INFINITY WORLD
あたしと試験

【緑間side】

 もう直ぐ夏休み。の前に、一学期の期末テストがある。今日丁度そのテスト期間に入り部活は停止となるので家に帰って勉強をしようと思ったが、中間テストの時と同じように高尾に強引に誘われそらさんの家で勉強をする事になった。

 今日は休みだと言っていたので家にいるはずと言い、アポなしで行くつもりの高尾をオレは止める。

「急に行くのは失礼なのだよ。事前に連絡をするべきだ」

「えー。そらさんなら大丈夫っしょ」

 そう言いながら聞かないのでオレが連絡しようと携帯を取り出すが隙を突かれて取り上げられる。オレとした事が…気を抜いていたのだよ。
 ケラケラ笑う高尾にイラッとしながらも黙ってついて行く。放っておいて帰ればいいと思ったのだが、コイツだけ行かせるのは色々心配だ。

 そらさんの家であるマンションに着きフロントでインターホンを鳴らすと暫くしてそらさんの声が聞こえる。

『はーい。どしたの?秀徳コンビ』

「ハローそらさん!勉強さーせて!」

『またか!仕方ないなぁ、いいよー』

 いつものテンションで突っ込んだそらさんは自動ドアのロックを開けてくれたので二人で通り、そらさんの部屋に向かう。

 部屋の前に着いてチャイムを鳴らすとそらさんが出迎えてくれる。今日はラフな部屋着にいつもは下ろしている髪をサイドで結い前髪も上げていた。一見気合の入ってそうな髪型に疑問を持ちつつ中に入らせてもらう。

「お邪魔しまーす」

「はいはい。もー、事前に言ってって言ってんのに」

「オレは止めたのだよ。事前に連絡をしろとも言った」

「でしょうね。タカ君のバーカ」

「何で!だってそらさんいつでも歓迎してくれんじゃーん」

 オレとそらさんが呆れたように話していると高尾が中に入ったそらさんを追い掛け後ろからベタベタと引っ付いた。
 オレはそれを首根っこを掴んで引き剥がしリビングへと向かうとそこの机には保育士の教材が広げられていた。そらさんはそれを片付けカウンターの方に置く。

「勉強していたのか?」

「うん。明日ミーキャンの試験なんだよ」

「え、マジ?」

 オレと高尾が瞠目する中でそらさんは笑って緊張すると呑気に話す。オレ達がいると勉強の邪魔になるのは目に見えており、タイミングが悪い。高尾もそう思ったようでバツの悪そうな顔をする。だから止めたのだよ。

「なんかごめん」

「あー、いいからいいから。二人共静かに勉強するだろうし、邪魔なんて思ってないよ」

「あんがと、そらさん」

 そらさんは笑ってオレ達に座るように促したので逆に帰ると気を遣わせる気がして腰を下ろす。直ぐにジュースを出してもらいオレは頭を下げた。

「こないだ中間の勉強会したと思ったらあっという間に期末だね。早いなぁ」

「本当そう!テスト終わってちょっとしたら夏休みだから楽しみだわ。そらさんどっか出掛けような!」

「出掛けよ出掛けよ!」

 嬉々と話す二人を一瞥しオレは勉強道具を出して準備をする。高尾もそれに気付き準備を始めると、思い出したかのようにさっき奪われた携帯を渡してくる。やっとか、馬鹿め。

オレ達が準備をするとそらさんはカウンターに座ってそっちで勉強をする。

「そらさんもこっちですりゃいいのに」

「ああ、あたしブツブツ言いながらしちゃうからちょっとでも邪魔にならないようにって思ってね」

「いや寧ろこっちが邪魔なのに気遣わなくていいよ。ね、真ちゃん」

「そもそもお前が自分勝手に来なければこうはならなかったのだよ」

「真ちゃんだってノリノリだったじゃん!」

「お前だけ放って行かせるとそらさんが大変だと思ったからなのだよ」

 高尾と言い合いしているとそらさんはケラケラと笑って見ていた。

「何処でもそんな感じだね二人共。あたし的にはアポなしで来たのはちょっとアレだけど、二人含めてみんなに会えるだけで癒しだから気にしないよ。息詰まりそうな時にみんなの声聞くと安心するし」

 クルクルとシャーペンを回しながら微笑むそらさんを見て何だか気恥ずかしくなり眼鏡を押し上げる。照れてないのだよ。

「嬉しい事言ってくれんね〜。オレらもそらさんに会いに来るのは会いたいからだかんな!」

「あはは!ありがとね」

 高尾は嬉しそうに笑いながら会話を続ける。素直過ぎる程本心を言える奴がたまにだが羨ましくなる時がある。本当たまにだが。

「ところで明日の試験の内容何なの?」

「筆記試験は九科目のマークシートで、実技試験は音楽表現と造形表現と言語表現の中から二科目選んで受けるんだよ。ちなみに受ける科目は音楽と造形。得意だからね、ピアノも簡単のなら弾けるし」

「へー!そういや真ちゃんもピアノ上手いんだぜ!」

「あ、そういえばそうだったんだっけ。じゃあ保育士になったら教えてもらおうかなー」

「…時間があればな」

「やったー」

 ピアノが弾けると聞いて意外だと思った。何でも短大の授業で弾いていて何とか弾けるようになったらしい。眼鏡を押し上げて答えるとそらさんは緩く笑った。

「あと先に言っとくけど、筆記試験落ちた科目あっても合格した科目は三年有効だから気長に出来るし、落ちたから一から全部やり直しとかじゃないから例え落ちたとしても気遣わなくていいからね。でも出来れば全部一発合格したいな。何回もやるの面倒だし」

 しかも短大に通っておいて半分でも一発合格しないと前の世界の先生方に合わせる顔がないと苦笑するそらさん。
 休みの日や空いている時間に勉強していたのは知っているので、無事に合格して欲しいと思う。

「大丈夫っしょ!そらさん頑張ってきたもん!」

「うん!早く合格して職探してお金貯めたら車買いたいし頑張る!!」

「そっちかい!」

 二人でケラケラと笑っているのを呆れた目で見ながらどんな理由であれみんなが合格を願っているので、そらさんを信じるしかないと思った。

「さてと。エールも受けた事だしお喋りはこの辺にしてお互い勉強頑張ろっか」

「ほーい」

 そらさんはカウンターに向き直ると教材と睨めっこを始めたのでオレ達も学習道具に視線を落とす。

 この後誰かまた前のように来るのではないか思ったが誰も来なかった。後で知った事だが桃井が明日そらさんが試験だという事を身近な人に流したかららしい。オレ達の所には来ていなかったが。
 勉強しに来た事で周りから「気遣いが出来ていない」や「狡い」や「羨ましい」など散々言われたが、オレも全く悪くないとは思わないが元はと言えば高尾の勝手な行動が招いた事なのでオレにあまり当たらないで欲しいと思ったのはここだけの話なのだよ。










【そらside】

 秀徳コンビが来た翌日。あたしはミーキャンの試験会場に来ている。いよいよ保育士の試験なり。
 教材買ってから普通は一年勉強期間設けるらしいけど、かなりハイスピードであたしは受ける。勿論違反ではない。

 一発合格したいなー。二次元の世界に来たからとは言え普通の世界だし、上手い事いかない事も当然あるだろうなーと思いながら試験の時を待つ。

 筆記試験と実技試験一緒とか鬼かと思うよね。分ける事も出来るらしけど、あたしみたいな一発合格を目指す者の為のプランらしい。ありがとうミーキャン。
 あ、ミーキャンがこんな感じだからと言って前の世界のミーキャンみたいなやつは全然プランとか時期とか違うだろうから、この世界のミーキャンの流れアテにしちゃ駄目だよ。

 時間になりいよいよ試験が始まる。ドキドキと脈打つ胸を押さえながらあたしは鉛筆を手に取った。










「終わったぁぁああああ」

 日が沈み掛けた夕刻。試験会場を出た後大きく伸びをして息を吐き達成感に浸る。中々手応えありよ!今までで勉強一番頑張った瞬間かもしれない!
 後は一ヶ月後の合格発表を待つだけ。一発合格してますように。時間がある時はひたすら勉強してたから、暫くは勉強お休みしてもバチ当たらないかな。

 凝ってコキコキと鳴る首を回しながら家に向かって歩いていると、前方に見慣れた姿があった。

「あ!真ちゃんとタカ君!」

「そらさんお疲れー!迎えに来たよー!」

「きゃああああ!!ありがとおおおおお!!」

 手を振るタカ君と真ちゃんを見て感動したあたしは走り出し真ちゃんの胸にダイブ。

「な!?」

「え!?普通オレじゃないの!?今の流れだったらオレの方の来るよね!?」

「今は真ちゃんに甘えたいの。疲れたよぅ〜お腹空いたよぅ〜頑張ったよぅ〜」

 タカ君がゲーンとショックを受けているが気にせず赤面して固まる真ちゃんに無遠慮にぐりぐり額を押し付ける。すると少しして何も言わずにポンポンと頭を撫でられた。
 頑張ったなって言ってはくれないのか。もう真ちゃんったらツンデレなんだから。

「…よく頑張ったのだよ」

 しかしやっぱり真ちゃん。ちゃんと言ってくれた。あたしは顔を上げて真ちゃんを見上げると乱れた前髪を整えてくれる。

「〜っ!真ちゃんんんんんんん!!」

「もうそらさんいいでしょ!?離れて離れて!!真ちゃんウブなんだからいい加減にしないと爆発しちゃうよ!!」

 優しさのオンパレードに悶えてぎゅううううと抱き着いているが、タカ君はあたしを引き剥がそうとしてくる。何だよ相棒取られて悔しいのか?そうなのかい?なら尚更離れてやんねえ。

「オレは大丈夫なのだよ」

「ええっ!?何で!?もっと挙動不審になるのが真ちゃんじゃん!!何ちょっと満更でもない顔して落ち着いちゃってんの!?」

 相棒取られて必死に引き剥がそうとするタカ君をチラリと見ながら、こういうのが腐女子の子達は喜ぶのよね?と呑気に思った。

「え、何その目」

「何でもないよ」

 中々タカ君がしつこいので離れてあげる事にする。やっと離れたあたしをタカ君は真ちゃんがいる反対側に配置して、自分が真ん中に立って歩き出す。おいおい真ちゃん独り占めかい?狡いよタカ君。
 いくら真ちゃんの方に行こうとしても行けなかったので早々に断念した。本気で怒られても嫌だしね。

 で、その後はお疲れ様会としてその辺のファミレスで外食し自宅まで送ってもらった。食べながら聞いたんだけど、昨日無理に押し掛けたお詫びと終わった後が気になったから迎えに来てくれたんだって。本当いい子。

 帰宅後携帯を見てみると、明日勉強会しに来てもいいかさっちゃんやテッちゃんから連絡が入っていた。OKの返事を返した後明日から不合格にならない限り勉強するつもりはないので、余裕ぶちかまして相手出来るなと必死に勉強する彼らにちょっと失礼な事を思った。

 テスト期間で部活停止らしいし発散出来なくて可哀想に。そういや八月はI・Hだな。いっぱい練習したいだろうな。
 五月に予選トーナメントで六月に予選決勝があって、確か秀徳以外のキセキの世代がいる高校五校は進出したんだよね。残念ながら霧崎と正邦は関東予選ブロック敗退、秀徳は関東予選リーグ敗退だったらしい。でもマコマコらはWCにリベンジするとの事で引退はしていない。
 色々あって応援行けなかったしなあ。I・Hは応援行きたいな。さっちゃんとリコぴんに相談してみよ。






関東ブロックは三校のみがI・Hに出場出来るという事で、EXTRA GAMEのネタと捏造含ませて秀徳にはリーグで敗退してもらいました。ので、I・H出場は関東だと誠凛桐皇海常としています。

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