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2017ジェイソンお誕生日おめでとうSS2


 僕が監禁されてから、もうどれだけの時間が過ぎたかわからない。
 なんとなくの感覚でそろそろ夏かな、なんて思うだけだ。
 時間を数える努力は怠っていないけれど、なにせ情報が少なすぎるし、他にも考えることがあるからそれだけに集中してはいられない。
 たとえば脱走計画とかは時間を数えるよりも優先すべき事柄だ。

 でも仮に僕の体内時計がまだマトモだとするなら、今は8月の上旬くらいなんじゃないだろうか。
 だとしたらそろそろレッドの誕生日だ。
 毎年イヤガラセみたいにメールを送ってやってたけど、どうやら今年は無理みたい。
 ごめんねレッド。
 口では悪ぶってても寂しがり屋の貴方が、実は僕のお祝いメールをちょっと楽しみにしてくれてたことなんてとっくの昔にお見通しさ。
 だから必ず何があってもメールを送るようにしてたんだけど、こんなことなら時間指定メールでも設定しておくんだった。
 でも貴方にとっては死者からのメールってことになっちゃうのかな。
 そんなことになったら貴方多分泣くよね。ひとりで。
 ディックあたりがきちんと慰めてくれればいいんだけど、あの人ってほら ちょっと鈍感なところあるからさ。
 ブルース? ブルースにそんなもの期待してないよ。有能な探偵のくせに、人の機微に疎い人だ。あるいはわかってても言葉が出てこないだけかも。そうだとしたらコミュニケーション障害。案外そっちのほうが当たってるかもね。

 とにかく僕は、そんな頼りない人たちにレッドをどうにかできるとは思ってないから、時間指定メールを諦めて口の中で呟くんだ。

「誕生日おめでとう、レッド」

 日付があっているのかわからない。今が8月かどうかも正直自信はない。だけど僕がそう思ったから、今日はレッドの誕生日だ。

 ここから出たら 来年こそは 今年の分もお祝いしてあげるからさ

 だから寂しがらないでよ、レッド

 僕の言葉は空気すら震わせず、口の中で溶けて消えた。

 ◇

 夏の暑い日差しの中、ジェイソンがふいに立ち止まって空を見上げる。突き抜けるような青い空が白い光に照らされていた。
 隣を歩いていたアルテミスが不思議そうに足を止める。

「どうした、ジェイソン」

 男は空を見上げたまま返答に迷い、やがてゆっくり口を動かす。

「……ティム?」

「すまない、聞こえなかった」

「いや……、なんでもねぇよ」

 やがてジェイソンの視線が空から外れ、足が再び動き出す。アルテミスもそれにならって歩き始めた。

「はやく帰ろうぜ、ビザロが待ってる」

「そうだな」

 アルテミスの背中が少し先に行ったのを確認し、ジェイソンがポケットから右手を出す。
 きっと気のせいだ。あるわけがない。わかっていても、無視することは失礼な気がした。

「Thank」

 故に、今はどことも知れぬ幻聴の主に視線も向けず軽く手を振り礼を言った後、仲間の背中を追いかけたのだった。
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美しくなんて死ねると思うな