5 彼の姿は
ツォンとザックスは揃ってバノーラ村に到着した。しかし、行方不明のタークスやジェネシス、アンジールどころか、村人の姿すらない。人っ子一人いない閑散とした村に、この村名産のりんご・バノーラホワイトの葉が柔らかな風にひらひらと揺れれている。
「内部のゴタゴタが漏れないうちに処理する必要がある。やはり村人の姿が見えないな。集落を調べよう」
そう言ってツォンはザックスと共にジェネシスの実家の前までやってきた。
ジェネシスの家はこの辺り一帯の地主だ。家も土地も、他の家々と比べるまでもなく一回り大きい。家も庭もよく整備されて立派だ。ツォンはその大きな庭をぐるりと見渡した。
「おや? 」
大きな庭の隅に、大ぶりの石がいくつか並べてある。石はどれも歪で、大きさも不揃いだ。ツォンは整えられた庭の雰囲気にはそぐわぬその石に違和感を覚える。
タークスの勘が調べろと言うのに従い、ツォンは石に近づいて行く。
「墓石か。まだ新しい」
大きな石の下には、新しい土がこんもりと盛り上がっている。特に名前が刻まれたりしている訳ではないが、何かを埋めた後である事は察しがつく。
「ザックス。アンジールの家を確認してくれ
俺は墓を調べる」
ツォンはそう言うと、さっそく墓石を動かし始めた。それを見たザックスは大げさなほどのけ反って驚いている。
「げっ。タークスってそんなこともするのか! 」
「誰かがやらなくてはならない」
ザックスの言葉に答えながら、ツォンは淡々と墓を暴き始める。
「大変だな……」
ザックスはほんの少し同情した。きっと、いくら仕事でも自分にはできないだろうと考える。
「気にするな。おかげでおまえより給料はいい」
ツォンはしゃがんだままザックスを振り向いてそう言うと、また仕事に戻った。
「まじかよ!」
ザックスは頭にタライでも落とされたような顔をして、大げさなほど驚いた。ツォンはその様子に少し笑うと、ザックスに指示を出した。
「ザックス。アンジールの家を確認してくれ。おそらく向こうの集落だ。すでに敵の手に落ちている可能性が高い。充分気をつけろよ」
「了解! 」
ザックスはびしっと親指を立てると、集落のほうへ向かって走って行った。
◇
ツォンは黙祷を捧げた。墓を暴いた事を仏となった人達に詫び、また土で埋め直す。
墓はジェネシスの両親と、ここへ派遣されていたタークスの一人・ヘックのものだった。部外者であるヘックはともかく、ジェネシスは自身の両親にまで手をかけたということになる。ツォンは並みの相手では無いことを再認識させられた。
「オリビアはいなかった、か……どこにいるんだ……」
オリビアとは相変わらず連絡が取れないままだ。墓に入っていないということは、まだ生きているのかもしれない。それとも、他にも墓があるのか。
ツォンは歩き始めた。村中をジェネシスやオリビアの手がかりを探しながら歩き回った。だが、村はずれまで来ても怪しいものは何も見つからない。この村で何が起きているのは確かなのに、人が居ないこと以外は何の変哲もない長閑な普通の村と何ら変わりなかった。
ツォンは歩き続けるうち、村を完全に外れて崖にたどり着いた。
雄大な自然に囲まれて、そよぐ風が心地よい。こんな状況でなければ、もっと気分が良いはずだ。そう考えた時、ツォンはふとイヴを思い出していた。イヴをここへ連れて来たら、彼女はこの景色を喜ぶだろうか、と。
しかし次の瞬間、ツォンは頭を素早く振って思考を遮った。任務中の余計な物思いは、時に命に関わる。
ツォンは崖の淵まで来た。そこから見下ろすと、崖の下に工場のような建物がある。するとその時、ジェネシスと同じ顔をした男がそこへ入って行った。神羅の技術を盗用したジェネシスコピーだ。他のコピー達も工場の回りでウロウロしていて、崖の上からだとそれがよく見える。
ツォンはポケットから携帯電話を取り出した。工場や周りでうろつくコピー達の様子を数枚の写真に残し、それをタークス本部へ送信する。
次にツォンはザックスに電話をかけて呼び出した。ザックスの到着を待って、二人で工場に忍び込む算段だ。
ツォンは眼下の工場を睨みつけた。
2020/05/22
夢なのにヒロインが空気なのはこのサイトの特徴になり始めてる気がする。あかん。
設定が既にエグくてグロい。
非人道的過ぎてもうこの世界びっくりですわ。
ジェネシスが正しい。笑 ←
だからって皆殺しはどうかと思うけど、やりきれなくなるのは分かる気がする。
タークスってめっちゃブラックやけど、給料がめちゃくちゃ良いんなら案外割には合うのかも?笑
並のソルジャーよりよっぽど高給取りなんやろな。
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