FOR YOU
高尾と緑間をからかう

「みーどりーまくーん!あーそーぼー!」

「今から昼食なのだよ」

 秀徳高校の昼休み。購買のパン争奪戦に参戦し、見事勝利を収めたなまえがパンを二個掲げながら緑間に近寄ると緑間は面倒臭そうにそう返事をした。いつものやり取りなので最早誰も突っ込まない。

「じゃあ後で追いかけっこして遊ぼ」

「ご飯を食べた後は暴れないのだよ。吐くぞ」

「じゃあ一服してからだったらいい?」

「…追いかけっこはしないのだよ」

「じゃあじゃあ隠れんぼは?」

「何でそんな幼稚な遊びばっかりしようとするのだよ!」

 自分の机で弁当を広げる緑間の前に、前の席の子の椅子を借りて向き直って座るなまえ。遊びにこだわるなまえに緑間は面倒だと思いながら突っ込んだ。それに対してなまえは大きな目を丸くさせながら笑う。

「だって楽しいじゃん!」

「緑間おまー、追いかけっこや隠れんぼナメんなよー。熱中したらクッソ楽しいからな」

 そこへ高尾が便乗するように声を掛け、緑間となまえの間に弁当を広げて食べ始めた。また勝手に自分の領域を侵してくると思いながらスペースを空けてあげる辺り、緑間は優しいし一緒に食べる流れを認めているようなものだった。

「無邪気な心忘れてるよねー」

「ねー」

「っうるさいのだよ!」

 二人で顔を合わせて首を傾げ同意する様子を見て、緑間は青筋を浮かべて一々煽るような事を言うなと注意した。
 それを見て笑う二人のこの光景も、最早クラスが見慣れた光景である。










「緑間見て見てー。シュッ!…オレのシュートは落ちん」

「ぶっひゃひゃひゃ!!」

「………」

 部活後。自主練をしている緑間の元になまえが駆け寄ってくると、部員の一人から借りた眼鏡をかけていた。その様子に緑間と高尾は首を傾げたが、そのあと披露された緑間の真似を見て高尾はクオリティ高いと爆笑し、緑間はまたわざわざ揶揄を投げ掛けにきたと思って呆れた。

「みょうじちゃんイケボ!上手い!」

「両声類の卵と言われているからね。緑間みたいなイケボ目指します」

「あっひゃひゃひゃ!」

 確かに物真似は上手いかもしれないが、わざわざ自分の所まで練習中に邪魔しにくるのは非常識だと緑間は思い、フイッと顔を逸らした。

「くだらん。やってられん」

「あっ、緑間ー」

「邪魔をするな!」

 緑間の言葉になまえは動きを止めた。

「お前のようにオレは暇ではないのだよ。毎度毎度、くだらない事にオレを巻き込むな。オレに関わるな」

 突き放す言葉になまえは目を見開き、そして俯いた。高尾も心配そうにやり取りを見守る。

「わかった…じゃあ金輪際もう緑間には関わらないようにするね。緑間、誠凛に負けてからちょっと元気がなかったから元気出してもらおうと思ってやってただけなんだけど…」

「は?…お前は何を言ってるのだよ」

 俯きながら話される内容を聞いて緑間がなまえの方へ顔を向けるが、同時になまえはくるりと背を向け高尾の方を向いてしまった。そしてその肩は小刻みに揺れる。

「今までありがとう。楽しかったよ。ごめんね…」

「……」

「あ、そうだ。緑間って偉そうだったよね…今度から緑間君って前みたいに呼ぶからね。馴れ馴れしくてごめんね…」

「おい、」

「私、緑間の事が大好きだから話したかっただけなの…物真似も緑間をいっぱい見て練習したんだよ。でも、ごめんね…」

「!?」

「みょうじちゃん…」

 高尾がなまえの前に行き心配そうに様子を窺いながら両肩に手を置いた。その肩に置かれた手を見て緑間の眉根は自然と寄る。
 緑間はなまえのいつになく小さな背中を見て、自分の為を思ってやってくれていた事だとは思わなかったと反省し、先程のように突き放すような言い方ではなく優しい言い方を心掛けて声を掛けた。

「そっ、そういう事なら別に気にしなくていいのだよ。限度を知れというだけだ。関わるなというのは撤回する」

「え…?」

「…今まで通りに普通にしろ」

 緑間の言葉を聞いて、なまえは背を向けて俯き震えていた体を反転させ、緑間に向き直った。

「…りょうかーい!あっはは!やったぁー!!」

「…!?お前まさか!」

 声も震えていたので泣いていたように思っていたが、全く泣いた跡などなくいつもの調子に戻っているなまえを見て、直ぐに嘘泣きだと理解した緑間。高尾を見ればニヤニヤして笑っている。
 打ち合わせでもしたのか、はたまた意思疎通でその場の雰囲気に乗じただけかは定かではないが、共犯の高尾に対してイラッとした。

「もう緑間ってば素直じゃないし照れ屋さんだからぁ」

「!?」

「まあ真ちゃんツンデレだしなー。擬似!即興押して駄目なら引いてみろ作戦!成功だな!」

「「イエーイ!!」」

 先程の言葉をまたからかう材料にされた。ハイタッチをする二人を見て、緑間はとことんからかい続ける二人にわなわなと肩を震わせた。

「みょうじー!!高尾ォォォ!!」

 体育館に緑間の怒鳴り声が響く。











梓様、三つ目のリクエストお待たせしました!
からかうのって一歩間違えればイジメになりそうだなと思いながら書いていましたが、この二人は緑間が好きで反応が面白くて自分達を見て欲しいが為にやっているものだったらいいなと思いを込めています(笑)
素敵なリクエストありがとうございました!


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