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34 再会



 セリスがツェンの町に辿り着くほんの数分前、マッシュとエルもここへ来ていた。
 ツェンの町は帝国との戦いの爪痕があちこちに残る上に、ケフカの発する光によって新たに破壊された場所もある。人々はその光を「裁きの光」と呼んでいた。
 一通り町を見て回り、必要な物資を調達した。壊れた家屋も多い中、逞しく生きる人々にエルは感動すら覚えた。買い物をした道具屋など建物が半壊しているが、店主は気丈に商売を続けている。
 二人が町の北部に差し掛かったところで、町を裁きの光が襲った。光はまっすぐにエルの居るへ飛んでくる。エルは思わず足がすくんだ。動けなくなって固まっていたら、マッシュの腕が伸びてきた。

「エル! 伏せろ! 」

 マッシュはエルを抱え、少し離れた植え込みに転がり込んだ。直後、光は彼らが立っていた直ぐ後ろの建物に直撃した。

「ふう、危なかったな」
「ごめん、腰が抜けそうだった……。ありがとう、マッシュ」

 マッシュはエルの無事を確認すると、ほっと息をついた。
 すると、突然あたりに大きな音が響いた。マッシュがはっと顔を上げると、先ほどの建物がゆっくりと傾き始めていた。

「く、崩れるぞ……! 」

 二人は慌ててその場を離れた。建物はぐらぐらと揺れながら、ゆっくりではあるが確実に崩れようとしている。
 その時、女性の金切り声がした。マッシュとエルが振り返ると、町の女性が必死の形相で倒れかけた家に向かって来ていた。スカートが捲れ上がっているが、形振り構わずといった風だ。そのまま今にも崩れそうな建物に入ろうとするので、マッシュが慌てて止めに入った。

「おい! もう崩れるぞ! 入らない方がいい」
「私の子供が中にいるの! 一人で留守番をしていて……お願いです。助けてください! 」
「なんだって?! 」

 そう言うと女性は崩れるように座り込み、泣き出してしまった。エルは女性の背をさする。何とも言えない表情で、女性の家を見つめた。
 マッシュは気合いを込め始めた。そして、気迫で身体を満たすと、すっかり空洞になってしまっている家の基礎の部分に入り込む。縁の下の力持ちを実践するかのように、倒れかかっている家を支え始めた。

 「マッシュ! 」

 マッシュの姿を見て目を丸くしたエルが彼の名を呼ぶと、ほぼ同時に別の声が彼の名を呼んだ。
 エルが声の主を探して振り向くと、そこには唖然とした顔のセリスが立っていた。

「おっ……! 」「セリス! 」

 今度はマッシュとエルが同時に反応する。セリスは勇ましく、緊張した顔つきで向かってきた。

「今助ける! 」
「待てっ!」

 セリスは「なぜ? 」という顔をして、一旦足を止めた。エルも彼女の方へやってくる。マッシュは苦しげに説明を始めた。

「俺が動けば……家が崩れ落ちる。中に、子供がいらしいんだ。助け出してくれ……」

 セリスはハッと息をのむ。エルも悲しい顔で頷いた。

「あまり、もちそうにない……早めにたのむぜ……くっ……」
「行きましょう! エル! 」
「うん……! 」

 セリスとエルは意を決して、崩れそうな家に入っていった。
 幸い子供はすぐに見つかった。泣きじゃくってはいるが、特に怪我もない。あとは脱出するだけだ。

「怖いよう! 」

 涙でぐちゃぐちゃになった子供を抱き抱えると、セリスは優しく声をかけた。

「だいじょうぶ。さあ、出るわよ! 」
「お母さんが外で待ってるよ」

 エルがそう言うと、子供は「ほんと? 」と泣くのをやめた。
 セリスは子供を抱え直すと、エルと共に急いで外へ出た。

「待ったぜ! 」

 三人が脱出したのを確認すると、マッシュも縁の下から脱出した。その瞬間、激しい音を立てて家はあっと言う間に倒壊した。
 先ほどの親子はわんわん泣きながら抱き合っている。母親は何度も彼らにお礼を言って、冷や汗と涙でぼろぼろだった。

「マッシュ! エル! 生きていたのね! 」
「当たり前よ! たとえ、裂けた大地に、は挟まれようとも、俺の力でこじ開ける。さっきみたいにな!」

 マッシュは右腕で力こぶを作って見せ、豪快に笑った。
 心底嬉しそうな表情で、セリスはマッシュとエルに駆け寄った。そのまま二人まとめてぎゅうと抱きしめる。エルもマッシュもセリスに応えるように手を伸ばし、三人で円陣を組むようにして抱き合った。

「本当に、よかった。もう会えなかったらどうしようかと……」

 エルは泣きながらセリスを包容した。セリスも優しい顔つきでエルを抱きしめ返す。彼女よりも幾分背の低いエルの頭頂部を見つめながら、ぽつりぽつりと話し始めた。

「もうみんな死んでしまったかと思っていた……希望は絶たれてしまったと思っていた……」

 セリスは顔を上げてマッシュを見た。

「けど、諦めちゃいけないわね。生きているかもしれない! みんなを探して……そして……」
「ああ」

 マッシュは笑った。いつもの快活な笑顔だ。

「ケフカを倒し、平和な世界を取り戻す!! 」

 示し合わせたように、三人の声が重なった。言い終わると、顔を見合わせてまた笑う。こうして彼らの新しい旅が始まった。


20171021
すんごい設定ですよね
以前考察にも書いたことがありますが、救出が間に合わなくて家が崩れた場合ゲームオーバーになります
が、しかし
幻の別の展開があったそうな
まず、マッシュは仲間になりません
そして、エドガー加入後に彼をパーティーに入れてツェンの宿屋に泊まると、夜な夜なエドガーがマッシュを探すという生々しいイベントが製作段階で没になったとか……
没で良かったと心底思います



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