47 艇の上から
窓から差し込む日の光が眩しい。セシルは目を開けた。ゆっくりと起き上がると、それまで寝そべっていたカウチに座りなおす。
セシルは首をぐるりと回した。パキパキと音を鳴らす首は少し凝っている。
セシルは自分の身体よりも一回り小さなカウチに丸まって寝ていた。すぐ隣のセシルのベッドには、アンが安らかな顔ですやすやと眠っている。
これからセシル一行は地底への入り口を探しに行く。入り口の場所に何のアテもないので、飛空艇でくまなく探す予定だ。
セシルは眠るアンを見た。夜に一度目覚めたアンだが、すぐにまた眠った。だいぶ顔色は良くなったが、まだ連れて行くのは憚られる。
セシルはアンを起こさないように、そっと部屋を後にした。
先ずはトロイア方面へ飛んだ。どうせアテがないなら、ギルバートに顔を出そうという事になった。
トロイアまでの道のりを、一行は目を皿のようにしてひたすら眺めた。何か地底への手掛かりはないかと探したが、特に何もないままトロイアに着いてしまう。
ギルバートはテラが亡くなったことに酷くショックを受けた。彼は回りの人を次々と亡くしている。新しい仲間は出来たが、失ったものの方が遥かに多い。
ギルバートもまた、まだまだ養生が必要だ。もともとあまり丈夫でもなければ体力があるわけでもない。海での漂流からの生還は正に奇跡だった。
闇のクリスタルの件は、トロイアの神官たちをも騒然とさせた。トロイアどころか世界の危機だと、八人いる神官がそれぞれ大騒ぎしている。
一行はトロイアから南下してミシディアにも立ち寄った。双子の石化とテラの訃報を知らせなければならない。
ミシディアでは、またしても長老が申し合わせたように祈りの館で一行を待っていた。テラの死は、ミシディア中を震撼させ、セシルが館で切り出した時には咽び泣く声すら聞こえた。
双子に関しては、長老が自ら助けに出向く事になった。セシルはバロンへの連絡役を買って出る。アンへの良い土産話ができたと、セシルの心が綻んだ。
ミシディアを出ると、次はそこから北上した。その日は地底行きは諦めて、もうバロンへ帰ろうとしていた。しかし、海を一つ超えた辺りでヤンが村を発見した。セシルは甲板のへりに立ち、飛空艇の下を覗く。
「あれは……小さいが、村ではありませんかな」
「確か、アガルトだったか……」
セシルは記憶の中の世界地図を手繰り寄せてた。実際に彼の手元にある地図には、村が小さすぎて載っていない。
「セシル、行ったことはあるか? 」
カインが聞くと、セシルは首を横に振った。
「いいや。上空を飛んだことは何度もあるが、立ち寄った事はない」
「セシルにも行った事のない場所があったのね」
ローザは外を眺める目をセシルに移しながらそう言った。その瞳は好奇心で溢れていて、「行ってみたい」と目で語っている。
「ならば、行ってみるか」
カインがそう言うと、それを聞きつけたシドは高度を下げ始めた。
2020/05/02
おかしいな。
夢なのにヒロイン不在とは……!
D+S FF-D New!夢物語
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