形代白露と馥郁野鶴
「愛は怖いよね。」
「それ野鶴くんがいう台詞?…まあ貂くんが復讐心で白露ちゃんが不安定な恋とも言えるし愛とも言える感情…めんどくさいから愛っていうけども愛はどんな哲学者も引き合いに出してきた。」
「それで?」
「復讐心は燃える炎だけども原動力になる燃料がいつか消える。でも愛って跡形もなく消えることはないのよ、あとにひく。綺麗なものもあれば汚いものもあるけれども無にはならないのよね。」
「だから怖いわ、白露ちゃんが。あれだけ愛の意味が不安定なまま誰かを愛している彼女が。確かにいまなら恋のままなのだけども重くなって尊敬も色んな感情が混ざり出したら煮詰まってしまう。」
マグカップを机におく乙女百合、一呼吸おいたあと話始める
「ねぇ、いつ彼女とであったの?引き合わせたのはあなたよね?出会うはずのない呪術師を彼女のいた町に呼び寄せたのは。」
「いずれはバレたよ。偶然だったんだ全ては。」
乙女百合さんは知らないかもしれないんだけど夏油磔、今は呪詛師なんだけどかれが五条悟と同学年だったのは知ってる?うん、そうそう今の呪術高専の先生方はみんな知り合いだよ。高専って四年制なんだよね。俺は関西の出身だから京都のほうにおせわになってたから五条悟がどういう学生だったかはしらないけども、その時代の人たちと四歳離れてるから俺実質同じときにいたことがあったってわけ
冥冥さんにはまじでお世話になってた。俺後ろ盾もなにもなくてね、一子相伝の術式のわりには俺で最後だし
さて本題にはいるよ
白露の家に俺が任務でお邪魔した。間に合わなかったんだけども。俺1人だったんだけどもあれはどう考えても二級の俺がいく仕事じゃなかったよ
彼女の家は三人家族で白露、そして白露の両親。普通に町工場を営む傍ら普通の家庭だったみたいだね。聞き取り調査とかしても嫌なこととかなにも聞かなかったし
ただ問題は多くて、家は荒らされてないし凶器も見つからない。第一発見者は形代白露、そう白露だった。その白露も両親が死んだショックで記憶が抜け落ちているし病院でもPTSDとかASDとか事件のことで重大なストレスを感じて塞ぎこんだりしてもおかしくないと診断されてる。これ以上負担はかけれないしこれは十中八九呪霊の仕業だ
「小学生の彼女にはかなりショッキングな光景だよあれは。」
まず腹が貫通している、処々食い荒らされたような後。その他にも外傷はひどくて骨すら食われているところもある。五体満足じゃない両親のこんな姿なんてみたら正気じゃいられない。
なんとしても犯人を捕まえるべきだと思ったけれどもなかなか見つからなかった
「呪詛師が手引きしてたんじゃないかしら?」
「どうしてそう思う?」
「まずリビング、部屋のなかで死んでいること。呪霊ならまるごと人間を喰いそうなこと。そんな処々喰い荒らされてって餓えてるならなおさらしないでしょう。」
「なにか手引きしたんだろうなぁとは思ったよ。でも理由がない。」
「なにか隠してたんでしょう。歴史の遺物…いいえ負の遺産ね。知らず知らずのうちにそういうのって侵食するの。きっと白露ちゃんの両親はなにも知らないうちに巻き込まれていた。」
「乙女百合さんってエスパー?」
まあいいや。本能で動いてない知性のある呪霊かもしれないけれどなにもないのに一般家庭を襲わないし規則性があるならそれこそニュースになっているし呪詛師だろうって。ただピンポイントにこの家だけ狙ったことがなにかあるって踏んで詳しく調べようとしたんだよね…そしたら数日後
「打ちきりになった。はぁ!?ってなったよさすがの俺も。」
「その時の白露ちゃんって何歳ぐらい?小学生?」
「小学校五年。さすがになんのケアなしに野放しにするわけにはって思ったんだけども打ちきりになった後俺はめちゃくちゃ忙しかった。意味わからないくらい…その時ちょうどなんか他の呪術師が海外にいってて国内の仕事全部俺に回ってたんだよね。」
「まさに天が味方をしていないか、意図的な邪魔か。」
「ほんとにそれ。」
目を細める乙女百合
「ああ、ようやくわかった。君が呪術界から離れた理由。白露ちゃんのことね。その話だと四年間きっちり学校には通ってるもの。四年間きっちり通ってでなおかつめぼしい情報がなかったから君は高専からも呪術界からも離れた。」
「いやそんなわけない。白露の話を受けたのは俺が四年の時だよ。やめどきだったからだって。」
俺の話はいいよ、本当に。一年間だけ卒業しても冥冥さんにはお世話になってたよ。気になることが色々あったから。だからあの人もこうして白露と貂がいることが俺のせいだって気づいててもおかしくはないんだけどね。白露と次に出会えたのはあの子が中退してからだった中学二年の時だね。親戚が預かったことは知ってたんだけども親戚がトンでもないクズで…
白露が抱えている借金に関しては書類をいじったのか白露名義にされてたからだよ。小学生だった彼女がなにもわからないからっていろいろな手続きを有耶無耶にしてた。中学生までは義務教育ってされてるけども普通二年ならみんな進路のこととか考えるよね。けども、あの子は親戚をたらい回しにされて生きなきゃいけない状況下だったから…多分養子をとることでもらえる資金は全部親戚の懐に入ってた。普通ならまかりとおらないことが全部当たり前のように通ってて、なにもできない白露はお金がなくて学校に通えない生活状況になるまで呪縛から逃れられなかった
「冬の空の下、ようやく見つけた彼女はブランコに座っていた。白い布につつまれたお骨を持っていたあの子に俺は声をかけた。」
「ならどうして最初から引き取らなかったのかしら。」
「できなかった。書類上の有耶無耶が後を引いて…あと俺の職業が呪術師だけども俺高専やめてたのもあってサポートがない分自分で調べてやったから…もっと早くに迎えに行けたかもしれないけれど。」
「過去を嘆いても仕方ないわね。」
俺いいやつじゃないなって思った。結局後先考えずした決断って全部自分のためだったからさ
冥冥々んの誘いを断って1人でいることを決めたのも俺はあの世界にいれないと思ったし俺は自分の娯楽をしたいがためにでていったから。
結果的に俺は白露を利用した。自分の不甲斐なさを直視したくなくて、俺は仲間がほしいとかわけのわからない理由をつけて
あの子を迎えにいけるまでヤクザに頼み込んで彼らにまとわりついた呪霊を払うことで取引をして住みやすいようにした。術式があるのを教えたのも俺
だけどもなにも知らないまま暮らすあの子がいたっておかしくないんだ
「はぁ……まじで柄じゃないな。」
「全うな人間ね。私ならそんな子を見つけてしまえばきっと人間じゃない方向に導いてしまう。人間の社会で生きにくいならきっと人じゃない場所で生きた方がいいかもしれないって」
「人外的な考え……。」
「野鶴くんが悩んだって仕方ないのよ。当の本人がどうするかだから。」
「だから自分と貂くんに8割依頼の仕事を割り振ってるのもそうでしょ?金銭的援助もしてるしお父さんみたいね。」
「子供を持ったことのない24の男がお父さんなわけないじゃんか。」
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