FOR YOU緑間と未来ifでほのぼの
カーテンの隙間から朝日が差し込み、眩しさに目を覚ます。微睡の中でふと最近漸く慣れ始めた自分以外の存在に気付き視線を落とすと、すやすやと穏やかな寝息を立てる彼女。同棲を始めて一ヶ月、緑間は隣で感じる温もりに自然と頬が緩んだ。
「…、…おはよ」
「ああ、おはよう」
不意に目を覚ました彼女、なまえが虚ろな目で緑間を捉えるとふわりと小さく微笑んだ。少しだけ掠れた声に艶を感じ、緑間は髪に手を伸ばし透かす。そして額に唇を押し付けた。
「ん、ふふ」
「…笑うな」
「だって、嬉しい」
朝から甘い時間を過ごせて、という意味を込めて擽ったそうに笑うなまえを見て、彼は愛おしいと心からそう思った。
緑間は大学の医学部を出て新米の医者として働き始め、なまえもまた短大を出て美容師の職に就いていた。医者の仕事は一般的に知られているように多忙で、二人でこうしてゆったりと過ごせる時間が少ない。
なまえはそれが寂しく感じる時もあるが、緑間が頑張っているのはわかっているし職業柄も理解しているので我が儘は言わないようにしている。
だが相手は緑間。我慢させて無理している事を仕草や表情、声色など彼女の全てから感じ取り気付く。だからこうして、少しでもゆっくり出来る時間に存分に甘えさせて二人の時間を過ごそうと考えているのだ。口には出さないのは彼のやり方だが、なまえもまたそれは理解していた。
なまえは起き上がろうとする緑間に抱き着くとぐりぐりと胸板に顔を押し付ける。
「…何なのだよ」
「もう少しゴロゴロしよう?」
「起きたならさっさと起きるべきなのだよ」
「おデコにチューしてた人がよく言うよ」
「…それはそれ、なのだよ」
「まだ時間あるでしょ」
「……」
「真ちゃん」
おねだりするような視線を受けて、惚れた弱みか軽く息を吐き出すとなまえをすっぽりと腕の中に収めた。それに対し彼女は嬉しそうに笑う。
「真ちゃんって私に本当甘いよね」
「普通なのだよ」
「高尾君が言ってたもん。態度全然違う、愛されてるって」
「あいつはまた適当な事を…」
「でも愛されてるって実感はあるよ」
「……そうか」
「あ、照れた?でもね、私も負けないくらい超愛してるんだからね」
「…それくらい知ってるのだよ」
そんなやり取りをしながらなまえは顔を上げ、眼鏡を掛けていない彼に顔を近付けた。
「ちゃんと伝わってる?」
「あれだけ毎日好きと言われればな。態度でも示すしな」
「そういうのお嫌い?」
「嫌ならとっくに別れてるのだよ」
「だよね。私真ちゃんと別れる気ないよ」
「…何故そんな話になるのだよ」
唐突に別れるなど縁起でもない事を言い出すなまえに怪訝に眉を寄せた緑間は目の前の彼女の目を間近で見つめた。近視といえど、この距離なら顔がよく見えた。
「安心しろ。オレも別れる気など更々ないのだよ。先まで見据えてだな…」
「あ、今のってプロポーズ?」
「…違うのだよ」
「…えへへ」
余計な事を口走ったとでも言いたげに一瞬言い淀む彼に対しなまえは破顔させて猫のように甘えて首元に擦り寄った。
「今のはプロポーズとして考えるな」
「はいはい。わかってるって」
こちらにも色々準備がとボソボソと呟くが間近にいるので当然聞こえたなまえ。
緑間の性格上、プロポーズというものをするならばシチュエーションであったり必要な物を準備したりときちんとセッティングをした上でやるものと思っているだろうし、義理堅い彼はちゃんと場を整えてしてくれると容易に想像出来た。早とちりをしていないと答えつつ、なまえはそんな彼がいつかきちんと伝えてくれる日が来る確信を持てた。
「いつか家族も増えたらいいね」
「…そうだな」
プロポーズではないと言って理解を示していたのに早くも先の先の話をしているなまえだが、緑間は嫌な顔せず少しだけ頬を染めて恥ずかしそうにしながらも肯定した。その言葉も反応も全て嬉しく、温かい腕の中で幸せそうに笑った。
この先に待つ自分達の明るい幸せに溢れた未来に期待して。
梓様、二つ目のリクエストお待たせしました!
未来ifほのぼの設定ですが、結婚に至るまでの二人を書かせてもらいました。これはほのぼの…なのか?甘じゃないか?と思いながら書きましたが、照れている緑間が書けて私は嬉しいです。こんな出来ですが楽しんでもらえたら幸いです!
素敵なリクエストありがとうございました!
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