INFINITY WORLD
みんなと合宿三日目後編

 マネの仕事がひと段落ついてから、買い物しにリコぴんパパの運転で近くのスーパーへ行った。買い物後は海常と陽泉のみんなに手伝ってもらってやや豪華な食事にした。ただあっちゃんのつまみ食いが多かったのでつまみ食い妖怪でも取り憑いてんじゃねえのと思っていたのは此処だけの話。
 合宿最後の夜だし昨日のお詫びも込めての食事。海老高いんだけどスーパーで安かったから大量に買ってエビフライもある。みんな好きだよね。

 今日も丸一日練習試合含めてハードな練習をしたみんなは疲れ切っていたが、食事を見ると元気を出していた。豪華にした甲斐がありますな。何よりみんなの頑張る姿がこの数日満喫出来てあたしはお腹いっぱいです。満腹です。ゲップしか出ない。ごめん下品だね。
 そしてきー君とあっちゃんの間で食事を済ませた後、あたしはその場に立ち上がった。急に何だと注目を集めるがあたしはニヤニヤしながら口を開く。

「皆さーん!夏といえば?」

「海!プール!」

「水ばっかか」

「スイカ!かき氷!バーベキュー!」

「食い意地張り過ぎ」

「入道雲!」

「何でそこだけピンポイント?」

「お祭り!花火!」

 口々に思い浮かぶものを言っていくみんなに適時ツッコミを入れるツッコミ要員。そのやり取りを見ながら最後に花火と言ったコタにグルンと顔を向ける。

「そう花火!!って事で片付け終わったら花火しよー!」

「おおっ!マジか!!」

「花火イエーイ!!」

「ちょっと待って!でも先生達に確認しないと、」

「みんなからオッケーもらってまーす」

「流石そらさん!抜かりない!」

 主にハイテンション組の峰さんやタカ君やきー君がはしゃいでいるがみんな嬉しそうだ。そうだよね、合宿といえど夏の風物詩楽しみたいよね。
 リコぴんの言葉にチッチッチと指を振り大人軍の方を見ればやれやれといった顔をしていた。それにタカ君があたしをよいしょしてくれて気分がいい。もっと褒め称えよ。

「じゃあそうと決まったらさっさと片付けしてやろー。花火はいっぱい買ってきたよ!監督達のポケットマネーで」

「「あざっす!!!」」

「あたしも一部出したよ」

「それ言っちゃうんだ」

「「あざっす!!!」」

 かずやんのツッコミは聞こえません。だって出したの事実だし。
 はしゃぐみんなを抑える監督や主将達を見てあたしは笑いながら片付けに取り掛かった。

 そしてみんなで協力して花火の時間。大人軍も一緒に全員で宿泊所近くの広い空き地に向かい広い空間で始める。

「打ち上〜げ〜は〜なぁ〜び〜!!」

 ヒュンヒューン

「「フゥ〜ッ!!」

「花火開始ー!!マナーは守れよー!!」

「「おおーっ!!」」

 あたしが一つの手持ちの打ち上げ花火を灯して花火開始の合図を送る。みんな各々好きな花火を持って拳を突き上げ始まった。
 普段は先輩とみっちり関われないっていう一年とか後輩達も楽しそうに花火をし、先輩達に声を掛け、掛けられながら楽しいひと時を過ごす。いい笑顔です。

 明日も半日残ってるけどお疲れ様会の意を込めてする花火は格別に楽しかった。
 辺りを見渡すとテッちゃんはさっちゃんに引っ付かれながら花火をしその近くでは峰さんとかがみんが何かと勝負をしていて、きー君はタカ君とタッグで真ちゃんに絡みマコマコにも永ちゃんとコタとかずやんが絡んでいて、玲央きゅんと赤君は静かに花火を持ちながら話しハヤヤはねずみ花火をコガに仕掛けられて逃げ惑う。

 その近くでは呆れたように笑っているリコぴんとその隣にやや緊張した感じの順ちゃん、その背後には目を光らせたリコぴんパパがいるのは見ないフリをしよう。水戸さんはフリと河ちゃんとひろやんに花火を分けてあげていて面倒見のよさを発揮し、ツッチーは俊ちゃんと彼女に送る写真を撮っていて、若ちゃんはザキと話が合ったのか意気投合している感じで、その横では無表情ながらも立って寝ている健ちゃんに花火を近付ける康ちゃん。いや危ないから。

 あっちゃんはたっちゃんと花火をぐるぐる回して峰さんとかがみんにちょっかいを掛けに行く。だから危ないっつの。そして視線を横にずらすと良君が可愛いクマの花火を見付けて喜んでいる後ろでそれを狙う劉ちゃん。逃げて。

 大人軍の方では何処で買ったのかこっそりお酒を飲んでいる人達多数と温かい目で見守る人、一番目を引いたのは荒木さんに結構グイグイいっている原澤さん。中々のやり手に見える。

 そんな光景を見ながら息を吐き出した。今まで紙越し画面越しにいた彼らが目の前にいる事実を再認識し、本当贅沢な人生だなと思いながら自分が同じ空気を吸ってこの子達と生きている事を実感する。そして少しだけこの幸せが怖くなった。何処かで壊れてしまわないかが怖かった。あ、フラグじゃないよ、立ててないから。

 よくあるじゃん。急に自分がちっぽけな存在だって認識して死ぬ事が怖くなる事。あれ?ない?あるよね。そんな感じ。
 今更ホームシックにでもなったのかな。

 一度目を閉じて空を見上げると花火の煙が昇っていく満天の星空。海と山が近い都会ではなく街灯がない此処ではよく見える。田舎のおばあちゃん家で見た空と似ているくらい星が綺麗に見えた。

 それを眺めているとグイッと後ろに引かれた。吃驚して振り返るとそこにはあっちゃんがいて、あたしの手を握りながら真顔で見つめてくる。

「あっちゃん?」

「…何処にも行かないでよ。また勝手にいなくなっちゃうとかごめんだし」

 あたしがボーッとしてたから変な心配を掛けてしまったらしい。
 あたしは目を丸くしながらもふっと小さく笑った。

「行かないよ何処にも。っていうか行けないし。あたしの居場所もうあるもん」

 そう言うとあっちゃんは安心したように息を吐いて手を握る力を強めた。大きくてあったかいあっちゃんの手に視線を落とし、あたしのが年上なのにあっちゃんより小さいなと思うと少し笑えた。
 不意に影が差し掛かり顔を上げると目の前にあっちゃんの顔があった。吃驚して瞠目していると徐々に近付いてくるあっちゃん。あ、これはチューされちゃう、かも。

「ぎゃぁぁあああ!!」

「!?」

「いって!?」

 悲鳴が近付いてきたかと思えば、目の前にいたあっちゃんに黄色い物体がぶつかりそれに巻き込まれる形であっちゃんが横に吹っ飛んで倒れた。あたしはポカーンとしていると肩に手を置かれ振り返れば満面の笑みのたっちゃん。

「また抜け駆けするつもりかい?アツシ」

「油断も隙もないアル」

 どうやら彼らが黄色い物体を投げたらしい。あ、黄色い物体というのはきー君の事です。
 巻き込まれたきー君に哀れと両手を合わせているとあっちゃんが怒ったのかたっちゃんを睨み上げる。

「さあそらさん。向こうで一緒に花火しようか」

「さっき見付けたクマの花火やるアル」

 ちょっと待ってその花火良君がゲットしたやつでしょ。あたし知ってんだから。良君を見てみると泣いていたのでやはりこいつかと思った。

「それ良君のでしょ!あたし見てたんだから!良くーん!一緒にクマさんやろー!」

「!!はっはい!やりますありがとうございますすいません!」

「それはオレがあげたやつアル!!」

「良君から奪ったんでしょ!!」

「そらさーん!これ一緒にやろー!」

「ちょ、そらこれ持ってみろ!すっげえ先っちょ動くから!」

「ちょっと待ってよそらちん!室ちんも酷くない!?」

 あたしはたっちゃんの手から逃れ劉ちゃんにもらったクマの花火を持って良君に駆け寄ると涙目で笑顔を見せてくれた。クソ、此処にも天使が。
 それを追い掛けてくる劉ちゃんに色んな花火を持って来るコガと水戸さんと峰さん、気絶したきー君を押し退けてあたしやたっちゃんにズンズン近付いてくるあっちゃん。段々カオスになり始め遂には静かに花火をしていた赤君達まで巻き込んでみんなでどんちゃん騒ぎになった。

 さっきまで寂しい気持ちとかあったのに今ではすっかりなくなって超楽しい。いつも楽しませてくれるみんなに感謝だ。
 あとあっちゃんは放置しちゃって悪いけど、あの瞬間ドキドキしたしちょっと顔合せ辛いから今は距離を置いておこう。少し経てば通常運転に戻るからそれまでね。

 こうして花火をやり尽くし楽しい気分のまま合宿所に戻って入浴となった。煙臭いしね。

 だがあたしの計画はまだ終わりませんよ。










「みんな集合したー?」

「おー」

「次は何すんの?」

 入浴後、自由時間で就寝までにまだまだ時間がある時間帯に再度集まった合宿所のとある大部屋。此処にはDVDデッキとスクリーンがある宴会場みたいな部屋である。空いてるっていうから借りちゃった。しかも無料。
 そしてこの場にはいつものメンツ。関わりの薄い一二年とか大人軍とかはいない。畳の部屋なのでみんなが適当に座っている中、あたしはDVDの調整などをしながら声を掛けると複数から何事かと声が上がる。

 何故此処に彼らを呼んだかと言えば、目的はただ一つ。

「みんなに観てもらいたいものあるんだよね」

 そう言って少し前だけ暗くしてスクリーンを見易くする。うん、準備オッケー。

「疲れて眠たいかもしれないけどちゃんと観てね」

 あたしはそう言うと前の方に座り再生ボタンを押した。

《第一回!チキチキ!みんなの学校に潜入してみよう大作戦んんんん!!》

《パフパフパフ!》

「「…は?」」

 つけた途端画面の死角から現れた誠凛の制服を着たあたしが映り、知っている水戸さんとタカ君、赤君と健ちゃんとたっちゃん以外がポカン顔をする。いい顔ですね。
 編集してもらってテロップとか効果音とかナレーターが入ってて面白くなってる。流石常連さん。あたしも編集に携わったが殆どやってもらって完成したのはまだ観ていないのであたしも楽しみだ。

《それでは早速現場に行ってみたいと思います。第一回の目的地は〜…そう!誠凛でっす!!》

「うっそぉ!?そらさんうちの学校に来たの!?」

「全然気付きませんでした」

 リコぴんとテッちゃんがあたしを見て驚くのを聞いてフフンと笑う。

「第一回って事は他の学校もあんのかよ…」

「まあ観ててよ」

 マコマコの呟きを聞きながら画面を見つめる。誠凛編では最初なので緊張感が伝わるように校門を潜る所からコソコソ朝練を見る所までカメラの視点から映っており、みんなのめり込んで観ている。ちょいちょい側から見た自分を見て自分を見つめ直す人もいる。いやそういう目的で作ったんじゃないから。

 そしてカケちゃんが映った。嘘でもなんでもない半透明の幽霊が映りみんなが息を飲む。別に普通の姿だから怖がる必要ないよ。

「普通に幽霊と協力してるんだけど…」

「お前…馬鹿だな本当」

 ツッチーとかがみんが哀れんだ目で見てくるが気にしない。そしてみんなの授業風景の様子を見てクスクス笑ったりしていると、あたしが一番見たかったシーン。

《あっあの!日向先輩と伊月先輩!!》

《《!?》》

《あのっ、私、WC観てファンになりました!それで誠凛のも受けたんです!こっこれからも応援してるので頑張って下さい!》

《ありがとう》

《さんきゅーな》

《[格好付ける二人。そして…]》

《今日の昼休みな、オレと伊月にファンだって一年の女子が声掛けてきたんだぜ》

《何でもWC観てファンになったからわざわざ誠凛に入ったらしいよ》

《[と、嬉しそうな裏側で]》

《気付いてませんねお馬鹿さんですね〜》

「「これそらさんだったのかァァァアア!!」」

「っていう水戸部知ってたの!?言ってよ!」

「言ったら面白くないじゃん。ねー?」

 順ちゃんと俊ちゃんが叫んだ。コガが文句を言うがあたしは水戸さんと首を傾げて意見を合わせる。水戸さんは苦笑していた。

「道理で探してもいくらいないわけだ!折角マネージャーに誘おうと思ったのに!」

「てかこの声裏声か?キモ」

「峰さん煩い」

 気付けなかった悔しさ故か順ちゃん言葉を聞きながら毒舌な峰さんを睨んでおく。

《ミッションコンプリート!!》

「「ドヤ顔うぜえ」」

「一々突っ掛からなくていいから!」

 そして場面は変わり秀徳。朝練の様子を見て解説するあたしの言葉と映像を見ている最中にあたしは思い切ってタカ君に聞いてみた。

「タカ君多恵ちゃん好きなの?」

「何でそうなんの!?」

 ツボちゃんの事もあるからか少し顔色が悪いタカ君。何だ、デレデレしてたから好きなのかと思ったのに。

「これ本当に大坪さんに見せないよね!?」

「勿論!」

「よかった…」

「見せるよ!」

「そっちの勿論!?」

「高尾煩い」

 集中出来ないと言われ静かになったタカ君。あたしは愉快に笑って観ていたが、あるシーンを観て慌てて一時停止をする。
 あたしとタカ君のチョメチョメシーンである。響き宜しくないね。

「こっここここれどういう事ですか!?」

「そらさん!?」

「えっいやっ、おっかしーなー?何かこれ壊れてんのかも。霊障かな?」

 リコぴんとさっちゃんに詰め寄られる。ちょっとォォォ!!常連さん入れないって言ってたのに!!
 あたしがスキップしようとリモコンを操作しようとするが峰さんに奪われた。

「あ!?」

 取り返そうとするがヒョイと避けられそれは峰さんによって再生された。

《ひっ!?》

《ん〜?》

《ちょ、あ、待っ!》

「あーあーあーあー!!!」

「高尾ォォォ!!」

「うわっ!?ちょ、真ちゃん落ち着いて!!」

「破廉恥なのだよ!!そらさんに何をしてるのだよ!!」

「「高尾…」」

「ちょ、違う違う!これはそのちょっとした悪戯心で!」

 あたしが聞きたくなくて両耳を塞いでいると真ちゃんが赤面して激怒していた。それプラス周りの数名が冷めた目でタカ君を見ていてタカ君も流石に真っ青。幽霊襲撃シーンもあるけどそっちよりこっちの方がみんな気になったみたいだ。やめて公開プレイ。

 タカ君が締め上げられている間に映像は進み 洛山編に入っていた。てか秀徳も洛山も幽霊のシーン普通に怖過ぎるし放送事故レベルの映像だから抜くって言ったのに入れてる常連さん、今度会ったら文句言ってやる。絶対楽しんでやったな。この調子だと他のシーンも…。

《制服まで用意して眼鏡と髪型で変装…そこまでするのかと少し呆れましたが。よくよく考えるとこんな格好のそらさんを見られるのは貴重ですね》

《[王子様降臨]》

《他の奴に見せるのは勿体ないな》

「「「キャー!!」」」

「「ってだから何でお前までそこに入ってんの!?」」

 赤君とのシーンもあってあたし今なら軽く死ねると思った。その甘い甘い言葉にリコぴんとさっちゃんと玲央きゅんが照れて叫ぶがコタと永ちゃんのツッコミは入った。前もこんな事あった気がする。

「赤司だってそらさん口説いてんじゃん!!」

「高尾と同類にされるのは心外だな」

 タカ君が赤君に文句を言うが赤君はしらっとしながら軽くあしらう。タカ君もよく赤君に文句言えたね。

「ってかやっぱりこの川口りくってそらだったんじゃん!!」

「可笑しいと思ったのよね〜」

「猫被り上手ぇな」

「猫被り言うなし」

 コタと玲央きゅんと永ちゃんが食堂の映像を見ながら思い出したように言う。あん時は散々な事言われたからな。特に永ちゃん。そう思って睨んでいると言いたい放題言ったのを覚えているのか永ちゃんは視線を逸らした。この野郎。

 それから桐皇へと進み、あたしがいたなら一緒に昼食食べたかったとさっちゃんに甘えられ、若ちゃんに告白紛いの事をした映像も流れて若ちゃんは赤面していた。

「そらに弄ばれたな」

「青峰黙れ!!!」

「ごめんね若ちゃん。でも若ちゃんの事大好きなのは本当だよ!」

「えっ!?うううううううるっせえ!!」

 何で怒られたあたし。
 若ちゃんは顔を真っ赤にして良君を自分の前にグイグイ追いやって隠れている。いや隠れられてないけど。照れているんだと思うととても可愛く見えた。癒し系か。

 トントンと先に進むけど、次は霧崎。マコマコの猫被りとかみんなの授業風景とかも面白味はあるけど、やっぱり超観たいシーンはあれだよね。

《っ!?テメェ何しやがる健太郎!!》

《ズボン下ろしたんだよ》

《ンなモンわかってるっつーのバァカ!!急に何すんだって話だよバァカ!!》

「「ブッフォ!!」」

「はっ花宮がズボン下げられ…っ、ひぃ!」

「花宮も男子高校生って感じでいいじゃん!ふっひぃ!」

「オイ今笑ってる奴全員歯ァ食い縛れ」

 みんなが健ちゃんにズボン下げられるシーン。タカ君やコタ達が吹き出して爆笑する。何が面白いかって対象相手がマコマコって事がポイントだよね。マコマコがこんな目に遭うなんて誰が思うよ。当然マコマコ激おこだけど。

「つかコレテメェの仕業か!!」

「撮ってたのはあたしだけど下げるの提案したのは健ちゃんだよ」

「テメェが原因だろうが!!」

「いだっ!?」

 マコマコにげんこつを食らってしまった。まあ醜態晒されたんだから怒ると思ってたけどさ。でも殴る事ないじゃん。

 そして次に進んで海常と正邦。きー君へのタイキックの襲撃事実が幽霊によるものだったと本人が知り、あたしを責めたのは言うまでもない。

「そらっち酷いっスよー!!あれ本当に痛かったんだからね!!」

「ごめんごめん。撫でてあげるからお尻こっち向けてみな」

「えっ」

「何顔赤らめてるんですか」

 照れて真に受けたきー君に突っ込むのは冷たい目をしたテッちゃんだった。きー君に厳しいなオイ。
 そして正邦に移動するまでに出くわした灰君への襲撃はみんなから高評価された。灰君の扱いワロス。

「「グッジョブ!」」

「これ灰君あたしだって知らないから多分知ったら殺されるな」

「そらさん。灰崎相手でも下品な言葉は控えましょうね」

「あっ…スミマセン」

 そういやヤリチン野郎って叫んだんだった。赤君の綺麗な微笑を見てあたしは頷くしか出来なかった。その後のともっきーとの出来事を集中して観れないくらい怖かった。

 そして最後は陽泉。食堂や帰り道でたっちゃんとウフフアハハしているシーンを見てあっちゃんがものっすごい不機嫌になった。わかり易いなあっちゃんよ。劉ちゃんは自分だけ昼食を一緒に食べられなかったのが悔しいのかあたしにデコピンしてきた。口で言え。

「…オレもそらちんと制服デートしたかったし」

「いや帰り一緒に帰っただけだから」

「そらちんともっとお喋りしたかったし」

「ご飯は一緒に食べたでしょ」

 拗ねモードのあっちゃんをお菓子なしで宥めるのには中々苦労した。それからまたあたしにべったり引っ付いて他の人に引き剥がされる羽目になるのはいつもの流れです。

 こうして学校潜入の鑑賞会は幕を閉じた。怒られる所も多々あったけどみんな何だかんだ楽しみながら映像を観てくれていたのでよかった。今もまだ約数名不機嫌な人はいるけど。

 そして三日目の夜は過ぎていきました。合宿の最後の夜は凄く楽しめてよかったです。またこのDVDは大学組にも見せないとなぁ。特にツボちゃんに。かっこ笑い。

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