FF-D D+S m-ds New!夢物語


7 わたしは誰



 谷の上までやってきた。
 不慣れな雪に四苦八苦して、エルは移動するだけで疲れてしまった。今、彼女が前線に立つのは無理だ。
 だが、エルは魔法で遠距離攻が出来る。ティナとエドガーと共に後衛に回った。
 やっとのことで目的地に着いたエルがほっと息をついていると、ティナが話しかけてきた。その瞳は不安と期待が入り混じり、揺れている。

「エル。あなたも魔法が使えるのね」
「うん、そうだよ。わたしもセリスと同じ。帝国の人造魔導師なの。わたし、ティナの事は子供の頃から知っているけれど、やっぱり覚えてない? 」

 エルがそう尋ねると、ティナは申し訳なさそうに項垂れた。

「そうなの……。ごめんなさい。わたし、まだあまり思い出せていないの」
「ううん、いいの。きっと思い出せるわ。それより、わたしね、ティナとまた会えて嬉しいの。本当の、あなたに」

 エルはティナに微笑み、気にしないでと付け足した。ティナも幾らか表情を柔らかくする。

「ありがとう。エル」
「ごめんね。助けてあげられなくて。わたし──」

 エルは帝国でのことを思い出していた。
 ティナがあやつりの輪を付けられた経緯を、エルは知らされていない。だが、一切の感情が消え失せたようなティナ表情を見た時、大きなショックを受けた。それはエルが自分たちの立場や生き方に疑問を持つきっかけの一つになった。

「レディたち。話の途中で悪いが、どうやらお客さんがお見えのようだよ」

 エドガーの声に、エルとティナははっとした。谷の向こうで帝国兵がこちらに向かって来るのが見える。

 敵軍を率いるのは、帝国の魔導師・ケフカだ。彼もまた、エルやセリスと同じ人工魔導師である。ただ、彼の場合は帝国における魔導師実験の初めての成功例でもあった。その後、改良を重ねた末にセリスへの施術成功がある。
 ケフカは魔導の力と引き換えに精神が壊れたとも言われている。その所業は極悪非道だ。カイエンの故郷を毒で全滅させたのも、この男の仕業だった。

 遠目にも、エルはケフカと目が合ったのが分かった。射抜くような強い視線を感じる程に、まじまじと見られている。
 エルは身の危険を感じ、背筋がヒヤリとした。

「ほー、裏切者のセリス将軍もおいでですか。まとめて始末してあげましょ……ん? ……おや、あれは脱走したエルですねえ。あれは捕まえて幻獣共々連れ帰りましょう。皇帝もお喜びになりますですよ! 」

 帝国兵は、遂に谷に到着した。前衛はロックとセリス、マッシュで構成した。もう一組はカイエンとガウが奮闘している。
 エルたちも巧みに魔法や機械で援護を行い、どんどん帝国兵を倒していく。

 ふいにケフカは魔力を高めた。攻撃に備える前衛陣は、身構える。しかし、魔法の標的は、ずっと後ろにいたエルだった。
 エルは途中でその軌道に気づき、ギリギリで避ける。慌ててエドガーが駆け寄り、エルの無事を確かめた。エドガーは弓を改良したオートボウガンで応戦しようにも、距離が遠すぎて射程距離から大きく外れている。
 エドガーは厳しい顔つきでケフカを睨み付けた。ティナとエルは怯えながらも魔力を練り上げ始めた。

 その後も、ケフカは隙あらばエルに近づこうとする。そのたびにエルは逃げ回り、セリスの魔封剣で魔法を封じた。
 マッシュの必殺技とカイエンの必殺剣が冴え渡り、ロックの素早い動きで攪乱する。ガウの人間離れした技はケフカの進行を妨げた。
 前衛陣は、谷に近づかせないようにケフカを追いつめ、遂に追い出すことに成功した。

「クソっ、これで勝ったと思うなよ!覚えておけ! エル! お前もぜーったい、連れて帰るからな! 」

 ケケフカは捨て台詞を残して退散した。
 みんな力を使い果たし、クタクタだ。けれど、念の為に谷の上の幻獣を無事を確かめに行く。歩きながらセリスが渋い顔をして言った。

「ケフカは私を殺そうとした。しかし、何故エルにはあれほど固執するのだろう。何か、知っているか? 」
「ううん、わからない。でも、わたしは帰りたくないわ。皆といたい」
「ケフカの事だ。何か企んで居るのかも知れない。私も気をつけておこう」
「ありがとう、セリス。頼もしいわ」

 エルとセリスは堅く手を握りあった。

「幼なじみだもの。それにしても無事で良かった。脱走したと聞いたときは心配でたまらなかった。いつ、エルを討てと命令されるかとヒヤヒヤしていた」

 セリスはほっとした表情で、エルに微笑みかけた。エルも笑顔で応え、ごめんねと呟いた。

 やがて一行は、凍り付けの獣の前までやってきた。幻獣は怪しい光を湛えている。

「まるで、生きているようでござるな」
「まさか……? 」

 マッシュとカイエンが話していると、ティナが怯え始めた。後ろへ後ろへと後ずさりする。すると、幻獣から強い光が放たれた。光は真っすぐティナに向かう。

「いやあ!!! 」

 ティナ以外、全員が吹き飛ばされた。ティナと幻獣は、淡い光に包まれている。

「幻獣と、反応するというの……? 」

 信じがたい光景を目にし、セリスが呟いた。まばたきを忘れるくらい、特殊な光景だった。

「えっ? 何、この感覚。ねえ、教えて。わたしは誰? 誰なの? ねえ! 」
「ティナ……幻獣から、離れろ……」

 エドガーがそう口にしたとき、ティナからも光が溢れ出す。ピンク色に光るティナは、まるで幻獣のような姿をしている。その姿のまま、ティナはどこかへ飛び去ってしまった。

「ティナ! 」

 エルは思わずティナを呼んだ。けれどティナ答える事もなく、あっという間に遠くなり、遂に見えなくなった。
 同時に、エルは凄まじい視線を感じた。辿っていくと、幻獣がギロリとエルを睨め付けている。鋭利な刃物のような視線の恐ろしさに、エルは息を飲んだ。

──おい、お前──

「え? 」

 エルは周りを伺った。しかし、誰の声でもなかった。誰の言葉なのかがわからずキョロキョロする。その様子に、皆は首を傾げている。

──お前だ──

 幻獣は、エルを尚も睨む。エルは身を竦ませた。痛いくらいの視線がエルを貫く。
 エル思うように身体が動かせず、背中に冷や汗が伝うのが分かった。口は動かないが、不思議と返事はできていた。

「わたし……? 」
「おい、エル? どうした? 」

 エドガーが微動だにしないエルに呼びかけ、肩を掴もうとした。しかし、強い力が働き、エドガーは弾かれてしまう。

──お前は何者だ──

「……元、帝国の魔導師」

 エルの答えに、幻獣はいきり立って吠えた。

──とぼけるな! ──

「本当よ! 」

──人間如きにそんな力があるはずがない! ──

「わたしだって迷惑してるわ! 」

──どこまで愚弄するつもりだ──

「わたしが、何をしたって言うの……! 」


 幻獣が更に光った。きっと攻撃される。エルはぎゅっと目を閉じ、来るべき衝撃への覚悟をした。

20140816


ブラボーフィガロ!
今日はエドガーマッシュのお誕生日です
そして私事ですが、わたしの祖母も誕生日です
エドガーマッシュはいくつになったのだろう
祖母は95らしいですがどうでもいい情報ですね

発売20周年+崩壊後の空白の一年で48歳?くらいでしょうか
ナイスミドルですね
きっとステキすぎるおじさまになってそうです
ますます色気と男振りに磨きのかかったエドガーと、ナイスパパになってますます優しくなったマッシュを想像してによによします




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