D+S FF-D m-ds New!夢物語
約束 4 (完結)
キャンプに戻ると、数センチ程の束になった書類がオルシュファンを待っていた。どれも指揮官のサインを待っている。一晩でこんなに増えたのかと本人は驚き、それを仕分けた部下の有能さを褒め称えた。今日はひたすらデスクワークだと、オルシュファンは早速席に着くとひたすらペンを走らせ始める。
マリアは一旦貸し出された部屋に戻った。オルシュファンから結婚を申し込まれはしたが、元々予定していた通りこれからグリダニアに戻る予定だ。少ないなりに荷物をまとめなければならない。
旅支度をするのに、こんなにも憂鬱だったことは他にあっただろうか。できれば帰りたくないが、かといってこのままここに残るのも無責任だと思った。辞めるにしても、けじめは付けておかないと一生グリダニアに戻れなくなるような気がする。最後に部屋をぐるりと目視して、忘れ物が無いかを確認すると、借りた外套と荷物を抱えてマリアは部屋を後にした。
「もう出るのか」
マリアがオルシュファンの大きな机の前に立つと、オルシュファンはペンを置いてそう言った。サインしたての紙が所狭しと並んでいる。
「ええ、お世話になりました」
「いいや、こちらの方こそ世話になった。イイ友に出会えた事に感謝している」
マリアは抱えていた外套を返そうとした。だが、オルシュファンは即座に断った。
「いいや、持っているとイイぞ。外は寒いからな」
「いいの?ありがとう」
マリアはほっとした顔で、差し出そうとしていた外套をまた握りなおす。いくらチョコボがあっても、グリダニアまではしばらく時間がかかる。これがないと、来た時のようにまた凍えてしまう。
オルシュファンは席を立つと、マリアのいる方へと歩み寄った。
「キャンプの外まで送ろう。お前が無事に着くように祈っているぞ」
他の者達にも挨拶を済ませると、マリアはオルシュファンと共に建物の外に出た。当たり障りのない話をしながら歩くと、あっという間にキャンプの入り口まで来てしまった。
「返事を急かすつもりはない。どうか落ち着いて、ゆっくりと考えてみてほしい。どちらも急な話で驚かせたが、私は本気だ」
オルシュファンはそう言って、自分の指から指輪を一本取り外した。それをマリアにそっと握らせる。
「お守りだ。本当なら送って行きたい所だが、生憎私はなかなかここを離れられん。これをマリアに貸す故…また、返しに来てはくれまいか」
そう言って、オルシュファンは指輪を握ったままのマリアの指に口付けた。
オルシュファンの手は大きい。指もその分太い。マリアの指には当然余ってしまう。とはいえ、グリダニアから持って来た革袋に入れるのは気が引けた。訪ねた時には既に故人になったいたのだから、この袋は縁起が悪すぎる。
マリアは手のひらに乗った指輪と、オルシュファンの強張った顔を見比べた。結婚しようと言い出した時よりも、彼は今の方が緊張している。そうしていると、マリアの手は指輪ごとオルシュファンの手に再び包まれた。
「わかった。また会いに来るよ。ちゃんと返事をするから、待っててくれる?」
マリアがそう言うと、オルシュファンは笑って頷いた。
「ああ、待っている。結婚については、まずはここで仕事をしてみてから考えてくれてもイイのだぞ」
「既に私がグリダニアを出る前提なのね」
「バレたか」
むしろ返したくないのだとオルシュファンが真顔で言うので、マリアは恥ずかしくなって俯いた。すると今度は額にキスが落とされた。マリアが上を向くと次は唇同士が合わさる。触れるだけの優しいキスだった。
ふと、門番達が必死で目を逸らせているのがマリアの視界の端に映った。もちろん余計に恥ずかしくなったのは言うまでもない。
「順番がおかしいのは自覚しているのだ」
オルシュファンは真剣に、でもどこか気恥ずかしそうに言った。マリアは門番達に一部始終を聞かれていそうなのが気になるが、オルシュファンはそこは気にしていない。
「かといって、悲観にくれ、涙に濡れるお前に口付けるのも気が引けた。弱みにつけこんでいるようでな。だが、したいと思った。それを自覚すると、お前をグリダニアに返したくなくなった」
「わたしが極悪人だったらどうするの」
「もしもお前がそうなら、とっくに黒衣の森を焼き払っていたかもしれんぞ。その位の資質は持っているだろう」
本来なら角尊だけに白魔法が継承されるのも、正しくそれを危惧しての事である。
「数日離れるだけでもわざわざ任務という理由を作ってここまでやって来たお前は、むしろ誠実に責任を果たそうとしているではないか」
不真面目な者なら、とっくに放り出して逃げているだろうとオルシュファンは言う。
「そんなこと、できたらもっと楽だったわね」
「でも、お前はしなかった。今もそうだろう」
「ええ。できれば認められたかったけれど」
マリアがこくりと頷くとオルシュファンは優しく微笑んだ。
「白魔導士や幻術士が癒す者なら、騎士は守る者なのだ。そして、私は国や民を守ると誓った騎士だ。私は、お前の心までも護れる者でありたい。好いた女の1人も守れずに、国など守れないからな」
そう言うと、オルシュファンはそれまでマリアの手を包んでいたその大きな手を離した。
「着いたら手紙をくれ。無事を信じてはいるが、安否が気になる」
「うん、すぐに書くね」
マリアは笛を吹いた。程なくして愛チョコボがやってくると、マリアはさっと跨った。オルシュファンや門番たち、後からやって来た何人かの者達に見送られながらキャンプを後にする。マリアは雪の中を駆けてゆく。刺すような冷たい風が妙に心地よく、熱った頬を冷ましてくれた。
チョコボを駆りながらマリアはグリダニアですべき事を考えた。長期休暇を申請するか、いっそのこと辞めてしまおうか。オルシュファンを疑うわけではないが、職を失うのは怖い。しかしこのままグリダニアでの生活を続けるのも、そろそろ限界だとマリアはこの旅でよく分かった。
マリアはこれからの人生に想いを馳せる。そこにオルシュファンが加わると、よりイイ毎日になるかもしれない。数日前、クルザスに入った時よりもマリアの気持ちは晴れやかだ。やや高くなった朝陽が、マリアの行く道を燦燦と照らしていた。
完
2024/01/16
むちゃくちゃした自覚はある。
「夢だから」を言い訳にやってみたけど、個人的にはこれは難しい問題だと思っている。だってグレイストーンて庶子用の苗字だと決まっているんでしょう?結婚するとしたら別姓にしようくらいのことはオルシュファンいいそう。イシュガルドの制度としてできるのかは別の問題だけど。今さらフォルタンにはならんだろうし。なったらなったで、お父さんはまた奥さんを裏切る事になるし。
もっと難しいのが子供ができた場合。私生児とはいえフォルタンだし、後継はアルトアレールと決まっているし、そこをオルシュファンとて覆す気はないと思う。しかし遠い親戚とかが混ぜ返して謀事だのなんだのとしたい人がいたりすると格好の餌食だよなとか思ったりするともう全然楽しく無い。
万が一、継子らに子供ができなかったけどオルシュファンにだけできてた場合、その子がフォルタンの養子にでもなって跡を継ぐんだろうけど、ご長男はおモテになるらしいしそこはなんとなく大丈夫そうだな。
極真面目に考えるとこうなってあんまり楽しくないので「これは夢」は魔法の言葉だきっと。
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