21


毎日のように仕事をして、毎日のようにジョルノに家に送ってもらう。無我夢中で過ごす日々を数日間過ごして明日は休暇という真夜中に、

「遊びに来たよシニー、」
「緊急任務だぜ!」
「今日は寝かせないぞ!」

やたら騒がしい三人が懐中電灯を片手に私の家にやって来た。
現在の時刻は二十三時。街はもう眠るように静かだし、何よりご老体のお隣さんはもう既に眠っている。私もそろそろ眠ろうとしていたからこれには困る。突然すぎる。

「もう……寝るんですけど……」

やって来た三人をアパートの中に入れて、そして改めるように寝るところだったということを話して、遠回しに帰ってくれとお願いした。
ジョルノは遊びに来たと言ってミスタさんは緊急任務だと言って、ウーゴは寝かせないって……どういうこと?一緒に来たのに皆なかなかバラバラなことを言っていない?
何がやりたいのかよく分からない。おまけに眠いから辛い。今にも瞼が落ちてきそうになっていたら、ジョルノが私の顔を両手で包んでぺちぺちと叩いてくる。

「まだ寝ないで。きみにやってほしいことがあるんだ。」

ジョルノの手は温かい。気持ちいいから尚更眠たくなる。寝るなと言われる方が無理。
眠い。でも気になることを言われたので、何とか起きようと瞼を開く。

「やってほしいこと?」

こんな夜中にやってほしいことって何?添い寝……ではないよね。わざわざ家までやって来てそれはない。
私が訊ねると、人の部屋を見て家具をいじっていたミスタさんが答えてくれる。

「マジで緊急任務なんだぜ。」

そう言って、ミスタさんはテーブルの上に置いていた缶を開けて中のクッキーを一つ口に入れる。勝手に食うな。

「シニー以外に適任がいないんだ。っていうかシニーじゃあないといけない。」

ウーゴに至っては話しながら私の本棚にある本を手に取るとパラパラとめくって読み始めているし……なんなのこの人達!自由か!

「分かったから人の部屋を漁らないで……」

話を聞くからもう自由にしないでくれ。頼む。そう思いながら近くの椅子に座り、ジョルノの顔を見上げる。
ジョルノは目が合うと微笑んでくれて、そのまま私にしか出来ないらしいことについての内容を話してくれた。

「ゴーストバスターズになってほしいんだ。」
「は?」

でも顔と発言が全く合わなくて……え、ゴーストバスターズ?何を言っているのかよく分からない。ギャグかな?全く分からない。

「ごっこ遊び?」

そんな子供みたいな遊びに付き合う気はない……ゴーストバスターズってあれでしょ?掃除機で幽霊を捕まえる映画だよね?あれはフィクションだからリアルで出来っこないだろう。

「ごっこ遊びだったらいいんだけどよォ〜、違うんだよなこれが!」

ミスタさんは私の言葉を聞くと真面目な顔で反論をしてくる。

「実はな、昔使われていたパッショーネのとあるチームのアジトでな……怪奇現象が起きてるんだぜ……」
「怪奇……現象……」
「そう……怪奇現象だ……」

凄く真剣だから私も真剣に耳を貸す。

「部屋にはもう何も置いてはいねえ、けどよ、夜中になると音がするんだよ……シュルって音とパリンって何かが割れるような音が……」

そして貸してから後悔をした。内容がとても怖すぎた。
何も無いのに音がするって何?そのアジト軋んでいるのでは?って思うじゃない?でもシュルって音とパリンって音はどう考えても軋んで出てくるような音ではない。明らかに誰かが出したような音だし……しかも病院でいろんなものを見たからまさかって思うじゃん?思うじゃん??

「非科学的だとは思うんだけど世の中にはスタンドが存在するし、何よりシニーの経験を考えたらまさかと思ってさ。きみにそれを調べてほしい。」

心の中で怖がっていれば、ウーゴが読んでいた本を棚に戻ながら私に仕事をお願いしてくる。
あの常識しか語らないウーゴが認めるくらい今回の案件は非科学的なのか……やばい匂いしかしない。
確かにあの一件で私は幽霊に慣れてはいる。自分も近い存在になっていたせいか彼らを他人のように見ることが出来ない。その証拠にブチャラティ達に尽くした。

「この前鍛錬をしたいって言ってただろ?ちょうどいいじゃあないか。」

ジョルノはいつの間にか冷蔵庫に入れていたはずの私のチョコレートを頬張りながら、都合よく「鍛錬」という言葉を出してくる。この人ら他人の家のものを何だと思ってんだろ。
確かに鍛錬するって言った。仕事を回してとも言った。言ってしまったけれど……オカルト的な仕事を回されるとは思わないでしょ。ずるいぞ!

「でもちゃんとしたものが出来るか分からないよ?いいの?」

星は出せるけれどあの時みたいにしっかりした体を創るところにまで辿り着けないと思う。
私が訊ねるとジョルノは頷きながら笑う。

「逆にそれの方がありがたい。今回は中途半端が丁度いいんだ。」
「ええ……」

何で?何で中途半端がいいの?透けてていいとか意外な回答されたら逆に困る。ちゃんと創れたらどうしたらいいの?

「とりあえず移動しよう。歩いて行ける距離だから。」

困っていたらジョルノはチョコレートを平らげて、玄関の方へと歩いていってしまう。っていうか他人の家のチョコレートを全部食べないでくれ、酷くないか?

「なぁ掃除機いる?持ってくか?」
「いらないですよ。さっさと行きましょう。」

ウーゴもミスタさんもジョルノにくっ付いて玄関の方へと消えてゆく。掃除機は置きっぱなしだけれどいじられた後みたいだ。私のものを何だと思ってんのかこの人ら。凄く失礼だよな。
しかし……この流れはやっぱり私が行かないといけないのかな。幽霊のことは気になるけれど、自分のスタンドが今どこまで出来るのかが不安……仕事だからやるしかないのだけれど、一つ心配なことが。

(どんな人がいるんだろう……)

まず幽霊の正体が分からない。それがちょっとだけ怖い。ブチャラティ達の時は知っていたから安心出来たけれど、今回は全然知らない人が相手だから不安しかない。

「シニー!」
「あ、うん!」

でも皆がいるなら大丈夫だよね?何が起きてもどうにかなる、よね?
私は慌てて上着を手に取ると玄関へと向かい、外へ出ては鍵を閉める。

「ねぇミスタ、この家の鍵のパターンだとどうやってピッキングするんですか?」
「このパターンだとな、」
「あれですよね、」
「ミスタさんもウーゴも黙って。」

閉めた後でジョルノがとんでもない話をし始めたのでミスタさんとウーゴには黙ってもらい、とりあえず街中へと飛び出す。
街灯が照らされているから足元が見えて安全だと思っていたけれど、ジョルノ達は段々と路地裏の方へと入ってゆく。転ばないように足元を星達で照らして、曲がりに曲がって複雑な道をとにかく歩いて……どこをどう通ったか分からないくらい入り組んだところを歩かされて、何とかその場所に辿り着いた。

「ここがアジト……」

目立たない場所にそれはあった。風景に馴染むように建っていて、全く特徴的なものがない。ここがアジトだなんて誰も思わないだろう。

「とにかく入ろうか。」

ジョルノは服から鍵を取り出して鍵穴へ差し込む。ガチャガチャといじると扉を開けて、ミスタさんとウーゴと一緒に中へと消えていった。ジョルノって幽霊は怖くないんだな……また一つジョルノのことを知ったな。でもそう和やかに過ごしている場合ではないよね、仕事をせねば。
私も部屋の中に入ると開いていた扉を閉めて、目から星を産み辺りを照らす。

(確かに何もない……)

このアジトの中には何もない。本当に人がいたのかと疑うほど綺麗だ。こんな場所に幽霊って……いるのか本当に。

「シニストラ、とりあえず足跡出してくれ。」

ミスタさんにいつもの仕事を頼まれて、私は頷くと言われた通りそこに「いる」人の足跡を皆に見えるように創る。
そこには一人分の二つの足跡があり、それは真っ直ぐと目の前の部屋の続いていた。

「この足跡は……いるとしたら誰だ?」
「いるとしたら……」

ミスタさんとウーゴは足跡の明かりを使って何かの資料を開いている。ジョルノだけは足跡を追って部屋の中へ入ってゆくので私も追いかけて部屋の中に入った。
入ってみると足跡は部屋の真ん中に続いていて、そこでパタリと消えていた。どうやらそこに今回の目的いるらしい。

(ここに幽霊が……)

どんな人が今ここにいるのだろうか……ブチャラティとアバッキオとナランチャではないんだよな。知らない人なんだよね……しかも生きていた人。そう思うと少し寂しいな。会ったことはないのに死んでいると思ったらちょっと考えてしまう。

「シニー、大丈夫だよ。」

ジョルノは部屋に入ってきた私に近付くと、得体の知れないものと向き合うように立った私の手を握ってくれる。

「見えるようにするだけでいい。触れる体はいらないから……何かあったらぼくがいるし、みんなもいるから。」

落ち着く。凄く落ち着くし安心する。
誰がいるのか分からない。知らない人を見えるようにとかしたことがないから凄く不安。アジトにいるっていうくらいだしもしも悪い人だったらって思うと怖くなる。
でもやるしかない。これは私の仕事だし、唯一私が出来ること。最初は眠いから嫌だなって思っていたけれど今じゃもう目が覚めてやる気満々だ。

「わかった、頑張る。」

私はジョルノの手を握り返すと、目の前にいるはずの幽霊を見つつ星を産む。
気持ちがちょっと昂っているから透ける程度には体を創れるかもしれない。足跡になっていた星達もかき集めると、ここにいるはずの人を見えるようにと望んだ。
星達は渦になって、いる人の周りをグルグルと回る。下から上に登っていくと、一気に脚まで創り腰や胸をうっすらと創り上げていった。
でも現れてくるこの人は何かがおかしい。服が何か……面積が少ない。ウーゴみたいな感じなのかわざとらしくところどころが切れている。

「おー女の子がいるじゃん。」

口と髪が見えてくると、その人はシュルっと音を立てながら舌なめずりをする。
もしかしてこの音?シュルって音はこの舌なめずり音?うわっこれ幽霊なのに聴こえるくらいの音を出してやっていたの?凄い?

「お嬢さん、星座と血液型を教えてくれない?」

しばらくすると完全に幽霊の人の顔が創られる。目を片方布で覆っていて、以外とカッコよくはある。だがしかし服を見るとやばい匂いしかしない。舌なめずりのせいか印象がかなり最悪だ。

「舐めれば分かるんだけどなぁ〜」

その現れた人は気持ち悪いことを言いながら私へ顔を寄せてきて……怖っ!何この人怖い!

「シニーに近付くな。」
「ふごっ!」

怖いし気持ち悪いしで固まっていたら、ジョルノがスタンドを使って目の前に現れたその人をぶん殴って吹っ飛ばしてくれた。

「え、なんで今殴れたの?」

吹っ飛んでくれたのはありがたい。しかし見ていて思い浮かんだ疑問が気になりすぎて空気を読まずにジョルノにぶつける。
一応透けているから攻撃は入れられないと思ったのだけれど……どうして殴れたのか。何で吹っ飛ばせたのか。
私の疑問を聞いたジョルノは私を抱き寄せつつ、吹っ飛んだ人を睨みながら答えてくれた。

「スタンドはスタンドに触れるんだよ。きみのスタンドが創ったものならスタンドの一部だから、触れるってわけ。」
「あ、なるほど。」

そうか!たとえ体が透明でもスタンドから出たものだったら同じスタンドってわけで、ジョルノのスタンドでも触れるんだ!凄い、よく咄嗟に思いついたよな……流石ジョルノだ。

「ちょ、おまえ誰……」

吹っ飛んだ男の人は殴られた頬を擦りながら立ち上がり、ジョルノと私の方を見る。

「ジョジョ!大丈夫ですか!」
「おいおい何があった!」

騒ぎを聞きつけたウーゴとミスタさんが部屋へと駆け付けて、私とジョルノの後ろにやって来ると目の前の人を見て少しばかり目を見開かせる。
わ、分かる……驚きしかないよねこんな服……でもウーゴ、お前は驚く資格とかないと思うぞ?

「あれは……資料の奴だよな?」
「そうですね……名前は確か……」

そしてウーゴとミスタさんはその人を見ると持ってきた資料を広げ始めて、それとその人を見比べてはヒソヒソと何かを話しだす。多分陰口。絶対陰口。

「あれは暗殺チームのメローネです。」

しかし二人が特定する前にジョルノは相手の名前を口にすると、私をミスタさんの方に預けて私達に背中を向けるとその人……メローネの方だけを微動だにせず見続ける。全く動かない……まるで獲物を捕らえようとしている動物みたい。
そしてジョルノの口から出てきた暗殺チームは確か、私の両親を消したかもしれない人達だ。誰が消したかは分からないけれど、前に報告書を見たらチーム名が載っていた。っていうことはここは暗殺チームのアジトってことか。

「おまえもしかして……ブチャラティのとこの新入りか?」

メローネはジョルノを見ると驚いたような……でも怯えたような顔をして、口を抑えながら縮こまった。

「そうです。あなたを殺した新入りです。」

ジョルノは静かにそう宣言をすると、メローネへと歩み寄る。しかしメローネは歩み寄ってくるジョルノを避けるように後ろに下がって警戒をしていた。
今殺したって言った。ジョルノがこの人を殺したって……あのジョルノが……いやでも多分何か理由があったんだよね?そうじゃなかったら無意味な殺しはしないはず。

「実はずっと捜していたんですよ、暗殺チームの人間を。」

気が付けばジョルノはメローネを壁へと追いやっていた。スタンド特有のオーラがジョルノにまとわりついていて、今にも飛び出してきそう。見ていてハラハラする。
ジョルノの威圧か怖いのかは分からない。メローネはヒィって小さな悲鳴を上げていて何だか可哀想なことになっている。その辺にしてあげてとか思ってしまうけれど舌なめずりを思い出したらもっとやれとか思ってしまう。本能的に多分この人は女の子の敵だと感じる。

「大事なことだから答えてください。」

しかし怖がるメローネとは裏腹にジョルノは彼へと詰め寄ることを諦めない。間合いをめちゃくちゃ詰めるとジョルノはそのままズボンのポケットから何かを取り出して───




「あなた達のお墓を作りたいんです。……っていうところで泣きましたよね。そこまでしなくてもっていうのとそこまでしてあげるジョジョの優しさが……うっ!」
「分かる、すげえ分かる……一生着いてこうと思った……!」

あれからあのアジトで、ジョルノはお墓のパンフレットを広げながら現れたメローネにひたすらに教会に建てるお墓についての質問をしていた。
暗殺チームは前のボスの娘さんを狙って護衛をしていたジョルノ達と戦ったらしい。そして皆死んでしまったのだと教わった。
ボスのために働いても待遇は酷かった。下衆な仕事をしていたのは同情し難いってジョルノは言っていたけれど、でも私のことがあってから気になりだしたみたいで……もうすぐ命日だからと墓を作ることにしたのだとか。

「タチの悪い悪霊になられるよりはマシだよ。」

ジョルノは笑顔でそう言うと、持っていた余計なパンフレット達を花に変えて、アジトの入口にそれを置く。

「弔ったところで安らかに眠ってくれるかは分からないし、凄く複雑なんだけど……まだあそこにいるって分かったからにはボスとして導かなくてはいけない。」

死んだ人にも目を向ける。

「みんな死んだ場所がバラバラだったから、墓があればまた仲間といられるからね。時間は掛かったけど遺品とか回収出来たから……そのくらいしかしてあげられないけどメローネはそれでいいって言っていたし、この件はもう大丈夫かな。」

優しいジョルノらしい考えだ。
その気持ちは分かる。私がそうだった。たとえ死んでいてもそこにいるならどうにかしてあげたい、私はそう望んだから今がある。
それにしてもなのだけれど、

(見えるように出来るんだな……)

体を与えられなくても、そこにいれば姿を創ってあげられるということを知れたのはいいことだった。今日はジョルノのいい部分も自分の能力の向上も出来て最高だ。
でもたとえ見えるように創れたとしても、これを軽々しく毎日使うわけにはいかない気がする。私のこれは世界の秩序を乱してしまうものだ。死んだ人間が蘇ったかのように現れたら……きっと死んでもいいやって思う人間だって現れてしまうだろう。だから必要な時だけしか使えないと思う。

「私、」

アジトから出て街に戻ると、私はジョルノとウーゴとミスタさんに宣言をする。

「毎日鍛錬するのはやめる。」

ある意味今日がなかったら出せない答えだったと思う。

「どうして?」

私の宣言に対してウーゴが息を吐くように理由を求めてきた。
理由はちゃんとある。今与えられた目標だと思って頑張ろうとしていたけれど、それがそもそもの間違いだった。

「死んだ人の尊厳が消えちゃう気がして……」

死んだことで生まれたものがあるなら大人しく死んでいた方がいい。ブチャラティが言っていた言葉はある意味で私の中で今のストッパーになっていた。

「死者の日に皆を呼ぶのは自分勝手かもしれないけれど……」

秩序が乱れるならばもちろんブチャラティとアバッキオとナランチャは呼べない。でも私が使いたいと思う瞬間は最初からただ一つだった。三人が生きている皆にまた会えること、それだけだったんだ。

「任務でも使うのはちょっと違う気がして……」

上手く言えないけれど、奇跡は何度も起こしたくないっていう気持ちが生まれてしまった。人の死の尊厳を失うような真似はあまりしたくはない。鍛錬を繰り返せばきっと私達は死んだ人とまた会えるものと思ってしまって心が麻痺をしてしまう。命が儚いものだということを忘れてしまうのだけは嫌だ。

「……きみがそうしたいならそれで構わない。」

私の出した答えを素直に呑み込んだジョルノは、笑顔で私の顔を見つめながら声をかけてくれる。

「気持ちは分かるよ、ぼくときみの能力は似ているから。簡単な気持ちで神の領域には踏み込みたくないんだろ?」

命を作ってしまう能力を持つジョルノと私の見せたいものを創ってしまえる能力は確かに似ている。

「うん……」

私の場合はそこに意識があれば命を入れて創れるし……普通に動く生き物だって創れる。単純なのに何にでも出来る能力だから扱うのにもかなり慎重になった方がいい。

「でもジョルノはしょっちゅう傷口塞ぐために能力使うけど?充分神の領域に踏み込んでるよな〜!」
「きみ達にはまだ死んでほしくないですから。」
「ジョジョの愛は偉大すぎます……!」

どこか空気が沈み始めたら茶化すようにミスタさんが言って、周りはたちまち明るい空気に戻っていく。まるで気にするなと言われているみたいで凄く安心して、私まで笑顔になってしまった。
皆は多分命の重みを知っている。いっぱい後悔をしていっぱい戦って今この瞬間に辿り着いた。だからきっと分かってくれたと思う。そう信じたい。

「シニー、今日は無理矢理付き合わせてしまってごめん。」

和んでいたらジョルノが話を終わらせるように言葉を続ける。

「でもきみのおかげで彼らに安らぎを与えられたことは忘れないでほしい。離れ離れだった彼らを仲間と一緒に望む形で眠らせてあげられるのは、間違いなく今日きみが頑張ったからだよ。」

別に私が繋げたわけではない。それはジョルノが全部彼らのために用意をしたからだと思う。

「分かった。忘れない。」

でもジョルノがそう言うならば何も言わない。知らない人だしあの中には私の両親を消した人だっているかもしれないけれど……いなくなった人を恨んでも虚しいだけだから、彼らが安らかに眠れることだけを望もうと思う。
『これでいい』って言ってくれるなら、きっとそれが正解だ。もうここにはいない皆と過ごしてきたから分かるよ。

「よし!仕事も終わったし今日はシニーの家で朝までトランプしようぜ!」
「いやいや帰ってくださいよ。私明日はオフなんで流石にゆっくりしたいです。」
「奇遇だな、ぼくもオフだ。」
「ぼくもです。」
「オレも。」
「いやだから帰れよ尚更休めよ。」


どんな人達だったか分からないけれど、どうか大切な仲間と一緒に安らかに眠れますように。貴方達のご冥福をお祈りします。




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