14.5 夢の後
イヴは目を覚した。窓から洩れる光が眩しい。いつもよりふかふかしたベッドが心地よいく、ああ気持ちが良いと寝返りを打ったところでハタと気が付いた。
「ここ、どこ? 家やない……」
起きあがって部屋を見渡すと、大きなベッドが目に入る。調度品はテレビと、その下に棚がある。そこに小さな冷蔵庫と電子レンジが収っていた。
どう見てもよくあるホテルの一室だ。まかり間違っても自室ではない。どうしたことかと記憶の糸をたぐり始めた。
「昨日は八番街に飲みに行って、そこでツォンと
会うて……」
そこまで思い出して、イヴは青くなった。「酔った勢いで」などというものは、自分とは無縁だと昨日まで信じていた。
「これから出勤やのに、どんな顔して会うたらええんや……」
イヴは今更恥ずかしくなってきた。しかも、思い出せば思い出すほど、自分から抱きついたり匂いを嗅いだり、誘うような素振りをしていた気がする。イヴは頭を抱えて、今度は顔を赤くしながら悶えた。
「疲れと空腹が重なったら飲んだらあかんわ。気いつけな……ん? 」
イヴはもう一度部屋を見回した。そういえば、ここには自分一人しかいない。ツォンはどこへ行ったのだろう。それに、この部屋には時計が見当たらない。今何時だろうかと携帯を手に取った。
時刻は朝7時。朝食を採っても始業にはまだ十分間合う。遅刻の心配が無くなって、イヴはほっとした。
ふと、携帯電話がチカチカと光っている事に気が付く。不在通知を開くとメールが一通届いていた。
「あ、テキスト来てる……ツォン、から……」
イヴは恐る恐るツォンからのメールを開く。内容によっては死んだ方がマシかもしれない。いきなり関係を持ってしまった事で「都合のいい女」にだけはなりたくないと、内心ビクビクしていた。
ツォンのメールは、早朝から任務が控えているので先に出るという事と、会計は済ませてあるので心配ない、という簡単なものだった。昨夜の事には一切触れていない。イヴは喜ぶべきか悩むべきかわからなかった。
都合のいい女は嫌だが、無かったことにされるのも嫌だ。かといって、任務に勤しむツォンに電話やメールで問い詰めるのも「めんどくさい女」認定されそうだ。
イヴにとってツォンは「アリ」か「ナシ」なら確実に「アリ」だ。でなければいくら酔っていても受け入れない。関係を持った事をきっかけに、好意がより明確になったのを自覚した。
「今悩んでもしゃーないわ。支度しよ……」
ともあれ、ツォンは任務で不在のようだ。少なくとも今日は顔を合わせなくて済むだろう。イヴは顔を洗いに洗面所へ向かった。
2020/06/16
ツォンさんは都合のいい女いっぱいいるのかしら。
深く関わるのも面倒だし反神羅に狙われても困るし敢えてそういう遊びの関係にとどめてたりして。
ツォンて優しいいい人だと思うんだけど、内面に底の見えない暗さも抱えてれば良い。
FF-D D+S New!夢物語
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