8 役目
アルテアに帰還して数日、私はまたフリオニール達と新たな任務に就くこととなった。ヒルダ様より、バフスクで帝国が建造中だという大戦艦を爆破せよとの命を受けたのだ。
もしも大戦艦が完成してしまったら、このアルテアも無事には済むまい。わたしは再びリリーに留守を頼み、バフスクまでの道を急いだ。
しかし、我々は間に合わなかった。国へ帰ったと見られていたダークナイトがバフスクの洞窟に留まっており、大戦艦を完成させてしまっていたのだ。これにより、私たちは急いでアルテアに戻らねばならなくなった。
途中、ポフト、パルム、ガテアに立ち寄ったが、どの地域も大戦艦によって甚大な被害を受けていた。聞くところによると、大戦艦はアルテアの方へ向かったらしい。
アルテアにはヒルダ様も陛下もおいでだ。そして何より、リリーも置いてきている。早く、早く帰らねばと、気持ちばかりが焦っていた。
帰り際に聞いたシドの話では、大戦艦の爆破には「太陽のほのお」とやらが必要だそうだ。そのことについても、ヒルダ様にお話ししなければならない。
◇
「ミンウさま……! 」
アルテアの入り口近くでリリーを見つけた。けが人の救護に当たっていたようだ。あちこち煤だらけで、ずっと立ち回っていたであろうことが伺える。
「リリー! 無事だったか。よかった……。」
思わずリリーを抱きしめた。リリーもそろそろと私の背に腕を回す。彼女は少し震えていた。
「大戦艦が、大戦艦が……。」
しゃくりあげながら話すリリーから、おおよその検討はついた。恐れていたことが起きてしまったのだ。我々は、間に合わなかった。
街は酷い有り様だった。何処もかしこも破壊され、大勢の民が亡くなっただろうことが容易に想像できる。
幸いにも反乱軍のアジトは無事だった。今はそこを拠点に人々の治療をしているとリリーは言った。
「すまない。大戦艦は既に完成していたのだ。爆破することが、できなかった。」
「そうでしたか……。」
リリーが私のローブをぎゅっと掴んだまま、悲しげに震えている。その姿がひどく儚い。
「陛下とヒルダ様はご無事か。」
「はい、ご無事です。ですが、陛下はとても気落ちなさっています。」
「……そうか。私は報告に向かう。それが終わったら私も救護に回ろう。それまで、もう少し頼むぞ。」
リリーは力強く頷き、けが人の治療に戻って行った。彼女は手伝いに来た人々に的確な指示を出し、求められてはあちこち飛び回っているようだ。
あんなに泣き虫で気の弱かったあの子が、いつの間にか逞しく成長していた。嬉しくもあり、少し寂しくもある。これで私の役目は果たせたのだ。
欲を言えば、信用に足る然るべき男性にリリーを任せることが出来れば言うことはなかった。しかし、残念ながら今はそれどころではない。そして、そのことにどこかほっとしている自分がいる。
私はリリーの背を見送り、ヒルダさまの元へと急いだ。
リリーなら大丈夫だ。いずれ、私がいなくなっても。
20140803
ミンウさまに不穏な空気が。
この運命に抗いたいのです。
どうやって抗おうかなっと。
FF-D D+S m-ds New!夢物語
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