【二人分の命の重さ】2 凍霞 貂


実際、異常なほど眼があつい

焼ききれそうやった。見た目には燃えてないのに燃えているそんな気がする。うなりながらふとあの電話番号を思い出す。こらえようのない男やないはずや、自分は

ボタボタ落ちとるこれもなんやねん。もらった義眼からは流れてへん。泣いとるんか俺は


火葬場でのことを思い出す。あの二人は行くところのない二人だとジジイはいっとった。燃えて骨になった二人の重さがつぼ一つずつ入っとると思ったとき。どうしようもなかった

あいつらはこの先このつぼの中におるんやろか

天国におったらええけども二人が俺とおんなじ世界にはおらんしあるとしても二人の骨。もっとあいつらのこと知っとくんやった。俺できたこともっとあったかもしれへん、こんなんあいつらにできること言うたら墓参りしかできん。

「仇討ち…」

頭によぎった。仇討ち、確かに俺にできることや。ほんまにあいつらのためになるかわからんけども。とくにあの夜鶴ってやつは

『君にはその義眼の力を使うことができる。なにかあるならこの電話番号に連絡してくれ。』

そういった。確かにそういった

ならあいつらのために義眼の力を使った方があいつらのためになる。二人分の命がかけられた義眼。義眼自体は一つや。でも二人分の目でもなく命がここにある。二人分の人生がここにあるんや









「ジジイ、野鶴。」

正直言って不安の方が大きい。怖いもんなんてなかった。でも身内が死んでかわった

でもなぁ、二人の人生分がこの目にかけられとるのに仇討ちをせんっていう選択肢はあるか、ないやろ。だから

「決めたで、俺は。」

腹はくくった。野鶴という男は静かに頷く。わかっとったみたいに。
俺は俺のためにこの力を使う。仇討ち、かけられた二人分の人生。全部無駄にせんぞ。仕組まれとっても知らん。めちゃくちゃ丁寧に俺が今から呪術師になることを野鶴は説明した。んな丁寧に説明せんでもええって言ったら怒りよったぞこいつ

「反対だから怒ってるんだ。結果的にこうなったわけだから君がこの道を選んでるわけじゃないのはわかってるけどね。二人のように殺される可能性もあるんだよ。」

「それは無いな。」

「ものすごい自信だな。」

「俺はあいつらの仇討ちをして、…あいつら二人分の人生以上に生きる。100年長生きするとかそんなんちゃうからな、ほら話でもないからな。俺の人生をそれぐらい充実させたる。」


復讐みたいな気持ちもある。思い出しても腹がたっとる。でも同時に二人とした会話が思い出すんや。俺が片目が見えるようになったときの話や。だから復讐だけにせん、とは言い切らん

許せん、当たり前やろ

俺が見たときはジジイに顔見るなっていわれとった。ジジイが管理しとる土地に放り投げられとったんや二人は。普通じゃ考えられないほど残忍で冷酷で、発見した警察も組の連中も一瞬で青ざめるほどの…この世のものとは思えない死体。どうなっとったかは聞けへんかった。そりゃ大の血なまぐさい現場に慣れとる大人がみんな黙っとるんや。わかるやろ

俺がみたのはビニールシートの端から見えた握られた手だけやった


「復讐だけにとらわれるなら、俺は本当に止めてた。」

「あいつらの人生が復讐だけの価値になると思うか?そんなん節穴やって言われる。」


何があったか、なんで殺したんか。それにけりをつける。ちゃんと落とし前つける

仇討ちせんって言う選択肢は鼻からなかった。最初からそんなんない。妙に冷静なんや、でもムカつくし、気持ちは燃えとる。このまま暴れれるくらいにや

「それに…やな。土産話が復讐だけになるのはつまらんやろ。」






「最近入ってきた乙女百合さんの次に来た女がほんまにムカつくくらいに合わんねん。」

全国を飛び回っていること。気になる先輩がいること、ムカつく同期がいること。なんでも俺はここで話す

「色々あるけども俺ここで元気にやっとるわ。中々高校一年にしては忙しすぎとちゃうかって俺は思うねんけど…二人分くらいは凝縮されとるやろ。」

まだまだけりはつかへん。別の問題ばっかり降りかかってくる。焦ったりすることもようある高専おる間に見つからんかったらどうしよとかあの日のこととか思い出すしな。でもそうやったとしてもそれだけにしたない

三人で話したことが嘘にならんくらいに俺は生きる。そう覚悟したからけりつけるしやりたいことはやる。呪術師がなんぼのもんや、呪霊がなんや

「また土産話もってくるからな。二人とも」


俺はまだまだ生きる





























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