四番目の1
「おばちゃんありがとう〜。」
見知らぬ人におくせず声をかけれるところとかそういうコミュニケーション力は素直にすごいとは思う。任務上俺も人と話すことはあるがああいう明るい感じではない気がする
「伏黒くん、次の場所は和菓子屋さんらしいよ。でも最後の目的地の神社の近くらしいからけっこう遠いみたい。」
「ここからけっこう歩くってことみたいだな。」
「うん、そういうこと。ね、伏黒くんってお休みの日なにしてるの?」
「なんでお前にプライベートの話しなきゃなんねぇんだよ。」
「私はね〜ウィンドウショッピングするのとか好きだよ。あと美味しいもの食べるのも好きかな〜。」
俺の返答を待つようにのぞきこむ。俺は目の前にいる形代がこの女が苦手だ。向こうは嫌ってる様子もなくむしろ寮でも見かければ声をかけてくるし見た目よりもうるさい。伏黒くん、伏黒くんと声が聞こえて…振り向くと笑顔で手を振る姿。素っ気ない返事をしても変わらない態度が苦手だった
「形代、お前なんで…俺に『形代さん!?』」
ショートカットの女子の声に遮られる。形代ではない。俺の知り合いではないし形代のことを呼んだなら知り合いだろうが
「あれ、もしかしなくても柳星さん?」
「うん、そうだよ!!覚えててくれたのね、白露ちゃん。中学以来だよ…!以前あなたとお会いしたんですけども覚えてらっしゃらないですか?白露ちゃんのこと聞かれて…」
そういえばと思い出す。形代のことについて聞き込みをしたときにこの人から話を聞いたはずだ。中学の同級生だったか
「柳星さんって家ここじゃないよね。柳星さんも縁結びで噂のスタンプラリーしにきたの?」
「いいえ、違うの…スタンプラリーからミステリー研のネタ探しに来ただけなの。にしても白露ちゃん元気で良かった。あれからどうなってたか心配で……だって突然学校来なくなっちゃったから。」
「心配してくれてありがとう〜、でもこうして会えてるし結果オーライだよ。気にしないでよ、ね!ところで私もスタンプラリーのこと調べてるんだ〜柳星さんなんか知ってる?」
ウィンクして知り合いの同級生に駆け寄る形代。いままでスタンプラリーについて呪霊らしき怪しい情報は特に得られてないからか聞き出そうとしている。自然を装って話すそのやり方には感心した
「そうね、確か…スタンプラリーの最後の小さな神社に会える叶一さんというのに会うと願いは叶うけどもそれは一瞬だって聞いたわ。特別な絵馬に願い事を書くのよ。ミステリーのように謎ね」
「そうなんだ〜さすが柳星さんって物知り!私そろそろ行くね〜伏黒くん待たせてるから。」
「…そう、白露ちゃん。……あのね、白露ちゃん。」
「なあに?」
「また会おうね、必ずよ…″約束″ね。」
「うん!」
話終わったのか戻ってきた
「もういいのか、知り合いなんだろ。」
「うん、確かに仲良くしてもらってたけど…柳星さんちょっといろいろあって……まぁいいか。一生の別れじゃないし大丈夫だよ〜。」
友達と話さなくていいのかとは言ってないが俺が言おうとしたことはわかったみたいだった
「おい、聞いてるのか。」
「えっ、あぁ〜聞いてなかったかも。ごめんね、ボーッとしてた。」
ついこないだまでは一般人だった。虎杖と同じように呪いとはなにも関わらない生活を送っていたはずだ。昔の友達と会って色々考えることぐらいあってもおかしくない。ただこの様子をみればなんとも思ってなさそうだった
「最後の場所だろあそこ。」
「そうだね!やっと歩き終わった〜。疲れたよね、伏黒くん。」
「全然だけどな。」
「つれないな〜、そこは疲れたって言ってもいいんだよ。まあいいや、お店の中入ろうよ。」
行動がはやい。言うのと同時に行動するなよ…
「いらっしゃいませ、二名様ですか?」
「うん、そうだよ。」
店員に案内された場所は中庭が見える部屋だつた。綺麗に赤くそまった紅葉がみえる。店員がメニュー表をを差し出す。この店は和菓子屋らしい
「お客様はお飲み物にカップル限定のメニューをプラスさせていただきます。」
スタンプラリーは一応カップル向けらしいが、ひとつも否定しない形代になんで嫌って言わねぇんだよとさっきからずっと思っている
「ねぇ、伏黒くん。やっぱり和菓子屋さんなら抹茶頼んだ方がいいと思う?」
「別になんでもいいんじゃねぇのか。」
「本当になんでもいいんだね。よーし、わかった!お姉さん抹茶2つで!!」
本当に人の話を聞かない。虎杖や釘崎よりも話を聞かないんじゃないかと思う時も多いほどで。でも当の本人達は仲がいいらしい。虎杖の映画の話にもそこそこノってるのは見たことあるし、釘崎と雑誌を見ながら女子特有の話をしているのを見たことがある。こないだまで一般人で短期間の知り合いなだけだったのにな
抹茶が2つ、色とりどりの和菓子が形代の方に置かれる。どうぞと俺に湯飲みを手渡す
「抹茶とか飲む?今さらだけども大丈夫、伏黒くん。」
「子供じゃねえからそれくらい平気だろ。」
「普段コーヒーとかよく飲んでるもんね。」
「お前の方こそ飲めるのかよ。甘党な癖に。」
目を見開いて固まる形代。なにもおかしなことはいってないと思う
「あっ、いや全然大丈夫大丈夫!!昔お手伝いしてたおばあちゃんの抹茶ばっかり飲んでたし!!!」
いや、なんでそんなに焦るんだよ。と突っ込みそうになる
「任務中だけどもこうやってゆっくり最近できてなかったからちょっと嬉しいかな。」
曇りのひとつもない笑顔が俺に向けられる。あの日会ったときからどうしても嫌いになれない。俺とお前の考え方は全然違うようでその人間らしさが見えたときにはっきりと嫌いとは言えなくなる
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