INFINITY WORLD
あたしが秀徳潜入

※途中ちょっと如何わしい表現入ります。

 五月上旬。

「第二回!チキチキ!みんなの学校に潜入してみよう大作戦んんんん!!」

 パフパフパフ!

 どうも、一回目にして潜入のコツを掴んだそらです。前回の誠凛は四月下旬で、少しずつ暖かくなりつつある今日この頃。
 常連さんに編集してもらった後、再度ビデオカメラを拝借して前回同様現在三脚に立ててオープニングを撮影中です。

「今回は、デデーン!秀徳です!!」

 カメラに向かってポーズ。うん、まだ恥ずかしい。秀徳の制服は普通の白黒のセーラー服。シンプルでいいね!賢そう。今回は二つ結びに眼鏡です。

「ただ問題がある。歴史や伝統ある古い高校って事と、校則が厳しいって事」

 実はあたくし、おませさんで両耳にピアスが一つずつ開いてるんですね。無論それは外してます。引っ掛かりたくないので身嗜みには細心の注意を払ってます。髪色も問題ないから大丈夫だろう。

「一番心配なのはそう。幽霊さんです」

 歴史ある高校なので、相当いると思っています。

「だからお守りとお札、忘れずにね!そんじゃあ、レッツゴー!!」










「秀徳に着きました!通学ラッシュだから人が多いですねー」

 今回もカメラは鞄に仕込んでる。ラッキーな事に校門に先生はいない。

「真面目そうな生徒が多いね。かく言うあたしも真面目に見えると思うけど」

 校門を潜くぐりブツブツ言いながら歩くが人通りが多いので気にされない。
 校舎には向かわず真っ直ぐ体育館へと歩み進める。

「いやしかし、何処もかしこも歴史を感じさせる造りですな」

 カメラに音声を吹き込みながら歩いて行くと、大きな体育館へ着く。中からは男子の声やボールが跳ねる音などが聞こえる。ひょっこり覗いてみると予想通り朝練をしているバスケ部の姿。

「みんな真面目にやっておりますな。偉いぞ少年達。あ!あれが噂の現主将の清ちゃん弟君じゃない?うわイケメン。兄弟揃ってイケメンとか。あれ、向こうには村ちゃんに似てる子…村ちゃんの弟君かな?あっ、女の子一人いる!マネっぽい!あれ絶対ツボちゃんの妹の多恵ちゃんだよ。くそかわ」

 ちょっと興奮気味に一人で暴走をしていてハッとした。いかんいかん。油断すると誰に見付かるかわからんからな。

「おーおー、真ちゃんもタカ君も先輩っぽいじゃん。ちょ、真ちゃんのシュートヤバいんだけど。ブレないとかマジ神。あ、休憩だ。あれ?ちょっとタカ君デレてない?多恵ちゃんにデレてない?スクープ?ちょっとコレお兄ちゃんに知らせていいの?まあこのビデオ通して知らせますけどね」

 へらへら笑ってドリンクのボトルを受け取るタカ君をバッチリ収めて、一人でニヒルに笑いながらその場を後にした。

「さて、潜伏場所ですが〜…」

 校舎に入って直ぐ。あたしは一点からビシバシと視線を感じた。こ、これは。

「駄目だ。視ちゃ駄目だ。そっちは見ないで安全な方に行こう」

 あまり宜しくない気配なので、雰囲気が悪い方へは行かず反対側に歩き出した。霊媒体質だから目を付けられ易いから気を付けないと。しかし、それにしても。

「浮遊霊とか地縛霊多くね?」

 そんなに此処で亡くなってんの?と一瞬疑問に思ったが、この学校古いし歴代の生徒達の想いや念は詰まってるからそれに寄せられた霊か、或いは元生徒で亡くなられた方がこの校舎に強い想いがあるからいると推測する。勿論そんな霊は大した事なく害もない。
 さっきの視線もそうだけど、純粋な霊だけではなく怨念のようなものを持つ霊もいるけどね。無視すればいい。こっちには札やお守りがあるんだぜ。

「よし、此処にしよう」

 今回はなんと大胆に図書室。覗いてみると司書の人がのほほんとした感じのおじいさんだったので、一度試しに始業のチャイムが鳴るまでいたが、あたしに気付いているのかいないのかは定かではないものの何も言われないので居座る事にしたのだ。
 此処なら今の所霊もいないので安全地帯だ。司書の人もいるし。

「秀徳での知り合いは真ちゃんとタカ君のみなので、撮影自体大変ではない。二人一緒のクラスらしいし。ニコイチ並みに一緒じゃねえか。前回の誠凛では朝は居眠り撮れなかったけど、タカ君なら居眠りこいてくれていると信じて突撃したいと思います」

 コソコソと喋りカメラを自分に向けて撮影をする。鞄は見えない所に置いて、カメラ片手にいざ出陣。
 出て行く際は日向ぼっこしてウトウトしていたので司書さんに見られなかった。仕事しなくていいのか。










「此処かな〜?あ、いた」

 小声で話しながら二年生教室の後ろのドアから少し中を覗く。真ちゃんは緑なので一発で見付け、タカ君も難なく見付けた。真ちゃん姿勢いいな。そしてタカ君…あ、欠伸した!これ絶対寝るな。

 そう思いながらカメラを構えて撮影する。此処からの位置だといい感じに斜めで顔が見える。
 必死に目を開けているが段々とこくりこくりと船を漕ぎ始める。一限目なのに。期待を裏切らない奴だな可愛い奴め。これタカ君ファンに流したら絶対売れるわ。

 一人でニヤニヤしながら撮影終了。もう既に部活風景と授業風景撮れたからミッション達成じゃね?学生の醍醐味である食堂や購買は時間になったら行くけど。誠凛でも確認はしに行ったよ、メニューとかね。
 昼過ぎに帰って保育の勉強するかーと思いながら一度図書室へ撤収。

 したら。

「………おはようございます」

「おはようさん」

 司書さん起きててバッチリ顔を合わせちゃった。

「授業はいいのかい?」

「あー、はい。今日は図書室学習がしたくて」

「そうかいそうかい。たまにはいいんじゃないかね〜」

 いいのか。
 杞憂だった。見た感じのまんまの性格してた。特に突っ込むでもなくお茶を啜っているので、隠した鞄を出してきて司書さんの見える所に行く。

「君は珍しいモンを持ってるね〜」

「え?あ、コレですか?」

 急に話し掛けられ持っていたカメラを持ち上げると頭かぶりを横に振る司書さん。

「霊能力だよ」

「えっ」

 このおじいさん司書さん何者!?
 あたしが唖然としていると、微笑むように細められていた目がスッと開く。

「気を付けなさい。此処には一体厄介なモノがいるからね」

 司書さんの目は何処か鋭く、忠告されて思い浮かぶのは校舎に入った時の視線。あたしは神妙な面持ちで頷くのが精一杯だった。

「でも、いいモノを持っているようだからそこまで心配しなくてもいいだろうに」

 お守りとお札の事かな?そう思いながら苦笑を返しておく。この人も視えんのかな。
 いや、視えてたら薄めの頭の上に子どもの霊乗せてないか。いや、あれわざとか?飾り?飾りなの?
 その疑問はぶつけられなかった。










「お昼〜!」

 四限目終了のチャイムが鳴った。その間時折真ちゃんらの様子を見に行きつつ、司書さんと話をしたり図書室にある本を読んだりして過ごした。
 やっとかと重い腰を上げてカメラを仕込んだ鞄を持ち図書室を去る。もう帰るので此処には来ないから司書さんに挨拶しておく。にこやかに手を振ってくれた司書さんと子どもの霊。あたしは購買へ直行した。何を隠そうお弁当は持ってこなかったのだ。面倒臭くて。
 お金払うし購買か食堂でいっかなーみたいな?

 ルンルンで歩いていると曲がり角で人にぶつかった。

「のわっ!?」

 後ろに跳ね返り倒れるって所で腕を掴まれ、グイッと引かれて体勢を立て直す。

「あ、ありが、とぉぉおお!?」

 そしてそのまま腕を引かれて曲がり角の方へ引き込まれたかと思えば掃除道具箱で影になっている所へ引っ張られ、壁を背に体を押し付けられる。あっという間の事で相手が確認出来ない。

「ちょっ、!」

 視界に入る制服は学ランなので男子生徒だ。両手を片手で簡単に掴まれ腹部辺りで拘束、足の間に足を割り込まれ身動きが取れなくなった所で顔を上げると目の前にはなんと。

「どもっす!そらさん」

「た、タカ君」

 爽やかな笑みを浮かべたハイスペックイケメンでした。

「な、何で?」

「んー?朝練から見てたっしょ?視線感じてたし、視えてたから」

 鷹の目侮れぬ!!影に隠れていても少しの人影であたしだと気付いたのかこの子は。お、恐るべし。

「で、なーにしてんの?授業中も来たりなんかしてさ」

 ずいっと整った顔を近付けられ仰け反るが後ろは壁。近い距離に赤面すると同時にナチュラルに股ドンされている事実にパニックになった。

「ちょちょちょタカ君近い!離れて離れて!!」

「やーだね!早くオレの質問に答えないとチューしちゃうよ?」

「こらこらこら!そんな子に育てた覚えはありません!!」

「お母さんか!!」

 何とか離れようと身を捩るが全く通用しない。タカ君はニヤニヤ笑っているだけ。ちょっと君、多恵ちゃんとスクープなんでしょ。あたしにも手を出すってどゆこと。
 慌てて事情を説明すると納得はしてもらえたみたいだが、体勢は変わらない。

「ちょ、いい加減離そう?ごめんって、悪気は一切ないんだよ?ちょっとした悪戯心だけだし。購買寄ったら帰るつもりだし」

「怒ってないよ?面白そうだから終わるまでみんなには黙ってるし、安心してよ」

「あ、そう?ありがとう」

 水戸さん同様黙っていてくれるそうで安心した。って違うよ。体勢変わってないんだってば。

「ひっ!?」

「んん〜?」

 今!!コイツあたしの股に攻撃した!!グリって!!いやスリ?かも。ってどっちでもいいわ!!

「ちょ、あ、待っ!」

「聞こえませーん」

「やっ…!ちょっと待っ、て!タカ君!」

 そこはデリケートゾーンです!気安く触っちゃいけません!!尚も悪戯に足を股に擦り付けられ変な声は出るし絶対変な顔になってる。
 タカ君こんな事する人?いやしないでしょ。まさか悪霊に撮り憑かれて!?とあたしが辺りやタカ君を見つめるが何もいない。あ、あれ?

「そらさん」

「うっ、ん…何?」

「制服似合ってる。普段見ない格好だしうちの制服着てくれたからちょっと興奮して悪戯しちゃった!ごめんね?」

 うん、いいよ許す。
 って言っちゃうくらい悪戯っ子のような顔をして謝ってくるもんだから許してしまった。クソ、策士か。
 タカ君は許しを得るとにんまり笑ってデコチューかました上であたしを解放した。最後の必要あった?たっちゃんもした事あるけど必要あった?

「購買いくんでしょ?だったらオレも買いに行くから一緒に行きましょー」

 そう言って腕を引っ張るタカ君が何だか楽しそうだったので憎めなかった。可愛い奴め。
 しかしその途中。

 ソノ身体チョウダイィィィ

 急に影から飛び出てきた目がない血塗れの女に飛び掛かられた。油断した。この廊下最初避けた廊下じゃん。息を潜めていたのか悪意や悪寒を感じなかったのに今はビシバシ感じる。

「ぎゃああああ!!?」

「ちょ、そらさん!?」

 吃驚してすっ転んで奇跡的に避けられた。だが転けた拍子にタカ君も巻き添え食らって一緒に転けた。

「急にどうしたんっすか!?叫んで、」

「ごめん!悪霊退散んんんん!!」

 ギャアアアアアア!!

「え!?」

 人通りがない事をいい事にあたしはタカ君の手を解いて持ってた札を投げ付ける。見事顔に当たった瞬間に絶叫と共に白い煙に包まれ、幽霊は強制的に退散させられた。あたしの声しか聞こえていないので、タカ君呆然。

「今幽霊襲ってきたから。悪霊だったから有白家特製のお札で強制退散してもらったんだよ。瞬間移動的なので今ひのちゃん家に送還されたと思う」

「成る程…で、大丈夫?怪我ない?」

「ん、平気」

 呆気なく終わってよかった。ひのちゃんのご両親には意図を理解した上で札を使うように言われているのでこれで問題ない。今頃成仏出来るように供養してくれている事だろう。あたしには祓えないので、有白家には申し訳ないが甘えさせてもらっている。

「いや〜、しかし」

「ん?」

「俺的にはやっぱスカートの下は見せパンなしのがいいかなっ!」

「ふざけんな助平野郎」

 さっき転んだ拍子に見たな?だが見られても問題ない。黒の見せパンを履いているから。しかしタカ君よ、もしかして峰さんや灰君と同類疑惑があたしの中で浮上してますが大丈夫ですか?

 そんなこんながありつつ、購買で昼食を買って一緒に食べたいとの事で屋上にてタカ君と食べる。いつも真ちゃんと食べてるらしいけど、必然的に今日はボッチ弁当をしているそうな。彼の事だ、煩いのがいなくて清々するのだよとか思いつつちょっと寂しい、みたいなツンデレぶっこいてると思う。

 昼食後はタカ君とバイバイして早々に秀徳を後にした。これ以上幽霊に絡まれるの嫌だしね。

「ミッションコンプリート!!」

 今回もキメ顔で終わり家に持ち帰ったが、動画の確認をしていて気付いた事二点。

 タカ君に股ドンされている間の音声が一部始終残っている事。(映像は鞄の位置的に映ってなかった。)
 幽霊に襲撃受けた時にバッチリ幽霊映ってて恐怖な事。

 これは…特に前者を編集されるのは恥ずかしい。だが使い方がわからず消去出来ない。心霊映像は常連さんが怖いと思う。
 最初らへんのデータを消すにはいかないので、事情を説明して我慢して編集をしてもらうしかないと腹を括った。股ドンは削除してもらえるようお願いしよう。

 以上、色んな意味ですヤバい秀徳編でした。次は何処にしよう。今回みたく失敗しない作戦を練り直して頑張ります!
 次回にも乞うご期待ィィィ!!

7/73
←|→

BACK/TOP
ALICE+