休憩中、ベンチに座る原ちゃんに手招きされた。ボトルを間違えたかとそちらを見ると、なんだかいつもより疲れている様子だ。
「原ちゃん──……」
──どしたの、と訊く前に彼は私をグッと引き寄せた。「疲れちったー……ユーキチャン癒して」しがみつくようにくっつき、お腹にぐりぐり頭を押し付けてくる。
「こしょばい」
「えーそれくらい我慢してよ」
ぐりぐりぐりぐり。
背中からくっつかれる事は良くあるが、まるで甘えるようにされたのは初めてで。実家で何か遭ったのかな。こしょばいけど耐えられない程ではないし、様子がおかしいのでそのままに、どうしようかと見下ろす。前髪が……良いのか、まぁ下向いてるからその奥は見えないんだけど。
「原何やってんの!? 花宮と言い山崎と言い、もう本ッ当に二年信じらんない!!!」
「センパイうるさーい」
「ついでにナメられてる!? 知ってたけど!」
「おい原どうした、ん? お前が種田にベタベタすんのはいつもだけどこのシチュは新しくて俺キレそうだわ」
「同学年だとオッケーなの!? そういう話!?」
「マジやめてくんなーい? 頭に響く。センパイウザイ」
「え!? 扱い酷い!」
「ぅー……限界。原ちゃ、動かないで」
「ムリー」
「ッや……ぁ、やめ……んんっ」
「ヤダー」
「んぁ、ゃ、おなかッ……ぐりぐりしな、で」
「「…………」」
「も、だめ……ッ!」
耐えられない程ではない、が、こしょばいのはこしょばいのだ。ダメージ蓄積。練習中に一人爆笑なんてしたくないし、原ちゃんの様子もおかしいので頑張って堪える……けど、辛い。笑うのを我慢し過ぎて軽く涙が出て来た。嫌だ離せと原ちゃんの肩を掴むが相変わらずぐりぐり、ついには「ユーキチャンも黙ってよ」なんて言われてしまった。急に黙り込んだ先輩達が気になるが、それよりもう笑いそ、
スパーン!!!
主将が近くにあったバインダーで、私は上手く避けて原ちゃんの頭を叩く。すんっごい音したけど大丈夫かな、お陰で止まったけど。「ちょっと痛いんですけど」止まったものの、顔を上げない原ちゃんが低い声で言う。「今のは不可抗力だろ、今のは」主将も低い声で言う。そして静寂が訪れた……なんだこれ。「おい一哉、何してんだよ」「うーん」呆れ返ったまこちゃんに問われ、彼はまた頭を押し付けて来る。
「ッ動かな、で」
「えー」
「や、死ぬ程こしょばい、これ以上されたら爆笑する、やだ、も、無理ッ限界!」
「はぁ……しょーがないなー」
止まってそのままむぎゅーっと腕を絞める原ちゃん。なんとか助かった。「くすぐったかったの!?」「? はい」首を傾げて天使先輩を見るとしどろもどろしていた。「種田ちゃんに純情弄ばれた……」それをまこちゃんが鼻で嗤う。純情とは。「アレは不可抗力だぜ、誰だって弄ばれる」「だよな」こそこそ言いながら互いに肩を叩いて慰め合い、ベンチを離れる先輩達。さっきからなんだこれ。
「原、おま、ちょっ! はぁ!!?」
「ザキ煩過ぎ、帰って?」
「えっ」
「どうしたんだ、いつもと違うパターンだな。面白いからもっとグリグリしろ」
「んー……」
ずっと固まっていたザキちゃんが大きな声を上げ、原ちゃんはバッサリ切り捨てる。康くん何言ってるの、そんなに笑い堪える私面白かった? 酷いな。それはさて置き。
ザキちゃんの大声への返答以外はっきりしない原ちゃんは、未だ私のお腹にしがみついている。お腹暑いよ。ほんと、どうしたんだろう。
「どしたの原ちゃん、子宮に還りたいの?」
「「「「ブフッ!」」」」
柔らかな髪を撫でながら言うと、近くに座るいつものメンバーが吹き出す。船を漕いでた健ちゃんなんて、その拍子にベンチから転げ落ちた。
「なに?」
「いや何? って言われても色々と前のアレコレの話的にジャストピンポイントだしそんな事言うのに驚いたってかどっからその発想出て来るのそっちが何? 笑う所かお前の感性と妙な察しの良さに恐れる所かどっちだよ」
「健太郎落ち着け、こいつは往々にしてこうだ」
「急に何を言い出すんだ。見ろ、瀬戸が珍しく戸惑っているぞ」
「見えてる。だってお腹にしがみついてるから。なんだっけ……胎内回帰?」
「「「「ブフッ!」」」」
「なんで腹イコールそうなるんだよ!? 胃とか腸とかあんだろ!」
「べつに……半分くらい冗談だよ」
「半分本気かよ!!?」
「お前ら煩いんだけど。頭に響く」
一際低い声で言う原ちゃんに、ピタ、と全員静まる。頭に響く? さっきも言ってたな。
「頭痛か」
「そー、ほんっとガンガンする」
まこちゃんへ唸りながら答えるが、ただの頭痛にしては苦しそうだ。顔を上げさせて頬に触れる。温かいし少し顔が赤い、かも。くてーんと私の手に頭を預けようとする原ちゃん。いけ好かない悪戯チェシャにゃんこが、現役引退隠居生活なゆるゆるにゃんこになっている。「頭痛以外に何か辛いとかある?」出来るだけ柔らかく声を出して訊く。「ワカンナイ」頭痛以外症状は無いようだが、風邪かな。
「ちょっと離れて自分で座ってくれるかな? あと目ぇ閉じててね」
「なんで?」
「熱測るためにおでこ触るの、開けちゃだめだよ」
「はいよーん」
「ありがと。じゃぁおでこ触るよー」
前髪を乱さないよう注意しながら、隙間から手を入れ額に触れる。原ちゃんはピクリとしたが、成すが侭だ。温かい、気がするけど……私の手は元々冷たいからよく解らない。「ちょっとごめんね」小さく謝って片手で原ちゃんの目元を軽く隠し、もう片方の手で前髪を上げて目を閉じて額を合わせる……うーん。顔を離して前髪を整え終わると、まごまごと名前を呼ばれた。
「ごめん、驚かせたね」
「そうじゃなくて……んー…………なんでもない」
「そ? 原ちゃん熱あると思う。それで頭が痛いんじゃないかな」
「あー確かに熱っぽいかも? ぼーっとする……つーかそうだわ、うー」
ぽやーんと首を傾げる原ちゃん。朝練の時から少し動きが悪い気がしていたが、放課後になって熱が出たのだろうか。頑張ってたんだなと緩くよしよしする。
「まこちゃんどうしよ、原ちゃん帰っても良い?」
「 お れ が 、どうしようだっつーの! それ目立つし周りが煩ぇからやめろっつっただろーが、面倒くせぇ!」
「だって私手が冷たいし。よく解んなかったんだもん」
「はぁ…………一哉、もう着替えて帰れ。自力で帰るくれーの体力はあんだろ」
「おー」
「明日出席するとしても朝練は休めよ」
「んー……じゃーお先ー、バイバーイ」
「お大事に。気を付けてね」
後ろ手に手を振る原ちゃんは、ふらふらと体育館を後にした。
端でぽかんとしていた先輩達の中から、天使先輩がこちらに駆け寄ってきた。猛ダッシュ。「種田ちゃん俺も風邪引いた!」「もの凄い元気ですよね」下手したら今走り込みより速かったよ、何言ってるんだ。「うー……俺も風邪引ぎだい゙!」来週末から試合だよ、なんて事言ってるんだ。いつも以上に天使先輩が謎。それにしても先輩達はどうしたんだろう。話聞こえてたと思うんだけど、勝手に帰しちゃだめだったかな。
「おい、山崎が空気にあてられて見ていられない程気持ち悪いんだが。どうしてくれるんだ」
「空気?「種田ゲロ甘で怖かったんだけど。さっきからなんなのお前」
「げろあま? それよりザキちゃん顔真っ赤、既に風邪伝染った?」
「ちっ、違うから大丈夫だマジで! 俺は大丈夫なんで結構です!!!」
「そう、良かった。試合も近いですし、皆さん手荒いうがい心掛けて下さいね」
部員を見渡して言うが三年は首を縦に振らなかった。おい。にしても、他の部員に伝染らないか心配だ。原ちゃんの事も勿論心配だが、少々寝込んでも試合には間に合うだろう。
金・土と休んだ原ちゃんは週明け無事復帰した。「いやーちょっと弱ってるとこ見せちった☆」きゃぴっとされても全然可愛くないが、元気そうでなにより。
週の後半から考査一週間前で、部活はレギュラーだけでの調整になった。今週末からインターハイが始まる。予選トーナメント一回戦は土曜、明日だ。因みに女バスは日曜、上手くズレて監督はほっとしていた。強豪相手じゃないし小谷も居るし、私居なくても余裕だろうけど。
いつもより格段に楽なマネ業。散らばるボールを拾っていると後ろから腕を掴まれた。この手は……、
「まこちゃん? なに?」
「……なんでもねぇ」
「そう?」
首を傾げて見上げると手を離された。背中を見送りながら、何かあったかと考える。明日の試合の話とか?
休憩に入りボトルとタオルを渡す。全員へ渡し終わった時、ベンチに座るまこちゃんにまた腕を掴まれた。さっきの用事かな。
「なに?」
「……」
「まこちゃん?」
「べつに」
「…………はい?」
「なになに、ユーキチャンなんかやらかした?」
「花宮? どうかしたのか?」
「別になんもねぇ」
明らかに様子がおかしい。康くんはそれに気付いているようだが、原ちゃんは何故私が悪い前提なのか。口数少なく淡々と返すまこちゃんは、無表情で目が据わっている。何も無いらしいが腕は解放されないし、視線も私から外れない。何があったとこちらに注目する部員達。いつもと違う様子に三年と松本さんは戸惑い、ザキちゃんは戦き、健ちゃん康くんは興味深そうに、原ちゃんはニヤニヤしている。嫌な予感がする……そしてこの予感は外れないだろう。調整程度の練習、なのに、掴む手は熱いし汗も多い。
「ねぇ、まこちゃんもしか、」
「うるせぇ」
「……先上がったら?」
「まだ練習残ってんだろ」
明日の試合が終わるまで我慢して隠し通すつもりだろうか。だが緩く引いても、やはり腕は解放されない。この状態ならもう無理だと思うんだけど。目を伏せ、ふぅと息を吐くまこちゃんのこめかみから、つーっと汗が滴り落ちる。
「氷嚢取って来るよ」
「別に要らねぇ」
「暑いでしょ?」
「……」
「氷嚢だよ。氷マシマシ、ものすごーくきもちいよ。取って来て良い?」
「さっさと取って来い」
「うん」
「……」
「……」
「……」
「えと……まこちゃん?」
「なんだよ」
「あー………………ほら、うん……その、ね?」
「?」
「…………手、離してくれるかな」
「「「「ブフッ!」」」」
チグハグな言動が重症だと訴えているが、それでも認めないご様子。こうなると酷く強情になるから仕方無い。「何笑ってやがる」「だっておま、」「咽せただけだよね?」ザキちゃんを遮り鋭く目で制すと、皆が揃って首を縦に振る。普段なら有り得ないがまこちゃんは誤摩化されてくれた。重症だ。「触らぬ神に祟りなしでお願いします」あんぐりこちらを見る他の部員へ小さな声で釘を差し、部室で素早く氷嚢を作る。
体育館へ戻ると、膝に肘を置き頬杖をつくまこちゃんが顔を歪めていた。うねうね黒い不機嫌オーラが見える。主将にしがみつく天使先輩が半泣きな辺り、触るなと言ったのに声を掛けたのだろう。まぁ前傾姿勢は丁度良いと氷嚢をまこちゃんのうなじへ乗せ、床を睨みつける彼の前にしゃがみ目線を合わせる。
「遅くなってごめんね。天使先輩と何話してたの?」
「……」
「んー……氷嚢きもちい?」
「……」
「微妙? あー……氷少な過ぎたかなー作り直してこよーかなー、どーしよー」
「……これで良い」
「良かった。かなり暑そうだね」
「暑ぃ、死ぬ」
「死ぬ程暑いって、それ大丈夫?」
「…………頭」
「頭?」
「一番暑ぃ、死ぬ」
「そう」
まこちゃんの頭に手を伸ばす。嫌がられずに触れた額は酷く熱かった。額を合わせなくても解る。「確かに暑いね」手を降ろそうとすると嫌そう眉を顰められた。私の手が冷たくて気持ち良いのだろう。目元の汗を拭って、するりと首元に移動させる。片手だし下を向いているので解り難いが……うーん、大丈夫かな。
手を下げると、まこちゃんはゆるりと口を小さく開いた。だが音は発さず、決まりが悪そうに目線を逸らして閉じる。私は何も言わず彼の言葉を待つ。しばらく沈黙が流れた。
「……体調管理は……しっかり、やってる」
「まこちゃんその辺きっちり心掛けてるもんね」
「だが完全に防げるわけじゃねぇ」
「完全には防げない」
「ただの予防だ」
「そうだね。どんなに予防しても、残念ながらどう仕様も無い時はある」
「……」
「ん?」
「『阿呆は風邪引かぬ』」
「バカは鈍感で風邪を引いても気付けないから、だっけ?」
「俺はバカじゃねぇ」
「まこちゃんは気付かないような鈍感なバカじゃないね、確実に」
「…………誘導すんな」
「されてるの?」
「んなわけねぇだろ」
「うん、だから誘導なんてしてない。そもそもまこちゃん相手に出来ないし、やろうとも思わないよ」
「……」
「……」
「チッ、解ってんだよ…………クソが」
「ん」
立ち上がって氷嚢を取ると、まこちゃんはこれでもかと言う程長く大きく溜息を吐いた。ガタンと無言で勢い良く立ち上がった彼は主将のもとへ向かう。部員全員が固唾を飲んで注目している。
「体調悪いんで明日の試合、スタメンから外れます。急な変更ですみません」
「お、おぉ……大丈夫か? 明日の相手は完全格下だし休め、主将命令な」
「そうさせて貰えると助かります」
「来週は中間テストもあるしな」
「来週には間に合うんで」
「おう。あのさ花宮、今度からはもっと早く言ってくれ、無理して倒れられたら困る。体調不良は仕方ねぇし」
「……はい」
「とは言え気付かなかった俺らも俺らだけどね。今日はもう先上がって良いから、な?」
「……解りました、お言葉に甘えて先に失礼します。お疲れ様です」
「おう、お大事に」
挨拶を済ませたまこちゃんは、出口へ向かわずこちらへ戻って来た。「氷嚢」「もう要らないでしょ?」訊くが差し出した手を一際「貸せ」と突き出す。うーん……これは。
「開けててくれれば、」
「貸せ」
「んー……」
「さっさと貸せよ」
「……解ったよ」
折れて氷嚢と、ついでにボトルも渡すとさっさと歩いて行く。足取りはしっかりしていた。もう体調悪いって親告したんだから、装わなくて良いのに。
「本ッ当に怖かったんだけど!」まこちゃんが体育館を去って少ししてから、天使先輩が震えながら言った。
「先輩何言ったんですか?」
「もしかして風邪か、大丈夫かって訊いただけだよ!?」
「あぁ、一番だめですね」
「なんで!?」
「人間図星突かれたら困惑したり苛つきます。しかも相手はまこちゃん、更に隠し通そうとしてる時に、ですよ」
「ゔっ……」
「今の先輩みたいに」
「主将! 種田ちゃんが虐める!」
「図星突いただけだろ? お前が花宮にしたのと同じように」
「ひ、酷い!」
「ちゃんと忠告受けてたのによ。原でさえ触れなかったんだぞ、原でさえ」
「ちょ! 唐突な扱き下ろし!」
寧ろあんな時、一番触れないのは原ちゃんだと思う。
「種田上手く誘導したね」
「だからして「されてたでしょ、花宮」
「してない、まこちゃんを誘導なんて無理。本人は元々自覚あるよ、だから隠せる。解ってるって言ってたじゃん」
「いや自覚ねぇだろ、ありゃ」
「あるよ。風邪……というか熱出ると強情になるの、認めたくないだけ」
「……花宮は普段から強情だろ」
「あぁごめん、当社比三倍って感じで」
「カラダは正直なのにー? 腕離さなかったのめちゃくちゃウケたんですけど。花宮も可愛いとこあんじゃん」
「原ちゃん……ぶち殺されるよ?」
「俺はあの時お前に殺されるかと思ったっつの。目ェマジ怖かった……」
それくらい許して欲しい。『明日無理です宣言』をしてもらう前に更に強情になんてしたくなかった。あの時皆が笑ったら絶対臍を曲げていたし、だからって本人が認める前に強制的に帰せば後々面倒だ。まぁ結局は天使先輩がつついてくれやがったんですけどね。
「アレはなんだったんだ。風邪を引くと心細い的なもので良いのか? 花宮も人の子だったって事で良いのか?」
「さぁ。もうこの話は終わり、ぶち殺されるよ?」
「てかお前なんで首撫でたの? やっぱりゲロ甘で怖かったんだけど」
「またそれ……よく解んないんだけど。扁桃腺腫れてるか確かめただけ」
「山崎がやはり空気にあてられて気持ち悪かったんだが」
「ばっ! あてられてねぇよ!!!」
「風邪で心細くなって思わずユーキチャンの腕掴む花宮マジウケる」
「原ちゃんだってお腹にしがみついたじゃん」
「あぁ子宮に帰りたがって、ぐふ」
「「ブッハ!!!」」
康くんが途中で噎せて、健ちゃんとザキちゃんが吹き出した。「そんなんじゃないしー」原ちゃんが拗ねて言う。
「それこそ風邪引くと人肌恋しいっつーの? 心身共に弱っちゃうよねん☆」
「ぶりっ子で流そうとしてもお前の胎内回帰願望は無くならないぞ」
「だからそんなんじゃないっての。頭痛かったんだもん」
「いやぁだって事前のね、アノ話がなきゃ『種田何言ってんの?』で終わってたんだけどね」
「だな……原、その……悩みとかあったら訊くぜ?」
「うっわザキウザ過ぎて吐き気するんですけどー。お前らも風邪引けよ」
「なんて事言うの。インハイ予選中、一週間毎に誰かしら風邪引いてくとかやめて」
「残念だったな原、俺は不可解な行動を起こす前に倒れる」
「真顔で? なにそれこわい」
「あーお前体調不良も顔に出ねぇのか、誰も気付けねぇ「そこじゃないでしょ。倒れる前に休むなりなんなりしろよ」
「その前に倒れるんだ、仕方無いだろ」
うん? なら倒れるまで気付かないって事? それって、
「正に『阿呆は風邪引かぬ』? やっぱり康くんって、天然さん通り越してただのアホの子、ッ!……危ないよ」
「危ないどころかモロ当たったじゃん」
「ブハッ! ユーキチャン顔面ボトルキャッチ!」
「古橋何やってんだよ」
「思わずな」
「思わずでボトル投げんじゃねぇよ!」
「何故怒るんだ? 今のは完全に種田が悪かっただろ、俺はバカじゃない」
「うんバカとは言ってない、アホの子って言ったんだよ……やっぱりアホじゃん……私悪くないよ」
「種田聞こえてるから。古橋煽んないでよ」
「煽る? 事実を言ってるだけ、っと」
「おい避けるな」
「いや避けるよ、危ないってば。康くんはなんで基本鼻を狙うの? 私の鼻低くさしたいの? なんなの?」
「俺のボトル投げんなよ……」
「ザキの心配ってユーキチャン<ボトルなんだ? お前急に冷めるよねん」
「は? 何言ってんだよ、今のは種田は避けたんだし別に問題ねぇだろ?」
「そのクッソ中途半端で薄っぺらい偽善者感マジ笑えるわー」
「種田ちょっと来い」
「なに? …………んぅ、ちょ、康くん、なに?」
「鼻にボトルを当てた詫びに、低くした分を伸ばそうと思って」
「そんなお詫び要らない、摘まんで軽く引っ張ったって伸びる訳ないよ。やっぱり天然さん通り越してただのアホじゃん、紛う事無きアホだよね? ッは、離して、強くしても伸びないってば、や!」
「……素直に古橋の近くに行って、尚も煽る種田も相当なアホだよ」
「ねぇ主将、二年なんか色々怖いんだけど。胎内回帰願望って何、『種田何言ってんの?』って種田ちゃんが言ったの!? 言わないよね、俺の天使はそんな事言わないでしょ!?」
「あぁ、種田は決してお前の天使じゃないし「酷い!」決してそんな事言ってねぇ「だよね!?」……と良いなぁ」
「やめてよ主将、遠い目しないで!」
「てかこいつらフリーダム過ぎ。瀬戸は抑止力になってると見せかけてただの傍観者だし。古橋叱ろうと思ったけど、種田本人が平然とし過ぎてて解んねぇ。俺が間違ってんの? もう手に負えないわ、誰か花宮呼んで来い」
「主将しっかりして! 松本! お前同じ二年なんだからどうにかしてよ!」
「無理言わないで下さいよ、古橋以外問題視されて『花宮じゃなきゃ無理だろ』って同じクラスにされてる奴らっスよ? 俺にどうしろっつーんスか……」
「は!? 古橋が一番危ないじゃん、容赦なくボトル投げつけてたけど!? てかあいつら問題児だったの!? いや問題児だけど! って古橋以外って種田ちゃんも!?」
「そりゃ…………まぁ……」
「そりゃあって何!!?」
「おい取り敢えず誰か早く花宮連れて来い俺なんで帰しちまったんだろ……これ明日ヤバくね……?」
「「「「「主将しっかり!」」」」」