『優しい人』ワヒロ:久森晃人


「あの…面白そうだなぁって、それ何に?」

あれ、こんなところに女子なんかいましたっけお嬢様みたいな雰囲気の子だった。その子は僕のスマホゲームに興味を示してるみたいで、スマホの画面を指差しながらこういった


「ごめんね、いきなり話しかけちゃって…。私そういうの何も知らなくて。」

「そうなんですか。…ちょっとやってみます?」

「わぁ、いいの?ありがとう!」

ゲームを知らないってなんだか珍しいなと僕はそのとき思った。パズルゲームとかちょっとしたゲームくらい今なら誰だって触ってそうな気がしましたし、こんな僕と同じくらいの子が全く知らないって厳しい家だったのかなって憶測で考えていた

「楽しいね、ゲームって言うんだっけ。あっ、名前忘れてた。私ね、初魄焔っていうの。名字は呼びにくいから名前でいいよ。ちょっと変わってるでしょ?」

「僕は久森晃人です。」

「久森晃人くん、素敵な名前。」

笑った顔に花が咲くようなふんわりとした笑いかたをする子だなと

「あのね、私の話を少ししてもいいかな。時間とか大丈夫…?邪魔じゃないなら聞いてほしくて。」

「全然大丈夫です。休憩してたところなので。」

「いままでずっとヒーローしてて学校も忙しくて抜けちゃうことが多くて、友達もいなくてね。私ぐらいの年の子が何話したりするか全然わからなくって……」

「焔さんはヒーローなんですか?」

「うん、そうなの!バタフライ・アクトっていう二人組のヒーローだったんだ。今はね色々あってお休み中なの。」

女の子のヒーローで思い浮かぶのは一つしかなかった。僕でも知っていますし、矢後さんでも知っている。バタフライ・アクト、女の子二人組のヒーロー。ある日突然名前を聞かなくなったヒーロー。理由は誰も知らないけれど僕たちが活躍する前からずっと二人組のヒーローは活躍していた。ヒーローの存在が大きくなる前から町の人達のヒーローとして戦っていたのだった

「あの、バタフライ・アクトの…。」

「思ってたのと違った?よく言われるんだ。話逸れちゃった、あのね…久森くんがよかったら私と友達になってくれませんか!!」

「僕とですか…?」

「嫌かな…?」

嫌というか、僕と友達になろうっていうのが意外だった

「さっき久森くんがゲームのこと話聞いてるのとか楽しくて、ダメじゃなかったらね…今度もそういうの聞きたいなぁって思ったの。」

今時の女の子には珍しい理由を彼女は話した。ゲームが好きな人は多くいると思う。他のみなさんともゲームはするし。僕のゲームの話なんてなんてこともないと思うのにそれを楽しそうに聞く彼女がきになった

「僕で良かったらいいですよ。」

「本当に!?嬉しい!!」

これが彼女との始めの出会いだった





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