〜しないと出られない部屋


「これまた面倒な……」
メギドラルの罠か、何にせよこのなんとも白い部屋に閉じ込められたのは事実だった。そして私だけじゃなく隣をみると彼がいる…教官と言われてるフォカロルが
「手荒だが蹴破ってみるか。」
「やめといたほうがいいんじゃない?なにかあってさらに状況が悪化するかもよ。だってヴィータが閉じ込めた訳じゃないだろうし…」
「それもそうだ。だが、ここでこのままいるわけにもいかん。」
確かにそう。今頃さっきまでいたソロモン達が探し回ってそうだし、早くでたい
「うーん、なにかヒントとかないかしら。なんだろう紙?」
真下に落ちている紙を拾い上げる。裏返してみるとなにか書いてあった
「なになに…?げっ、えっほんとに冗談じゃないわ。」
「情報共有くらいしっかりしろ、まったく。」
「こんなふざけたことでも…?」
紙をつまみ見せる
「ふざけているのか!『入ったもの同士がキスすればすぐ開きます。時間制限ありです。20分以内。』」
「本当に罠つくったの誰よ〜!」
「おい、これをしてすぐ開くと思うか。」
「…うーん、それはわからない。でもわざわざ書くってことは実現不可能な前提に書いてるのかも。罠を仕掛けた誰かさんが仲の悪い人同士いれたらこれって無理じゃない?」
「なるほどな。」
少し驚いた様子でうなずいたのはなぜだろう。まさか私のわりにはまともなとか思っているのだろうか
「今失礼なこと考えた?」
「納得する意見の一つだと思っただけだ。その口からでるとは思っていなかったが。」
「最後の余計!!」
さて、どうするか。面倒なことになってしまった。場所は指定されてはないからどこにキスしても構わないのだろうけど
バンッ
「あーっ、ちょっと!」
フォカロルが扉を蹴破ったがびくともしていない。なら私が扉を力任せに動かすのは無理だろう
「時間制限があるということはのんびりしてられん。試せるものは試すべきだ。」
「それで蹴破ったと。うーん、どうする?」
こんなときでも緊張感のないあくびは出てしまう。フォカロルがいるの忘れてあくびしてしまった
「緊張感のない奴め…。メモに書いてあったことを実践するのが今のところの打開策としては可能性がありそうだ。」
「あくびはいつも出てるじゃない、今さらじゃないし…。ふぁ…、キスする場所指定はないから適当な場所に私がキスしたら開くかしら。」
「待て、それでいいのか?」
「試せるものは試すべきだって言ったじゃない。違う?」
なにか考えているようだったが恥ずかしいとかそういう気持ちもあるのかな?この鬼教官と呼ばれる人にも…無さそうだよな、やっぱり。多分、私を嫌っているだろうしされたくないんだろう
「口にはしないし大丈夫よ。嫌いな人に口にキスなんてされたくないものね。配慮ぐらいはできるもの、私だってフォカロルより年上だし。」
「年上だったのか!?」
「うん、君より年上。それよりもどうする?嫌なら嫌でいいし、別の方法考えましょ。」
「一ついいか、お前だって嫌いな奴にしたくはないだろう。」
「えっ、それどういうこと。私が君を嫌いってこと?」
うーん、と口に手を当てて考えているが答えは決まっていて君を嫌いになる理由はないんだ。
「いつ嫌いだなんて言ったかなぁ。まぁ、お説教がうるさいかなって思うところはあるけど君自身を嫌いになる理由にはならないんだよね。お説教自体が悪って訳じゃないし。それは君の性分であって長所だしある意味行き過ぎは短所かもだけど、真面目で仲間思いだしメギドにしては優しい方だよ。」
「…まさかそんなふうに思ってたとはな。」
「まあね〜。羨ましいくらいの生き方よ、私から見たら。ふぁ〜喋ってたら眠くなってきちゃった。」
「ここでも寝ようとするな!!話が本題とそれたがここから出ることが目的だろ!」
「ああ〜そうだった。」
職業の癖が抜けないのか早くでなきゃならないのにフォカロルの手の傷に目がいってしまう。本人は気にしてなさそうだけど
「手かして、怪我してるから。」
「この非常時にそんなこと構ってる場合か。」
「ダメです〜!!私の前で怪我ごまかすのは許さないから。というかすぐ終わるわよ。」
鞄から消毒液とガーゼを取り出して傷口の血を拭き取り、そんなに大きな傷ではないので絆創膏で済ます。その絆創膏が貼られた手に口づけをする
ガコンッ
「よかったじゃない〜帰りましょ。」
扉は開いた。時間制限通りに間に合ったようだ
「ああ、そうだな。」
なにかいいだけそうだったが本当のことならきっといつものように言うだろうと歩きだした














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