幸せの味


「ソメーユはいつも遠慮ばっかりするのです」
蜂蜜がかかったパンケーキを美味しそうに食べるクロケルはソメーユにそういった
「遠慮はしてないわ、自然体なのよ。」
「ソメーユは欲がないのですか?」
フラウロスのほうをみるクロケル
「あれは……こう比較するのはダメだと思うんだけど。」
「違うのです!!ソメーユにお金借りてるフラウロスを見たのです!!」
その声が聞こえた瞬間何人かのメギドがソメーユの方を向いた
「ちょっと待って!?遠慮云々の話してたのにクロケルちゃん、話がめちゃめちゃ飛んで…」
「欲がなくて、みんなの優しいお母さんのようなソメーユにお金をたかりにいくフラウロスは親不孝な息子みたいなのです。」
うまい例えをするクロケル。どこでそんなの覚えたのだろう
「ダメよ、ソメーユ!!フラウロスはどうしようもないクズってわかってるじゃない!」
クズ呼ばわりは相変わらず定着している
「ムルムルちゃん…。あのね、これは違うのよ。私がなんの理由もなしにお金貸したりしないわ。」
「なら、いいんだけど。ソメーユは優しいよね、こないだも一緒にトランプしてたのよ。」
「ああ、あの日ね。楽しんでくれたならいいのよ。」
暇をしていたムルムルにトランプをしようと声をかけたのは私だ。気を使ったわけでもないから特別優しいって言われることがちょっと恥ずかしい
「今度は私も仲間に入れて欲しいのです!」
「そうね、今度はみんなで遊びましょ。今日は用事があるからダメだけど。」
「どこかいくの?」
「街にちょっとね、用事よ。」

ポータルから街へいくソメーユ。そのソメーユが知らない間にアジトではソメーユの話がされていた

「このパンケーキ、ソメーユが作ってくれたのです!」
「へぇ〜、そうなんだ!ソメーユなんでもできちゃうね。」
クロケルが食べているパンケーキはソメーユが作ったものだ。ソメーユがクロケルのメギド時代の好物が蜂蜜と聞いたときに蜂蜜ってパンケーキにかけると美味しいのよねと言った。クロケルはいつものパンケーキと違うのです?と聞いたらソメーユが作ってくれた
「いっぱい作ってくれたのでムルムルもどうぞなのです。」
「いいの?」
「ソメーユがいつもいってるのです、美味しいものは食べたいと思ったら食べるといいのです。」
何枚かつまれたパンケーキを一枚小皿にとるムルムルは一口食べる
「美味しいね!」
「わぁ〜いいにおいがする!それなぁに?」
においにつられたのかジズがパンケーキをのぞきこむ
「パンケーキなのです!ジズが帰ってきたってことはソロモン達帰ってきたのですか?」
「うん、ジズね頑張ったよ〜!」
調査から戻ってきたソロモン達がポータルから帰ってくる
「わぁー!!美味しそう!!」
シャックスが真っ先に目にはいったのがパンケーキだったらしい
「これソメソメが作ったんだよね?」
自信ありげにシャックスがこたえる
「そうなの?」
とジズがきく
「そうなのか?料理してるところみたことないからわからないけど。」
ソメーユが積極的に料理を手伝うわけではない。それはみんな知っていた。クロケルにパンケーキをつくったのはその場にいたムルムルも優しいソメーユのことだから蜂蜜をかけたパンケーキが気になったクロケルのためであって…その事情をしらないシャックスが見事にそれを当てたのでムルムルとクロケルは驚いていた
「シャックスがいうことはあてにならないからな。」
「バルバルひどいひどい!!」
「いえ、シャックスのいってることは当たっているのです。」
「ほら、やっぱり大当たり〜!」
「直感とか強いわよね…。それで、作った本人はどこへいったの?」
ウェパルがアジトの中を見渡す
「用事があるから街へって行ってたわ。」
「…また備品とか買いにいったのかもしれない。彼女、手当てに必要な包帯とか自分で買ってくるから。」
「そうかもしれないな。俺も一度ついていったとき薬とか包帯とか色々買ってたし。ところでシャックスはなんでソメーユが作ったってわかったんだ?」
ソロモンの問いかけにシャックスはえっとと考える
「シャックスのことだから、そんなに考えてはないんじゃないかな?」
「考えてるもん!だって、マルマルと私にご飯作ってくれたときそのお皿だったんだよ!ね、マルマル。」
「俺を巻き込むな!!確かにこないだはそうだったけど。」
「美味しかったよね〜。学校でお昼食べ損ねちゃったっていったらマルマルの分もあわせて作ってくれた!!」
マルファスはパンケーキがのせられた皿をみてなにか思い出したように言った
「ソメーユが確か『ひもじい思いって一番辛いと思うから』っていってたな。そういえば。」
クロケルはパンケーキを食べる。口に広がるふわふわの食感に優しい味
「なんだかパンケーキってソメーユみたいなのです。」
お腹がすかないように、美味しいものは食べたいと思うだけ食べればいい。そういったソメーユの言葉が頭によぎる




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