが」

 あ、そっちですか。ツボちゃんの言葉で意味は伝わった。
 自分達が子どもじゃ駄目なのね。確かに子どもの発想は豊かで無限だからその子ども相手にどう接するかって事ね。今みたいに煩悩が入った頭持ってる連中相手にするのは違うのね、了解。

「声に出てるけど」

「やべ」

 しらっとした目をスーさんに向けられて慌てて口を噤む。

「話変わるけど」

「無理やり変えた!」

「一年生はバスケ部入りそう?秀徳とかどう?」

 コガのツッコミを物ともせず話をすり替えると、真ちゃんが眼鏡を押し上げながら話に入ってくる。

「木村さんの弟と、大坪さんの妹がマネージャーで志望届け出していたのだよ」

「まじ?兄弟多いねー」

「宮地さんの弟もいるしねー」

 ほうほう。確かツボちゃんの妹ちゃん(多恵ちゃんだっけ?)は可愛いらしいし、羨ましいなと思った。

「海常は?」

「黄瀬目当てのマネージャー志望が多かったッス!!部員は結構入(り)そうッス!!」

「去年通りそういう子らは入ってもらってないんスよ。だから多分今年もマネージャーなしっス」

 苦労してんだな、と哀れむような視線を向けるときー君はそんな目で見るなと額を小突いてきた。おうふ。

「桐皇は?」

「ぶっちゃけ桃井目当てっぽい奴は何人かいるが、練習量がそれどころじゃないから、って感じだな」

「多分実際にやってみたらテツ並みにゲーゲー吐くぜ」

「失礼ですよ青峰君」

 此処でもさっちゃん目当てとな。モテる美男美女はちゃいまんな。峰さん、わかりやすいんだけど今食事中ね。テッちゃん怒ってんじゃん。

「正邦は?」

「多分言ってもわかんないよ!」

 あたしともっきーに嫌われてんの?

「…じゃあ、誠凛さん…」

「そらさんのダメージが大だ」

「お、おう。WC優勝したってのもあって、やる気ある奴らが結構希望出してきたよ」

「でも大半は今日の見学で練習量見て引いてたから辞退するかも」

 順ちゃんは心なしか嬉しそうに、俊ちゃんは苦笑をして今日の事を話す。でも何処でも本気の所は練習量ハードなのはそうじゃね。それを乗り越えてなんぼだろうよ、少年達よ。考えている事がわかったのか、水戸さんがあたしを見て苦笑した。

「いっぱい入ってくれるといいね。何処もいいチームってイメージだから、試合とか楽しみになるよね」

「だな。今年はオレも少しでもいっぱい出られるように頑張らないと」

「オレも頑張らないと…!」

 ツッチーがジュースを飲みながら少しだけキリッとして言う。その近くでフリが一人で意気込んでいた。

「あと部活もだけど、恋愛の方も頑張れ少年少女達よ」

「「今は年齢変わんないじゃん」」

「そういやオレ一年で可愛い子見た」

「オレも見付けた」

 腕組みをしてあたしが言うと四方八方から突っ込まれた。その影で河ちゃんとひろやんが話してるのが聞こえたので、早速かと笑えた。

「あと学生の本分である勉強ね」

 それを聞いて数人が白い目をしたのをあたしは見逃さなかった。

 みんなと楽しい時間を過ごしながら、洛山や陽泉の子らともわいわいしたいなーと思った。

 ところでお気付きかしら。さっきから一人この場に混ざってんだよね。「そらさんのダメージが大だ」って言った奴。誕生日席に位置する所にずっと立って会話聞いてるんだよ。そして会話に入ってきてあたしの名前を気安く呼んだ。気安く呼ぶんじゃねえよ。

 お察しの通り男性の霊的なもので、外だけではなく中でも油断出来ないので少しうんざりです。大分驚かなくなったけど一向に慣れない。
 視ないようにはしてるけど、気になっちゃうんだよね。不意に少し視線をそちらの方向に向けた時に目が合った。

 あ、やっぱり視えてた。

 ニヤァと笑った顔はちょっと怖い。気付いて欲しいだけで悪意は感じないけど。

「だーれだ!」

「んえ?…この手触りは…さっちゃん!」

「当ったりー!」

「変態臭ェぞ」

 ふと目元に両手が被さり、後ろ誰だ当てゲーム(命名)をされる。声でわかるけど手を触って当てると福君に突っ込まれる。

 さっちゃんもそうだけど、みんなあたしが霊を視てしまってる時とか顔色が変わるからわかりやすいとかで、こうして妨害してくれる。
 みんなは視えないが、霊の扱いに慣れてないあたしの扱いに慣れてくれているので助かってるっていうのは余談で。

 ちなみにこの幽霊は時間が経つと相手にされなくてつまらなかったのか何処かに消えていたので問題ない。

3/73
←|→

BACK/TOP
ALICE+