64. シドの秘策
ドワーフの城に着くと、ジオット王は悔しそうに唸った。最早成す術なしと、誰もが諦めかけた。月へ行かれてしまっては、追いかける事すらできなくなる。ミシディアの伝承を引き合いにして、そうでもしないと辿り着けないとジオットはため息をつく。
しかし、そのミシディアで長老が祈り続けているとセシルが言うと、ジオットは途端に表情を明るくした。ミシディアに行けば、古来から伝わるという魔導船を復活させられるかもしれないと言う。一行は急ぎ地上に戻る事となった。
しかし、地上への入り口は全て塞がってしまっている。これでは帰れないと、セシル達は互いの顔を見合わせた。
「でも、地上への通路は塞がっています」
ローザがそう言うと、エッジも口を尖らせる。
「バブイルの塔も、クリスタルが全部揃っちまって、近づけやしねえ」
「このまま帰れなくなると困りますよ」
アンは自分でそう言ったものの、その事実が途端に悲しくなってしまった。言って初めてその重さに気がついた。
「本当だ。それは困るな。どうしようか」
セシルもそう言って頭を抱えていると、シドが走ってきた。背後から看護ドワーフが「まだ寝てろ」「走るな」などと言いながら追いかけて来る。
「ワシがなんとかしよう!」
「シド」
やる気と活力に満ちた様子でそういうシドにセシルは驚いた。彼はそんなにも回復していたのかと喜んでいる。
「身体はもういいんでしょうか」
アンは恐る恐る聞くが、シドはガハハと笑ってどんと胸を張った。
「こんな老いぼれの心配をしている時ではなかろう!ファルコンの船首にドリルを付け、地上への穴を塞いでいる岩を掘りながら進むんじゃ」
大胆な発想に皆恐れ入った。選べるほど取れる手段は多くない。
「本当にそんな事できんのか?」
如何にも疑わしいと言いたげな顔をしたエッジがジロリとシドを見ると、シドは真っ赤になって怒り始める。
「飛空艇のシドに不可能の文字は無いわ! 早速改造じゃ」
そういうや否や、シドは看護ドワーフたちを引き連れたまま、一目散に走り去った。
「いつものシドだ」
「…そうなんですか?」
どこか嬉しそうなセシルにそう問うと、アンはもう一度シドが去って行った方を眺めた。
2024/01/07
D+S FF-D New!夢物語
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