D+S FF-D New!夢物語


10 運命



「わたしも連れて行ってください! 邪魔はしません! 」

「駄目だ。リリー、聞き分けなさい。今度こそは本当に危険なのだ。お前まで巻き込みたくない」

「だからこそです! ミンウさまこそ、どうして聞いて下さらないのです! 」


 大戦艦はフリオニールたちによって爆破された。フリオニール達を迎えに行こうとして帝国に誘拐されていたヒルダ様も、彼らによって無事に助け出された。
 行方不明だったゴードン様もカシュオーンで発見され、一時は皆安堵した。しかし、その後陛下の容体が急変し、そのまま帰らぬ人となってしまった。
 ヒルダ様は即位され、遂に女王となられた。反乱軍をまとめ上げ、その手腕を奮っておられる。
 私は陛下の遺言により、ミシディアへ旅立つ。究極の魔法、アルテマの封印を解きに行くのだ。伝承によると、世界の危機が訪れた時、その封印が解けるという。ならば、何としてもこの魔法を帝国に渡してはならない。我々の手札として、私の命を懸けてでも復活させねばなるまい。
 恐らく、これが私にとって最後の旅となるだろう。もう二度とここへ戻ってくることはない。私は漠然と、しかし、はっきりとそう感じている。
 しかし、リリーも何か感じるところがあるらしい。一緒に行くと言い出した。どうなだめても彼女は引き下がらない。リリーはいつも素直で、ここまで強情に食い下がってくるのは初めてだ。私は少々驚いている。
 仮に連れて行ったとしても、私にはリリーをここまで連れ帰ることはできないだろう。フリオニール達にも彼らの任務がある。保護してくれたとしても、旅にも戦闘にもあまり慣れていないリリーは足手まといにしかならない。
 リリーはまだ若い。ここで命を落としてほしくはない。


「リリー。いい加減にしなさい。お前までいなくなっては、ここでの治療はどうするつもりだ。」

「近頃はスコットさまも随分良くなられて、戦線への復帰の目途もたちました。街の人々も、今大きなけがをしている方はいません。」


 リリーは一歩も譲らない。むしろますます食い下がってくる。


「いつ、どうなるかわからないだろう。」

「ミンウさまだって同じです。おひとりでなんて。」

「お前に心配される程、私は落ちていないぞ。」


 リリーは私の目をじっと見据えた。私は思わず目をそらしてしまう。


「ミンウさま。いつ、お帰りになる見込みですか。」

「おや、待つ気になったかい? 」

「話を逸らさないでください。きちんとこちらを向いて、わたしの目を見て下さい。」


 リリーは、私の顔を両手で包み、しっかりと目を合わせる。ようやくリリーの顔を見ると、彼女は泣いていた。涙が溢れるのも気にせずに、私をまっすぐに見つめる。


「死ぬおつもりなんでしょう。ミンウさま。」

「リリー……お前……。」

「一人で黙って死ぬおつもりなのですか。そんなの、わたしは嫌です。わたしはミンウさまの弟子です。ミンウさまのお役に立ちたい一心で修業に励んできました。命を懸けて事を成そうとなさっているのに、ここで何もできないなんて、わたし、嫌です。絶対に、絶対に、お一人でなんて、行かせま……」

「リリー、言うな。もういい。」


 私はリリーの言葉を遮るように言葉を被せた。そろそろこの言い合いに終止符を打たなければ。私は既に焦っている。
 これ以上聞きたくない。いや、聞けなかった。リリーの悲壮な顔など、これ以上見たくはない。そんな顔をさせているのは私自身だが、それでも連れて行くわけにはいかないのだ。


「……何も、言うな。」


 私はリリーを抱きしめ、口づけた。そして、同時にスリプルをかけた。リリーには悪いが、かなり強めにかけた。早くとも3日は目覚めない見込みだ。こうでもしなければ、きっとリリーは私を追ってくる。本当ならばきちんと別れを告げてから出発したかったが、ここまで悟られていては仕方あるまい。

 リリーはよく眠っている。その表情は穏やかで、微笑んでいるようにも見えた。
 私は、リリーの黒い髪、その桃色の頬、いまは閉じられている愛らしい目をしっかりと目に焼き付ける。
 最初で最後の口付けは、冥土の土産になるだろう。恐らく、このことはリリーの記憶には残るまい。ずっと胸にしまっていた想いは、このまま私の中に留めておくつもりだった。しかし、これが今生の別れになるだろうと思うと衝動的に動いてしまった。直ぐにでも発とう。これ以上、決心が鈍ってはならない。

20140811

遂に佳境でしょうか
これからが捏造の本懐かもしれません



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