三番目【裏切り者か否か】


「こんばんは、白露。こんな夜遅くに呼び出して悪いね。さっそくだけどもお仕事をしてもらおうか。」


目を開ける少女。なにがなんだかわかっていない様子だった

「もしかしてついた…?野鶴さん。」

「うん、そう。」

あどけなさが残る彼女を俺はいまから仕立ててしまう。できれば俺が手をかけずに環境に任せてあげたいけどもそうはいかない

大人の事情といえばそれで秘密にしてしまえるずるさ。俺もこないだまでは高専で呪術師やってたのにね。平凡で普通でアニメが好きな男。どこにでもいるような奴があそこにいたのがおかしい


そんなことを頭では考えながら
長い石階段を二人で登る


「呪具を預かってほしいらしくてね。お寺の住職さんが依頼してきたんだ。ただ呪具の呪力のせいで呪霊がうようよしてるから俺達はそれを祓って呪具を預かるよ。」

「しつもーん、呪具とか呪力とかってなあに?」

ベテランの呪術師ならそんなことも知らないのかと言われそうな質問をするけども一般の出の少女がそんなことを知っていたらどうだろうか。だからそれでいい

「呪具はいわゆる曰く付きの何かさ。ほら映画とかでもよくあるだろう呪いの何かみたいな。呪いのビデオレター、ラジオ…みたいなね。」


「なるほど〜、ヤバいアイテムってこと?」


「呪力はね、怨念みたいな。詳しく説明すると人の負の感情が元になってる力だよ。負の感情は怒りとかうらみとかマイナスなイメージのものね。」


「うん、わかった!まえに教えてもらったことあったんだけど覚えられなくて。」


石階段をのぼりきる


「お待ちしておりました、掃除屋の野鶴さん。」


「いえ、夜分遅くにお訪ねしてこちらもすみません。依頼内容は呪具の預かりと呪霊退治で大丈夫でしょうか。」


「それで間違いないです。」


つんつんと俺の腕をつつく白露。耳もとでこそこそと話す

「掃除屋さんってなんのこと?」

「俺はこういう人たちからそう呼ばれてるんだ、厄介事を引き受けるって。綺麗にしてくれるからだって。」

ふーんと白露はいう


「さぁ、仕事だよ。」


大量の呪霊を目の前にして俺は言い聞かせるようにいう








「五条さん、なぜあの人を協力者にしたんですか!?」

「あの人ってだれ?」

「乙女百合さんですよ、怪奇の女主人。経歴も詳細も一切不明なのに怪奇の女主人と言われ続けて呪術界でも曰く付きとされている…」


高専の一室。コンビニスイーツを食べる五条をあきれた目で見るのは窓である伊地知だった。

「あんまり騒ぐと本人が来るからやめた方がいいよ。あの人地獄耳だし、秘密が好きらしい」

「そんな宛もないことを言わないでください」


両面宿儺の器、虎杖悠仁が現れてから突如姿を現したのが怪奇の女主人と呼ばれる乙女百合という人物だった。ほぼ人の噂程度でしか信じられていなかったものの虎杖と接触しようとしたところを五条が発見したのだ
噂の人物が本当になったようなそんな気がした

「金を積んでもああいうのは相手にならないしね、さすがにその判断は軽率だと思うが。」

「辛辣だね、冥さん。」

「二人で勝手に話進めないでくれる!?なんでわざわざここに呼び出したのよ、東京までくるの大変なのわかってて…」

「私ここにいていいんですか!?五条さん。」


ただならぬ会話の予感がした伊地知は思わず聞く。自分は窓であって呪術師ではないのだから


「 もうちょいしたら七海がくるからさ伊地知迎えに行って。」

「は?」

「いいから行きなよ。」


突然の要望はいつものことだ。机の上においていた車のキーを手にとって伊地知は部屋から出た


「乙女百合、形代白露、そして京都にいる凍霞
貂、ずいぶんと人数が増えたなって思わない?」

伊地知が部屋から出たのを確認して五条は話始める


「人数が増えたって…確かに呪術師は万年人不足だしたまたま今年がそうなだけでおかしいことではないでしょ。まさかその話するためだけに呼びつけたんじゃないでしょうね!?」

「凍霞は暴れたら手がつけられないと東堂にすら言わしめるくらいだ。問題児以外特筆すべき点はない。」

「葵に言われるって相当じゃね?」


扉が開く、なにも言わずそのまま入っていくのは七海だった

「五条さんこんな夜遅くに呼びつけたのは急ぎですか。」

「七海、遅かったじゃん。」


「全員揃ったし端的に言うとさ、学長達なんか隠してるっぽいんだよね。主に形代白露のことについてなにか知ってるみたいでさ。」


「形代白露ってあんたが行った案件の野良呪術師もどきやってた子でしょ?」


「そうもどきだよ。もどきのわりにはそこら辺のよりかは賢い子だったけどね。」


ここでいう賢いは単に頭の良さをさして言ったわけではない。頭の良さならあの形代白露は比較するなら並みの呪術師にすら及ばないだろう
状況において何をすればいいのか最適な判断をする。経験に基づいて行っているのであればあのもどきだった少女は自分のやり方で呪霊と退治してきたことになる

「それなりに素質があってなおかつあんたの話が本当なら学長はなんで高専に来いって言わなかったのかってなるでしょ?」

「誰かが彼女の存在を明るみにしなかったは考えられませんか。」


「それが乙女百合、彼女ということに繋がる。違うかい?」


「まぁ、憶測だけどね。」



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