INFINITY WORLD
あたしと怖い話�A

 前回のあらすじ。あたしん家で怖い話大会を始めました。
 あたしだけが話して終わりだったので、今回は他の人にも話してもらいましょう。

「では早速…ひのちゃんパパから恐怖のお話をしてもらいましょう…」

「もう突っ込まねえぞ」

 懲りずにおどろおどろしい声を出すあたしに清ちゃんが真顔で冷たくあしらった。
 ひのちゃんパパはスッと目を細めると話し始める。





 ある所に若い女の人がおりました。その人はとあるアパートに引っ越してきました。
 古いアパートですが家賃もお手頃でアパート住人はみんないい人です。新しい所での生活に胸を弾ませながら、彼女は日中部屋で荷物の整理をしていました。
 すると、コンコン、と隣の部屋からノックが聞こえてきたのです。音のした方を見たのですがそれっきりで、空耳かと思い荷解きを進めました。

 翌日。昨日のうちに終わらなかった分の同じ時間に荷解きをしていると、またコンコンと音がします。でもそれっきり。
 彼女の部屋は端から二番目。一番端は空き部屋で反対の隣の部屋には住人がいますが、空き部屋の方から音がします。
 近所には子どもが多く住んでおり、公園もあります。そしてこのアパート付近でもよく駆け回っている聞いていました。古いアパートなので鍵が掛けられておらず子どもが遊びで侵入しているのかなど思い、気にしない事にしました。

 そのまた翌日。また同じ時間にコンコンと音がします。気になった彼女は、空き部屋の方の壁をコンコンとノックしてみました。
 すると、コンコンと返ってきたのです。ああ、やっぱり誰かいるんだと思い、薄い壁一枚で隔たれているそちらに向かって声を掛けました。

「誰かいるの?」

 コンコン。ノックが返ってきました。

「何しているの?」

 返事がきません。

「遊んでいるの?」

 コンコン、と返ってきました。
 そこで彼女はノックしかしない遊びでもしているのかと考え、ノックだけで答えられる質問をしようと面白くなった彼女は考えました。

「今から私が質問するから、はいの時は一回ノックして。いいえの時はノックはしない。いいかな?」

 コン。「はい」の意味に捉えました。

「じゃあ、君は子ども?」

 コン。子どものようです。

「何歳かな?数の分だけノックしてくれる?」

 コンコンコンコンコン。五回鳴りました。どうやら5歳のようです。
 「果物は好き?」「運動は得意?」などノックだけで会話が成り立つように色んな質問を続けました。どうやら向こうにいるのは5歳の子ども、果物などの甘いものが好きで運動は苦手らしい。でも勉強は好きな模様。
 彼女は楽しくなり、こんな遊びもありだなと思っていました。

 暫く時間が経って、彼女は他に質問はと考え、一つ聞いていない事を思い出しました。
 近所には子どもが多くいます。隣にいる子も一人ではないのではないかと思い、早速質問を投げ掛けてみました。

「ねえ。そっちに友達はいるの?」

 コン。あ、いるんだ。一人じゃなかったんだと思い、質問を続けました。

「じゃあ何人いるの?」






 ズダダダダダダダダ!!

「「ぎゃああああああああ!!」」

「「うおおおぉぉぉおお!?」」

 急にひのちゃんパパは目の前の机を両手で叩き、聞いていた全員が悲鳴を上げて仰け反った。勿論あたしも例外ではなく隣にいたリコぴんに抱き着いて後ろにひっくり返った。

「…そこには沢山の子どもがいたそうです。彼女は怖い気持ちを抑えて隣の部屋を見に行くと、鍵は開いておらず。アパートの管理人に頼んで開けてもらったがもぬけの殻。怖くなった彼女は直ぐに引っ越したそうです。…以上」

 そう静かに話し終えたひのちゃんパパは、真顔からニヤッとした笑みに変えるとあたし達を指差して笑う。

「吃驚し過ぎだよ」

「こっ怖かったああああ!まじでビビった!」

「完全に引き込まれた状態だったから…恐怖感がヤバいです」

 あたしはバクバクと煩い心臓を押さえながらリコぴんに抱き起こされる。リコぴんも心なしか手が震えていた。わかるよその気持ち。

「いい反応だったねぇ。話していて楽しかったよ」

「音は卑怯ッスよ…」

 ひのちゃんパパは愉快そうに笑っており、コガは恐怖のあまり白目で水戸さんに抱き着いていた。順ちゃんが顔を引き攣らせた。

「い、いいね。いいよ怖いよスッとしたよ。じゃあ次」

「まだやんのか…」

「だってまだ三つしか話ししてないじゃん。じゃあ…次はツボちゃんいってみようか」

「オレか。あまり怖い話しというのもないんだが…」

 村ちゃんが少し疲れた顔をするが、ツボちゃんはネットで見た事のある話だが、と話し始めた。





 ある小学校に女の子がいた。その子は少し暗くて友達がいない孤独な女の子。その子はクラスで虐められていた。
 それを直接的には関与していないが見ているだけで助けない女の子。虐められている子がA、傍観している子をBとしよう。

 Aはクラスの女子に毎日虐められていた。でもそれを誰も助けようとはしなかった。

 ある日。クラスの女子の一人が行方不明になった。Aを虐めていた子の一人である。
 そしてその翌日も、更に三人が行方不明になり大騒ぎになった。そして後に、学校は一時休校となった。

 そんなある日。Bは親から危険だから外にあまり出ないように言われていたが、買い物をしたくて明るい時間帯に無断で家を出て近所を歩いていた。
 すると、少し離れた所で誰かが飛び跳ねているのが見えた。Aだった。

 Bは行方不明事件があるから危ないよと声を掛けに行こうとした。クラスで虐められている時は自分が虐められるかもしれないと怖く話し掛けられなかったが、今なら誰も見ていない。

 Bが近付いて行くと、Aは楽しそうな顔をして飛び跳ねている。

「きゅっきゅっきゅっ」

 と言いながら。

「ねえ、何してるの?こんな所で一人は危ないよ?」

 Bが話し掛けたがAは楽しそうに跳ねるだけで答えない。

「それ、何してるの?何がそんなに楽しいの?」

 Bは何度も声を掛けるが全く耳を貸されず、しかもずっと楽しそうに跳ねているのを見てBはムカついた。
 虐められているくせに、何でこんな楽しそうなんだ。自分を無視するなんてあり得ない。

「代わってよ」

「きゅっきゅっきゅっ」

「代わってよ!!」

 怒ったように言っても見向きもしないAに遂にBは怒った。

「どいて!!」

 BはAを押し退けAが立っていた場所に立った。Aはその場に転んで倒れたがBは気にしない。此処で跳ねれば何かが見えるのかな。顔を上げてピョンピョンと飛び跳ね始めたB。

「きゅっきゅっ、」

 するとAはBが跳ねるタイミングに合わせてバッと下にある物を取り除いた。マンホールだった。

「!?」

 Bはそれに気付かず跳ねていたが急に足場がなくなり驚く間もなくマンホールの下に落ちた。そして光が差し込むそこを塞ぐように閉められたマンホール。

「じゅっじゅっじゅっ」

 再びその上で飛び跳ね始めたA。先程とは違う言葉を口ずさみながら。






「…以上だ」

「…後味悪い感じですね…」

「まあ、生きている人間が一番怖いって話だな」

 じわじわくる不気味さにツッチーと清ちゃんが感想を口にする。確かに。

「結局Aが犯人だったってわけか」

「しかもBは十人目…」

 俊ちゃんとコガが成る程と納得しているが、あたしはじわる気味の悪さに腕を摩る。

「やだなぁ〜怖いな〜」

「稲川さん風に言うなよ」

 ペチンと軽く額を村ちゃんに叩かれる。何その可愛い攻撃。村ちゃんの顔に似合わないぞ。おっと失言。

「マンホールを持ち上げられるって、その子はどれだけ怪力だったのかしら…」

「それな」

 リコぴんの冷静な分析に順ちゃんが頷く。確かに確かに。

「うん。いい感じで体冷えてきたね。ちょっと休憩挟もうか」

 あたしはややひのちゃパパの話を引きずっているのか、休憩を勝手に挟むというとみんな同意してくれたので電気を点ける為に立ち上がる。

「はぁ〜何か体が重く感じる程に疲れた〜」

 パッと電気を点けた。すると疲れたというコガの背中に何かが乗っていた。

「「あ」」

「え?」

 腫れぼったい顔をした男の人がコガに負ぶさっていた。あたしとひのちゃんパパはそれを視ると声を漏らし、周りの人は何事?とこちらを見てからコガを見る。

「現在進行形だ!」

「え?えっ!?」

「ちょっと待って!撮ってみる!」

「ええ!?」

 みんなには視えていないようで疑問符ばかり浮かべている。あたしは携帯を取り出すとカメラ機能で撮ってみた。ら、薄っすら映った。しかも霊ってばピースしてる。

「ほら」

「おおおおお!?」

「ひっ、ひいぃぃぃぃ!!」

 画面をみんなに向けると一気のコガからズサッと距離を置き、当の本人コガは恐怖で体が固まってしまったのか動けずに涙目だった。
 ひのちゃんパパはそれを見て苦笑するとコガの背中をサスサスポンポンと軽く撫でて叩く。すると霊はニヤッと笑ってからスッと姿を消した。何で最後笑ったんだ。嫌な感じしなかったし悪霊じゃなかったと思うけど気味悪いわ。変態霊だったのか。
 よかったひのちゃんパパがいて。

「こういう事だね。寄ってくるっていうのは」

「ねー。コガが怖い話しようって言い出しっぺだから憑かれたんじゃない?」

「もうしません」

 まああたしも人の事言えないんだけどね。昔はよく言い出しっぺで怖い話してたし。
 余談だけど怖い話をしても寄り付き易いし、雨の時とかも寄り付き易いらしい。ほら、幽霊ってジメジメしたのとか暗いのとか好きじゃん?だから話をする時は皆さんも状況とか考えてする事をお勧めします。今回の教訓。

「じゃあ何か飲んだら続けようか」

「「おい」」

「実際集まってきたっていうのにまだやるのか…」

「本当に霊感あるんだよな?コイツ」
 
 懲りないのはあたしもそうで、俊ちゃんと清ちゃんの言葉に対してケラケラ笑うとキッチンに向かい飲み物を提供する。それをリコぴんが手伝ってくれて、その後は何だかんだ怖い話を少ししてからひのちゃんパパによる除霊もしてもらって解散となった。

 こうして緩い怖い話大会は幕を閉じた。またやろうと思っているのはあたしだけではないはず。

 皆さんも怖い話をする時は気を付けましょうね。霊は直ぐ近くにいますよきっと。
 それでは、背後に気を付けて…なんつって。






今回はあえてのよくあるネタのフィクション。ただ書きたかっただけ。

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