17 再会
そこかしこから聞こえる咆哮や呻き声に、アベルは心底参っていた。実戦経験を積み上げてきた今だからこそ、辛うじて気を抜かずに戦い続けけることができている。しかし、もしもこれがバロンを出てすぐだったら、とても無事には済まなかっただろう。アベルは剣でモンスターを凪ぎ払いながら考えた。
ファブール軍と共にバロンからの攻撃を迎え撃っているセシル一行だったが、バロンの兵力は彼らの知る以上のものだった。城門で始まった戦闘が、今や責め込まれて王広間に繋がる通路まで撤退を余儀なくされている。
「王の間まで来てしまったか…」
アベルと共に頑丈な扉とその鍵を閉めたセシルが呟いた。がらんとした空間に彼の声が響く。共に待避した数人のモンク僧達は皆疲れきった顔をしていて、その場に座り込む者までいた。
バロンは大量にモンスターを投入してきた。見た目は人間の兵士だが、戦いが始まるとモンスターに変化する。アベルもセシルも、仲間だった者と戦わねばならないことを覚悟していたが、ある意味拍子抜けだった。しかし、この様子ではバロンはますますおかしくなっているのは明白である。セシルは暗い気持ちで思わず息をついた。
「戦闘員ではない者は無事なんだろうか……」
ギルバートがそう言うと、ヤンは自信たっぷりに答えた。
「ご心配めさるな。王や女子供は安全な所に避難している」
ギルバートは「そうか」と、ほんの一瞬、少しだけほっとした表情になった。
「しかし、ここで防がねばなりませぬ」
ヤンが神妙に言うと、セシルとギルバート
、アベルは彼に頷いた。セシルは辺りを見回す。
「ところでヤン、クリスタルはどこに? 」
「この奥だ! 」
ヤンが答えた瞬間、一人のモンク僧がすばやく王広間の鍵を開けた。ヤンはひどく驚き、同時に激しく憤った。
「何をする! 」
顔を真っ赤にして叫んだヤンに、鍵を開けたモンク僧は何も答えない。ピタリと動きを止めたかと思うと、ぐにゃりと彼の体が歪み始めた。
「人間じゃ……ない! 」
みるみるうちに、モンク僧だった物はサハギンに変化した。セシルが素早く倒すが、次から次へと沸き上がるようにしてモンスターが王の間へ入ってくる。
「キリがないぞ! 」
剣を振るいながらセシルが叫ぶ。叫びと共に、モンスターが一体壁にふっ飛んで行った。
「止むを得ん! クリスタルルームまで下がろう! 」
ヤンが撤退の指示を出した。クリスタルルームは玉座の奥だ。これ以上は退却できない。遂に追い詰められてしまった。
素早くクリスタルルームへ移動すると、その部屋はクリスタルがある以外はがらんどうだった。
床から浮いたクリスタルはキラキラと輝いている。いつまでも眺めていたい欲求に駆られるような美しさだ。アベルは感嘆のため息をついた。
クリスタルの無事を確認した一行がクリスタルに近づこうとすると、一人の騎士が彼らを立ち塞がるように現れた。
騎士は流れるような金髪を靡かせて、頭上から降りて来た彼は華麗に着地を決めた。長い槍の下部をトンと床に下ろすとセシルの方へ顔を向け、彼は静かに話し始めた。
「久しぶりだな」
20190514
D+S FF-D New!夢物語
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