INFINITY WORLDみんなのI・H観戦
「ふわ〜おっきーい」
七月下旬。現在I・Hが行われる会場に一人で来ております。体育館の大きさに口がポカーンです。そして人が多い。
秀徳や霧崎やともっきーに一緒に観戦しに行かないか誘ったんだけど、開催地他県だしWCに向けて猛練習しているとの事で断られた。そうだよね、みんな次に向けて頑張ってるんだもんね。すまんな。
大学生組はテスト期間中なので勉強の邪魔にならないように誘っていない。
別に泣いてなんかないよ。断られるってわかってた事だもん。ちょっと寂しいだけ、ぐすん。
みんなの学校が出るから今回は差し入れなし。リコぴんとかは来るってわかってるから挨拶くらいはしたほうがいいのかな。でも集中力高めてる時に邪魔するのは申し訳ない。やめとこう。
会場に入ると体育館特有の匂いや人の熱気を感じた。流石大きな大会。応援に来た人の熱気も凄い。前の方で空いている席に座る。
今日はI・H初戦。今から誠凛と他県の高校の試合だ。去年はI・H予選リーグ敗退した誠凛だから、特に気合入ってそうだなー。
その後は桐皇と他県の高校との試合。桐皇って言えば予選リーグで秀徳に勝ったんだよね。カラオケの時も真ちゃん峰さんを睨むだけで会話してなかったし、悔しかったんだろうなぁ。トーナメント表を見ながら試合の時を待つ。
あ、開会式始まった。いつの間にか各校が整列している。おー!洛山と陽泉いた。あ、あっちに海常で誠凛と桐皇が隣同士。見慣れた顔がある事になんかテンション上がった。
挨拶は早々に終わり思ったより早く開会式が終わったので、空気読める大人もいるもんだと感心した。体育館あっついし。
一度解散するようでゾロゾロ捌けていく時、何人かと目が合って手を振られた。
「あっ!そらっちぃぃぃいいい!!」
「うるっせえよ黄瀬!!」
その中でもきー君の声は断トツ大きかった。やめてよ恥ずかしい。あんたのファンに射殺されそうだわ。乾いた笑みでヒラヒラ振っておくと先輩らしき人とハヤヤに怒られていた。もっとやってやれ。
少し待っていると、準備万端の誠凛が出てきた。カッコいい!!いつもよりピリッとしててカッコいい!!
「誠凛頑張れぇぇぇええええ!!」
「うわっすっごい声援聞こえた」
「そらさんだろ」
腹から声出すと周りの人にビビられた。そして誠凛落ち着き過ぎ。もうちょい突っ込んでこい!
「うるせえよお前」
「え?あ、灰君じゃん!こんなとこでどしたの」
「暇だから観に来た」
「へえ」
珍しい事もあるもんだね。灰君も観戦すんのかぁ。意外だ。
「そういや灰君の存在忘れてたわ。I・H出るの?」
「出ねえから私服で此処にいんだろうが。嫌がらせか」
「スマン」
あたしの隣に座った灰君。どうやら予選ブロックで敗退したらしい。灰君も出たらしいが三年が引退してメンバーが変わったので、まだ上手く機能しなかったらしい。
「灰君あの対戦相手の事知ってる?」
「ああ?あー、確か愛知だったかの強豪だったぜ」
「愛知かー」
確かに強面の人とか堅いいい人多いもんね。え?関係ない?でも強豪って呼び方似合ってるよ。
「ねえねえ灰君。よく他県まで観に来ようと思ったね?」
「お前コロッコロ話変わるのな。兄貴の付き添いでこっち来てたんだよ、たまたま。する事ねえし、近くでI・Hやってたから来ただけだ」
「暇人なんだね。宿題終わった?」
「やるわけねえだろ」
「いややれよ」
灰君のガラ悪そうな容姿なだけに周りから少し距離を置かれている気がしないでもないが、まあいい。
試合が始まり、あたしは公式の試合を初めて観るので前のめりになって観る。練習試合の時も観たけどさらに動きに磨きが掛かっている気がする。練習積んだんだね。
「灰君。今のプレイなんていうやつ?」
「おまえ静かに観れねえのかよ」
文句を言いつつ教えてくれる灰君何気に優しいな。誠凛とどっこいどっこいで試合は進んでいく。
が、ヨッシーが抜けた穴は大きかったのか僅差で負けてしまった。悔しそうなみんなを見て胸が苦しくなった。
「いい試合だったよ!胸張っていい!よく頑張った!お疲れ様!!」
あたしの座っている付近に来た時、肩を落としたり苦笑したりしているみんなと目が合って、思わず立ち上がり勢いでそんな事を言う。うわ、注目集めちゃった。ハズ。隣の灰君も恥ずかしい奴と呟いた。歩く18禁に言われたくない。
みんな目が点になってキョトンとしていたが直ぐに笑顔を見せて拳を突き出した。パチパチと拍手していると周りの人も拍手してくれたので、みんないい人だなと思った。
「午後からは洛山と陽泉も出るねー。灰君観てく?」
「あー。兄貴から連絡入ったからこれ食ったら帰るわ」
「そっか」
午前の試合が終わり灰君と会場近くの店に昼食を食べに来た。午前の試合の誠凛は一回戦敗退で、桐皇と海常が一回戦突破。峰さんときー君の人間離れしたハイスペックさに二人でちょっと引きながら観たのは秘密だ。
何だかんだ付き合ってくれたお礼で奢るとサンキュとちゃんとお礼が言えた灰君可愛い。
そこで別れたあたしは会場に戻りさっきと同じ所に座る。朝より人が多くなってる気がする。
「お姉さん一人?」
「オレらも隣で観戦していいっすかぁ?」
不意に空いていた両隣に座る男の子二人。あたしがキョトンとしているとニコニコと笑った二人の顔が見えた。誰だコイツら。
「お姉さんいくつ?オレらと大して変わんねえっぽいけど」
「オレら高一ッス!」
年下か。何で急に絡んできたのこの人ら。もしかしてナンパ?え?このI・Hの神聖なる会場で?
「あたし観戦しに来ただけなんで」
「オレらもッスよ〜」
「いや現時点でそんな感じに声掛けるの可笑しいじゃん」
「つれない所もいいッスね!!」
話聞けよ。
「邪魔だからどっか行ってくれます?」
「か〜ら〜の〜?」
「うっぜえわ!!」
何がか〜ら〜の〜?だよ!うざがってんの察しろこのDQN共!!灰君がいてくれたらな。
あたしは立ち上がり何処かに移動しようとするが両肩を両サイドから抑えられ立ち上がる事すら出来なかった。
「ちょっと!しつこいよ君ら!」
「いいからいいから。オレら解説してあげますし!」
が、流石に男の子二人の力には勝てない。周りは誰も助けてくれない酷い。ムカムカとしてきて青筋立つのがわかり一発叩いたろか!と思っているとあたしらの近くに大きな影が近付いてきた。
三人で振り返るとそこにはかがみん。は、迫力ありますね…。
「お前ら何やってんだ」
「「ヒィッすいませんんんん!!」」
かがみんの凄みに負けて早々に退散する二人を見てなんて奴らだと思った。軟弱者めが。まあかがみん190あるんだしこっち座ってたから余計怖いよね。
「大丈夫か?」
「ありがとうかがみん」
「周りの人も助けてくれてもいいのに!」
「あ、リコぴん」
誠凛のみんながゾロゾロやってきた。どうやら敗退はしたが折角他県まで来たので他の学校も分析して情報を得て帰るつもりらしい。
あたしの隣にリコぴん、テッちゃんが座り他も続々と座っていく。一年生らもいて、目が合うとわたわたしながら挨拶してくれた。可愛い。
「さっき灰崎君と一緒にいましたよね?」
「うん。何か家の用事でたまたまこっち来てて暇だったから寄ったんだって」
「何もされてねえか?」
「全然。楽しかったよ」
みんなの灰君の印象はあまりよくないからね。かがみんが心配してるけど寧ろあたしが好き放題話して弄んでたくらいだわ。
「そらさんの応援よく聞こえました。ありがとうございました」
「ううん。お疲れ様。みんなカッコよかったよ」
「今回は残念ですけど、WCに向けて頑張りますからね!」
「うん!応援してるよ」
テッちゃんとリコぴんで話をしていると陽泉が出てきた。他校との試合で、集中している周りとは少し変わってボーッとしているあっちゃん。相変わらずだ。
「監督〜オレこないだ新しい枕買ったんだ〜。そうか、寝心地は?まるで王女様になったみたいな心地よさだった〜。そうか、なら私は王子様になれるかな」
「それ紫原と陽泉の監督の真似か?」
「うん」
試合が始まるまで暇だったので勝手にアフレコしていると順ちゃんに突っ込まれた。陽泉の監督は怒っている顔をしているので、アフレコした内容と合っていないから黙ってろと怒られた。多分お菓子食べていい?いいわけないだろ。的な感じで話してるんだろうね。
順ちゃんに怒られたのでお口をミッフィーにしていると試合が始まった。が、圧倒的に陽泉が強く相手を10点で抑えて勝利していた。凄すぎっしょ…。
「陽泉は岡村と福井が抜けてもブレないな」
「ダブルエースがいる事は変わんないからっしょ?」
「当然それもあるけど、劉ちゃん入れての三人は更にスキルアップしてる。技術も身体能力もね」
俊ちゃんとコガとリコぴんらの解説を聞きながらあっちゃんに手を振っていると次は洛山が来た。おお、赤司様って声援送られてる…相変わらずの人気だ。
コタがこっちにブンブン手を振ってくるので振り返していると試合が始まったが、あっという間に洛山の勝利が決まった。
「ふへぇ、あっさり勝っちゃったよ…」
「オレ達があの洛山に勝ったって事がまだ夢のように思うわ…」
順ちゃんの言葉を聞いてバシッとリコぴんが背中を叩いた。うわ、痛そう。
「何弱音吐いてんのよ。夢じゃなくて現実でちゃんと勝ったわ。こっちだって何も成長していないわけじゃないし、後ろ見ない!」
流石監督。カッコいいな〜と思っていると気合い入れた誠凛が立ち上がるのであたしも席を立つ。今日の試合はあと一試合で知らない高校なのであたしは帰る。誠凛は電車の時間があるので同じく帰るとの事。
「そらさん」
誠凛と話しながら出口のエントランスに向かって歩いていると後ろから声を掛けられた。振り向くと赤君達洛山がいた。
「おー、みんなお疲れ様!」
「ありがとうございます」
「そらさんあれから問題ない?」
「うん。あの時はみんなありがとうね」
玲央きゅんの言葉で円堂の事を思い出しお礼を言うと微笑を返された。赤君はあたしに近付くとポンポンと頭を撫でる。
「また時間がある時にゆっくり話しましょう」
「うん、そだね」
「これからも気を付けて下さい。黒子、そっちでは頼んだよ」
「はい、勿論です」
赤君お母さんみたい。本人に言わないけど。赤君以外もみんなが餞別代わりにとでも言うように順繰りに頭を撫で回していく。やめろし、髪の毛ボサボサじゃん。
さあ帰ろうとするが、次いで来た陽泉、海常、桐皇が順番に押し寄せてきてもみくちゃにされ、誠凛のみんながあたしを連れて帰ろうと試みるが何度も阻止されて結局三本電車を逃し、誠凛とあたしは帰りの電車でげっそりしていた。
桐皇のみんなは普段から会ってるんだからいくらあたしが大好きでも自重しろよ。なんて思いながら電車に揺られて目を閉じた。
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