INFINITY WORLDあたしがアメリカ出張前編
十二月下旬。あたしは28日から年末年始の長期休暇に入った。高校生組は中旬を少し過ぎた頃からWCが始まっており、大学生達は暇があれば観に行くと言っていたので休日と被った時にあたしも一緒に観に行っていたが、今日のあたしは彼らとは全く別の所にいた。
「そら!」
「あっ!アレクさァァァァァん!!」
年末のこの時期人がごった返している空港で、素敵な笑みを浮かべたアレクさんが手を挙げてあたしを呼んだ。
あたしは久しぶりにやっと会えた嬉しさと、初長時間飛行機での長旅を一人で終えた達成感と寂しさと不安で涙目になりながら走って抱き着く。簡単に受け止めてくれたアレクさんに惚れそうになった。
「やっと会えたな。久しぶりだな、元気にしてたか?」
「うん元気!!アレクさんも元気そうでよかった!!」
「Of course!私はいつでも元気だよ」
そうです。あたくしそらはアメリカ、というかロサンゼルスにいます。そして此処は空港です。アメリカに出張に来ちゃいました!出張って言っても遊びだけど。仕事じゃないけど。
28日の14時に出発し約10時間程度掛けてロサンゼルスに到着したわけで、こちらの時間は28日の8時。昼間出たはずなのに朝っていう不思議な感覚。ちなみに時差ぼけはしていない。予め対処法調べて対処してたし、基本的に夜型人間というか寝る時間バラバラだから体内時計しっかりしてないし。流石あたしの体、騙されまいて。
ちなみに帰りはこっちを30日に出発する予定。向こうに着くのは31日なので、少し早めの大掃除は済ませてあります。何て計画的なんだ!
ただ帰ってから直ぐに年越しなので、みんなでオールナイトしようって勝手に思ってるから中々のハードスケジュールだ。時差ぼけに気を付けたい。
以前にかがみんに代筆してもらって手紙を送ってからアレクさんと電話でやり取りするようになった。もっと早くに電話出来たんだけど、あたしがトロくさかったから遅くなったんですね。そこでにじむーやヨッシーとも電話をするようになったのは余談。電話で色々調整しての今なんです。
結局行ける時期が年末年始しかない事に気付いて、当初の予定ではかがみんかたっちゃんについてきてもらうつもりだったがWCがあるって事で日本からずっと一人だった。
パスポートの申請から行き方、入国審査の答え方、通貨の両替などかがみんからみっちり教わり、心配したたっちゃんからも色々と教えてもらったがいざ実行してみると一人なので不安だらけだった。外国人多いし何これあたし会えるのって悶々と不安の思考が駆け巡っていたが、こうやって無事に会えたので本当に安心しています。
ちなみに、ご好意に甘えて宿泊先はアレクさん宅でお世話になります。マンションだって。きっと綺麗で高級なんだろうな。
「じゃあ早速行こうか。虹村や木吉が待ってるぞ」
「うん!」
「寄りたい所があったら言うといい」
「うん、ありがとう!」
本当に久しぶりだ。こっちの世界に来てから唯一会ってない三人だったから、あたしは今まで会えなかった分を埋める為にぴったりアレクさんに引っ付いた。するとアレクさんは目を丸くさせてから、わなわなと肩を震わせた後器用にもハートを撒き散らしてあたしを抱き締めた。
「You are pretty as ever!(お前は相変わらず可愛いな!)」
「ん?え?プリティー?ノンプリティー!」
「あははは!」
よくわからないけどプリティー言ってたから可愛い的な事言われたのかと思ってそう言うとめっちゃ笑われた。心なしか周りの外国人もHahaha!って笑ってる気がする。何かハズい。
ロサンゼルスは日本より暖かく向こうで凍える程寒い思いしていたのが嘘のようだ。LA最高。そんなこんなありつつ歩いてアレクさんと向かった先は空港近くのとあるカフェ。そこのテラスにいる人影を見てあたしはまた走り出した。
「にじむうううううう!!ヨッシィィィィィィ!!」
「うおっ!?」
「あっはは!元気だなぁそらさん」
ハードルの如く柵を飛び越えて一番近かったにじむーに飛び付くと彼もまたしっかり受け止めてくれた。ありがとう。今更だけどごめんねこんなにいい子なのに初対面の時に体の上に寝転んだりして。
むぎゅうううと抱き着いた後横にいるヨッシーに移りまた同じようにきつく抱き着く。
「あっははは!ぐっふぅぅぅ…!!」
「オイ、木吉が笑顔で真っ青になってるからもうやめろ」
「うい」
段々笑顔で青ざめていくのを見兼ねたにじむーが制止するので素直に離れると予想以上に真っ青だった。どんだけ締めたんだあたしはと自分の力が恐ろしくなった。怪力じゃないと思ってたのに。火事場の馬鹿力よく発揮するけど、実はただ単に怪力だったのかな。
「久しぶりだな、そらさん。電話した事あるとは言え全然会ってなかったもんな」
「元気そうでよかった!足はどう?」
「前に話した時よりまた回復してるよ。流石アメリカの医療だよな」
サポーターを巻いているけど普通に立ってるし歩く分にも何にも違和感ないから大分よくなったらしい。よかった。あの世界でも足痛いのに色々やってくれたもんね。
「にじむーも久しぶり」
「相変わらず元気そうだな」
「まあねー」
「色々あっただろうけど、よく頑張ったな」
ポンポンと頭を撫でるにじむーにほわんと空気が緩くなる。クソぅ、イケメン。兄貴肌で怒ると怖いのに癒し系か。新種の癒し系だ。
円堂の一件やストーカーの事を指しているようで、心配してくれた彼達に改めてお礼を言った。
「みんながいるからね。大丈夫」
「私達も身近にいられたらいいんだけどな」
「んふふ。だねー」
まあその分会えた時の嬉しさがさっきみたいに大興奮の繋がってある意味いいのかもしれないけど。
あたしが来たばかりで飛行機で疲れているだろうからと配慮してもらい、そのカフェで早速休憩する事になりあたしは朝食としてパンケーキ(アメリカンサイズ)を頬張りながらみんなで三日間の予定を振り返る。移動時間合わせて二泊四日の旅だ。何故二泊四日なのかはお察しの通り金銭面の問題です。
「そらさんが行きたいって言ってたハリウッドとか、あと買い物出来る所とか中心に回ろうと思う」
「って事でこの後はサンタモニカに行ってぶらついてから早速ハリウッドに行くぞ」
「うん!色々考えてくれてありがとう!」
三人で三日間を有意義に過ごせるようプランを立ててくれたらしい。あたしは初の外国では右も左もわからないのでついて行くしか出来ないが非常に楽しみだ。わかっているとは思うが英語も出来ない。入国審査はかがみんに叩き込まれたから大丈夫だったけど。
朝食を終えてからアレクさんのマイカーでレッツゴー!とても天気がいいので過ごし易い。
「外国だ〜」
「初めてなんだったよな?」
「うん。まさか人生の中で外国に進出出来るとは思わなかった」
「新婚旅行とかで来れるだろ?」
「…ヨッシー。今のあたしにそれはタブーだよ」
「「「?」」」
窓を開けて風を浴びながら外国の空気を堪能していると後部座席に一緒に乗っているにじむーが質問してくるが、その後のヨッシーの言葉で真顔になると三人共が疑問符を浮かべていた。あたし結婚出来るのかな。いつ誰とするんだろう。今の彼らの中に運命の人がいるのかな。
あたしが黄昏ているのを見てにじむーが隣で苦笑していた。
「うほおおお!キッレー!!」
「走ると転けるぞ〜」
そして着いたサンタモニカというビーチタウン。綺麗なビーチを見せてもらい若者がビーチバレーをしていたのでやりたくなったが、明らかに体の大きさが違う群衆に入っていく勇気はなくやめた。勇気があったらするかって言われたら別にしないけど。
あたしが走っていくとヨッシーに声を掛けられ返事をする前に砂に足を取られて転けた。案の定って感じで三人に笑われたが気にしない。
そして街へ繰り出し、軽い買い物をしながらにじむーとヨッシーの慣れた感じの英語を聞いて目を丸くさせた。凄い、カッコいいぞ二人共。
「えっと…How much is this?(これはいくらですか?)」
「It's 2 dollars.(2ドルだよ)」
「おー」
「通じてよかったな」
商品を指差しておじさんの店員に聞いてみればちゃんと会話出来たので感動しているとにじむーに頭を撫でられた。英語は苦手なあたしがついに叩き込まれた英語じゃない英語で話せるとは…!
アレクさんは知り合いが何人かいて絡んでいたが、あたしは外国人達の大きさに圧倒されてひたすらにじむーかヨッシーの後ろに隠れて歩くしか出来なかった。デカイんだよみんな。
「大丈夫だよ。オレ達がいるんだから取って食われねえって」
そう言って笑うにじむーにマジでときめいた。
買い物をしていたら時間は昼になり昼食は本場アメリカのバーガー的な物を食べたが、しかしデカイ。アメリカは何でもビックサイズだな。流石のあたしもカロリー気にするわ。
「…の割にはちゃんと完食するんだな」
「ご馳走様でした」
「Indeed Japanese.(流石日本人だな)」
ん?何て言った?あ、手合わせてたから礼儀いいとかそんなのかな。やだな〜照れるじゃん。デカイと感想を言ったあたしが難なく完食するのを見てにじむーが目を細めて見てくるが、まあ元々結構食べるしこれくらいならね。毎日はちょっとアレかもだけど。
そして午後からは所変わってハリウッド。有名なハリウッドですよ。
まずはチャイニーズ・シアター前のテレビでよく見る敷石の手形や足型。この世界の有名人達の跡に興奮し過ぎて血管いくつか切れたんじゃないかと思う。洋画とか結構観るしあたしの好きな映画俳優さんの跡とかあって手や足を合わせて更に興奮した。
案外小ぢんまりしてたけど、好きな俳優や女優さんの手形を探すだけで結構時間が経ち三人共気にせず同じようにはしゃいでくれたので嬉しい。
「ハーリーウーッドーオオオオオオ!!」
「ちょ!?そらさんやめろ!!恥ずかしいだろ!!」
有名なあのHOLLYWOODサインが生で見られたので興奮のあまりに叫んでしまうとやや赤面したにじむーに引きずられてその場を離れる。また周りに笑われたけど気にしない。
「これがウォーク・オブ・フェイムっていうやつだぜ」
「おおー!」
ヨッシーに教えてもらいながら歩道の埋め込まれた星型の敷石を見ながら歩く。前を見ないのでアレクさんが手を引いてくれているがまるで子どもだ。まあいいや今日くらい。え?いつも?
他にもハリウッドをぐるっとゆっくり回ってショッピングモールやアカデミー賞授賞の際に使用するシアター内の見学もさせてもらって、世界って大きいなと改めて感じた今日この頃。
夕方。ロサンゼルスは思っていた以上に広くて移動時間が結構掛かるものだという事を学んだ。楽しい時間はあっという間に半日が過ぎてしまい寂しい気持ち半分ありつつ、あたしはそんな事を考える余裕がなくなっていた。
「…眠い」
「時差ぼけだな」
「よくここまで持ったもんだよ」
「少し寝るといい。此処から私の家まで一時間は掛かるからな」
運転するアレクさんに言われて素直に眠る事にした。昨日は普通に仕事だったし疲れも溜まっていたのか直ぐに寝付いた。
アレクさんの家付近に近付いた頃に起きたら、にじむーの肩に寄り掛かって寝ていて彼もまた寄り掛かって寝ていた。何だこれ。美味しい展開ですかそうですか。変に慣れてしまったのか動揺はあんまりない。が、恥ずかしいのはあるので離れようもののあたしの頭に寄り掛かっているのでズラすと起こしてしまう。
悶々と悩んでいると、不意にシャッター音が聞こえた。
「………」
「いい感じだったから、ついな!」
ついな!じゃねえよ。何撮ってんだよヨッシー。撮影代払え。つかあたし起きてるし。目開いてるし。
「大丈夫。みんなには内緒な」
「わかって言ってるのかわからずに言ってるのか本当よくわかんないよねヨッシーって」
取りあえず回さないならいいかと思っていると話し声で起きたらしいにじむーの頭が離れた。寝惚けているようで大きな欠伸をしなが緩い感じでもたれていた事を謝られたのであたしもお礼を言っておく。
「わりーな」
「ううん。こっちこそごめんね肩借りて。ありがと」
「いや…」
それで終わりかと思ったが一拍置いてから動きを止めたにじむーがあたしの方を向いて目を見開き、じわじわ少しだけ赤くなっていく様子が見られた。どうした。
「わ、悪い」
「いやさっき聞いたけど。いいんだよ、あたしがもたれたんだから」
そう言うとにじむーは尻すぼみな感じではあったが返事をしてそっぽ向いてしまった。後で恥ずかしさがじわったのかな。可愛い奴め。
そしてその後はアレクさん宅付近のレストランで美味しい夕食(でっかいお肉)を頂き、グリフィス天文台の夜景も観に行き、みんなでアレクさん宅にお邪魔をして学校潜入のビデオ(タカ君とのチョメチョメシーンを抜いた完全版)を持ってきていたので一緒に見たら三人とも楽しそうに見てくれていたのでよかった。特ににじむーは灰君の出来事がお気に召した様子。
ちなみにアレクさん宅は予想以上にすっごく綺麗で広かった。VIPだ。
二人も今日はアレクさん宅でお泊まりさせてもらうらしく、お菓子やジュースを用意してプチパーティーを開きながら電話では出来なかった積りに積もった話をし合って楽しい夜を過ごした。勿論ちゃんと睡眠は取りましたとも。
明日は何かな、楽しみだ。ロサンゼルスって言ったらバスケの天国とかそんなの聞く程有名だからね。みんなバスケ関係だし、バスケに関しての何処かに連れてってもらえたりするのかな。
そんなあたしの初めての海外出張は快適です。
管理人は行った事ないので全て空想のプランです。距離的な問題など矛盾点があっても悪しからずご了承願います。また英語は自信がないので翻訳機も使用しています。
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