INFINITY WORLDあたしが霧崎潜入
「第五回!チキチキ!みんなの学校に潜入してみよう大作戦んんんん!!」
パフパフパフ!
さあさあ!二回連続やってきたよ!ぶっ続けでいっちゃうんだぜ!!
今回のオープニングはカメラの前には立たず死角に潜みながら撮影中にございます。理由はこの後直ぐ。
「今回あたくしはテンションが二割り増しで高くなっております。何故かって?それは〜…デデン!!男装だからです!!」
ハイッとポーズをしながらカメラの前に出現!我ながらいい登場の仕方ですね。
「今回はそう!霧崎にお邪魔しちゃいま〜す!!」
イエーイ!とはしゃぐあたし。霧崎はお坊ちゃん校と呼ばれており男子校なんですね。共学だったらよかったんだけど、でもこの展開も美味しい展開!
男装やってみたかったんだよね。しかも我ながら中々のクオリティで出来上がりました。
制服は黒のブレザーに白シャツと赤ネクタイ。うん、カッコイイ。サイズは勿論一応女なので小さいやつ。
髪の毛はウィッグを被って良君みたいな髪型で、色は目立たぬよう黒髪にしている。眼鏡も装備で何処からどう見ても真面目キャラである。
「これで喋らずにいれば絶対ばれないよ!喋っても低い声すれば平気だぜ!待ってろゲス崎ィィィ!!あ、間違えた。霧崎ィィィ!!」
レッツらゴー!!
「うわぁ…やっぱ男子多いな…」
校門前に来て言った一言。そりゃ当然だろうって?わかってるよ、わかってるけど言いたくなったの。
「バスケ部朝練してんのかな?あ、ゴルフ部だ」
確か霧崎はバスケ部とゴルフ部が強いんだよね。ゴルフ部もゴルフクラブで殴るとか振り回すとかラフプレーしないよね?したらヤバイよね。
そう思いながら体育館のある方へ歩き進めていると、大きな木の下でブレザー姿の女の子が木を見上げている姿が見えた。あら?何でこんな時間に?てか可愛いんだけど。
栗色のふわふわしたボブの髪型で切なそうな顔をしながら見上げる女の子。その横顔に釘付けになっていたが、あまりジロジロ見ていてもと思い目を逸らしその子の後ろを通って体育館へ向かう。可愛かったなあの女の子。
ふと立ち止まる。待てよ?此処男子校じゃん。何で女の子いるの?
そう思い振り返るが、既にそこに女の子の姿はなかった。よくよく考えればちょっと透けてたような…。
って、あの子幽霊か!
今更ながら気付いたが特に悪意もなかったのでまあいっかで終わる。そして体育館へ行くと、そこには誰もいなかった。
「オイ!!今日朝練なしか!!言ってよぉぉぉ!!」
いや言えないよね。てか聞いてないし。
早起きしたのに〜と思いながら悄然と肩を落とし来た道を戻る。もしかしていつも朝練してない?いやそれはないか。前朝練の時にどうたらこうたらってザキが話してたし。
残念な気持ちでトボトボ歩いているとさっきの木の近くまで戻ってきた。するとそこにはさっきの女の子がいて、同じように木を見上げている。
やっぱり幽霊だ。直ぐに気付かなかったのは結構普通の人間並みに存在感があるからだろうか。可愛いし。
にしても気になる。何でそんな切なそうな顔してんの?
そう思っていると視過ぎていたからか女の子が振り向く。やべ。
…おはよう
「え、あ、おはよう」
私が視えるのね
「まあ…うん」
思ったより落ち着いた声の子だった。上品に笑う様子はあたしと比べ物にならないくらい可愛い。
あなた…男の子にしては声高いのね。本当に男の子?
「あ、いや…此処だけの話ね?男装して学校に潜入してんの」
へぇ?詳しく聞かせて
「誰にも言わないならね」
誰かに言えるのかは知らないが。頷いた彼女にこの計画を話すと面白そうだと笑う。
そう。女の子なのね
「生物上はね」
ふふ。私とは正反対ね
「…ん?」
正反対?どういう意味だ?と思いながら首を傾げていると女の子は笑った。
今は佐藤華子。昔は佐藤剛。私も入れ替わったのよ
「…は?」
ええーっと?とどのつまり?
「玉、取っちゃったの?」
玉、取っちゃったの
マジかよ。
…マジかぁぁぁぁぁああああ!!?
始業開始から暫くして。やっと始動し始めたあたしの側には剛君こと華子ちゃんがいる。あれから気持ちを整理するのに時間がやや掛かったが彼、ではなく彼女を受け入れた。
切なそうに木を見上げていた理由を聞くと、生前同性を好きになった事で性転換をしいざ告白という時に事故で亡くなってしまったらしい。だから告白出来ず終いで無念の思いから現世に残っているんだとか。
ちなみにその好きな人はもう大人になっていてパートナーもいるそうで、彼女の淡い小さな恋は儚く散ったのである。その話をする華子ちゃんは本当に乙女だった。だから声落ち着いてたのね。でも男の子の声には聞こえない。凄いわ。
で、何で一緒にいるかっていうと誠凛の時カケル君に手伝ってもらったみたく華子ちゃんもお手伝いしてくれるそうで、ついてきてくれたのである。楽しい思い出が出来れば成仏出来るかもって事もある。
いざという時は名前を使っていいとの許可ももらった。ありがとう華子ちゃん。
で、今は三年生のクラスがある階に来ている。今から五人の捜索をしながら撮影をします。
ひょいと二人で覗くとザキがいた。結構距離が近いぞ、一番後ろの廊下側から二つ目の席に座りややダルそうな格好で授業を受けている。不良かよ。
その姿を隠し撮りしているが、何も面白い事が起きない。ザキつまんねえ奴だな。
そう思った時ザキがこちらを振り返った。あたしはビビって姿を隠す。オイ何でわかったの?悪口だったから何か感じ取ったの?
華子ちゃんは幽霊だから見えないので中の様子を見てもらうと前を向いている様子とのだが、今は怖くてあたしは覗けないと思い次の教室に行く。
次の教室には康ちゃんとかずやんがいた。康ちゃんは言わずもがな真面目に死んだ目で授業を受けている。かずやんはガムを膨らませながら授業を受けている。ちゃんと受けろよガム食うなよその前髪何なんだよ。
そう暴言を吐いていると二人が同時にこちらを向く。またあたしは慌てて姿を隠した。何?何なの?悪口心の中で言ったから?
華子ちゃんに確認してもらうがもう前を向いているらしい。が、ザキの時同様以下同文。
一個飛ばして次の教室にマコマコと健ちゃんがいた。健ちゃんは居眠りこいており、マコマコは真面目に受けている。あ、マコマコ当てられた。
「次の問題、花宮」
「はい」
キリッとしてシャキッとしてスパッと答えるマコマコ。オーバーに言ったけどあたしにはそう見えた。
「正解だ。流石花宮だな」
先生べた褒めだ。マコマコは爽やかな笑みを浮かべて着席する。
「凄いな、花宮君。僕も頑張ろう…あ、わからない所あるから後で教えてくれないかな」
「ああ、勿論いいよ」
うわ。うわうわ。マコマコめっちゃ猫被ってんだけど。隣の男の子にお願いされて優しく微笑み快く引き受けたマコマコ。絶対心中「前にいる教師に聞きに行けよ面倒臭ェな」とか思ってんだろうね。
まあ猫被ってるマコマコも爽やかでカッコいいんだけどね。普段の彼を知っているからあたしからしたら吹き出しモンですわ。
つかおい、いい加減に起きろ健ちゃん。ホクロ二つに増やしてやろうか。
そう思った瞬間二人が同時にこっちを振り返る。フン!三回目だから同じ手は食わないぜ!振り返る前に隠れたからあたしの勝ちだ。
華子ちゃんに確認してもらうと二人はやはりこっちを向いていたようで、あたしの勘パネェと自画自賛。
しかし五人中五人が悪口言ったら振り返るってどうなの。エスパー超えてんだけど。打ち合わせしてた?寧ろあたしがいるの知ってる?
いやいやまさかなぁ。流石に霧崎でもそれは…あり得る、のか?
流石ゲスの極みの霧崎五人。ザキは言う程でもないけど。そういう悪い視線は受け慣れてるから、微かな悪意でも感じ取ってしまうと解釈しよう。そうしよう。
そうとなれば行動範囲が狭まる。ここは一つに目標を絞ろう。
マコマコがどれだけ猫をかぶっているのか調査だ!それと部活の様子を見に行く。
目標が二つになってるって?そんなの気にすんな!
華子ちゃんに作戦を伝えて一旦その場を去る。昼休みにマコマコを尾行だ。
「いやぁ、すまなかったな花宮。助かったぞ」
「いえ、これくらいどうって事ありません」
職員室にて、教材運びの手伝い。
「花宮君、ありがとうねぇ。お陰で先生助かっちゃった!」
「どういたしまして。先生も女性なんですから無理しないようにして下さい。男子はそこら辺に沢山いるんですから頼っていいんですよ」
保健室にて、布団干しと取り込みの手伝い。女性教師はマコマコにメロメロである。
「花宮君。これ教えてくれないか?」
「どれ?…ああ、これはここを…」
教室にて、何人かが数学や英語でわからない所を聞きに来るのを丁寧に教えてあげる。
うん。ゲスマコがない。逆にあたしは恐怖なんだが。
取りあえず、普段とは比べ物にならないくらいの優等生マコマコが撮れたのでよしとする。ネタばらしの時にみんなに笑われればいいわ。フハハハハハハ!!
あたしはフンフンと鼻歌を歌いながら廊下を歩く。一般の生徒に混じっているので目立たないはずだ。しかも他に比べれば小柄だし。周り大きいな〜と思っていると、グイッと腕を引かれた。
「!?」
もしやマコマコ!?と思い振り返るがそこには見知らぬ人が二人。見た感じ不良っぽく、ニヤニヤ笑っている。え、何?鼻歌を歌ってたから注意しに来たの?低い声を出しながら尋ねる。
「あ、あの…何か?」
「お前一年か?男にしちゃ可愛い顔してんな」
…え?今可愛いっつった?
「ちょっと向こうで話しようぜ?」
「あ、オレら三年だから」
あたし18歳ですけど。何だったら24歳ですけど。
これはまさか。男子校にあると噂されるゲイの方達なのではあるまいか!?少なくとも一人若しくは一組ゲイがいるというアレの関係で、あたし目付けられた!?
溜まってんならその辺の女捕まえろよ!!何も男子校の中で済ませようとしなくていいぜ!!
手首を掴まれ引かれる中であたしが嫌だ嫌だと踏ん張っていると、不意に引く力がなくなり反動で後ろに倒れる。
「うわ!?」
「っと、危ない」
しかし床に尻餅つく前に後ろにいた人に支えてもらい倒れこむ事はなかった。お、おお。
「何してんの?」
「げ、瀬戸」
瀬戸?え、健ちゃん?
「いい加減に立場弱いの引っ張ってくのやめなよ」
「チッ…」
後ろの彼がそういうと二人は去っていった。やっぱりそうなの?ゲイ的なアレでBL的なアレしようとしてたの?
男子校こえええええ。
「君大丈夫?」
「あ、はい。ありがとうございました」
支えられていた体を立て直し振り返るとやっぱりそこには健ちゃん。喋り方とか声とか健ちゃんだったわ。
ペコッと頭を下げると健ちゃんは気にしなくていいと言う。そしてあたしを見つめた。あ、これやばい。
「そらさん?」
「山口剛です」
「いやそらさんだよね?」
「剛です。GO〜デェース!」
「いや面白くないし、歌手の郷には似てないし」
うるっせえやい!!
結局隠し通せず健ちゃんにはバレちゃいました。潜入計画を一から話すと納得はしてくれたみたいで、面白いからと言い黙ってくれるとの事。流石話がわかる奴は違うね。今の所バレても黙ってくれる人ばっかにバレているので安心だ。裏切るなよ瀬戸健。この略し方いいね。
あと部活の様子を撮りたいと言うと、面白映像提供として部活中にみんなのズボンを下げてくれるとの事。マジかよやってくれんの?ヤバイみんなのパンツ何色だろ。
でもマコマコとか引っ掛かってくんなさそう。気付いて止めそう。てかマコマコにも出来るの?健ちゃん。
「っ!?テメェ何しやがる健太郎!!」
「ズボン下ろしたんだよ」
「ンなモンわかってるっつーのバァカ!!急に何すんだって話だよバァカ!!」
本当に下げたァァァ!!健ちゃんヤバイんだけど!!雑草生える!!吹き出すの堪えるの大変!!
かずやんとザキも大爆笑。康ちゃんは無表情なのでわからないが楽しんでいると思う。
マコマコは半分ずり下がったズボンを上げながらマジギレしてバァカの連呼。まだアレくらいの激怒ならどうって事ないさ。本当にマジギレしたら静かにフツフツと怒りそうじゃん。怒鳴るだろうけどもっとドスが利いてるというかさ。
ちなみにマコマコのパンツは黒のボクサーパンツでした。ご馳走様です。
その後も不意を狙ってかずやん、康ちゃん、ザキの順番で部活終了までにズボンを下ろしまくった健ちゃんファインプレー過ぎる。
「今日の瀬戸どうしたんだ?」
「いつもはやらない悪戯が多いよん」
「何か悪い物拾い食いでもしたんじゃねえの?もう最悪だ…ケツ見えるし…」
一番笑ったのはザキがちょっと半ケツになった事かな。多分カメラにはあたしの笑いを堪える声や堪え過ぎて息切れが入っている事でしょう。今までの学校潜入で一番笑ったわ。ありがとう健ちゃん。
かずやんに仕返しされそうになってもスルリと避ける健ちゃんは神だと思った。
ちなみに華子ちゃんはと言うと、一日あたしと一緒に行動していたのでこの様子もバッチリ見ているわけで、みんなのパンツ姿に鼻血を出して喜んでいた。
このまま成仏出来たらと思ったが、まだまだいっぱい目の保養をしておきたいと言い暫くまだ現世に止まるとの事。あまり止まり過ぎてもよくない事を伝えると程々に満足するまでと言ったので、お好きなようにと言い別れた。一日付き合ってくれたお礼として蜂蜜レモンの飴をあげた。甘酸っぱい恋の味ですね。
何はともあれ真面目に部活する姿も面白映像も撮れた事だし、今日の潜入はやりきった感半端ない。
「ミッションコンプリィィィト!!」
途中のハプニングなんか気にならないくらい清々しい気持ちだぜ!!
あ、下品でごめんなさい。赤君にチクっちゃ、メッ!よ!
まあいずれはバレるんだけどね。
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