story.4

その頃"人間屋"ではシルヴィアの元から去ったロー率いるハートの海賊団と、攫われた人魚のケイミーを取り戻すために集まったルフィ率いる麦わらの海賊団と、キッド率いるハートの海賊団が集まっている。

そして、数人の奴隷が売りに出された後に会場が輝き超目玉商品のケイミーが登場した。
それを見た麦わらの海賊団は所持金2億ベリーで取り戻そうとしたが、天竜人が5億ベリーで買うと言い出し金額が足らなすぎて焦る麦わらの一味。

そんな中、ディスコが売り上げを確定する合図を出そうとする瞬間、会場の天井から勢いよく何かが降ってきた。その衝撃で複数の観客が吹き飛ぶ。

それを見た会場の人達は突然の事に驚き視線が巻き起こってる煙の中へと視線を向ける。
すると、そこから現れたのはルフィ含む麦わらの一味のクルーだった。

ルフィはステージに水槽の中に入ったケイミーを見つけると、直ぐ様救い出そうとステージへと駆け出すが、それを止めるためにハチがルフィの腕を掴んだ。
だが、ルフィの勢いは凄まじく中々止まる様子がなく、ハチ自身も気付かぬうちに服の中に隠していた4本の腕を出してしまった。

それを見た観客達は更に混乱し悲鳴を上げたり、物を投げたりしたりして批判し始めた。その事でハチはルフィの腕を離し立ち止まった。
だが、ルフィは立ち止まらずどんどんステージへと進んで行く。

そんな混乱している会場の中に一発の銃声が響き、ルフィは驚き立ち止まって振り返った。会場中の人々の視線はその発砲先へと視線を向けた。

そこに血を流し倒れていたのはなんとハチだった。打ったのは天竜人のチャルロスである。チャルロスはハチを仕留められて喜んでいる。

「ハ、ハチぃ……っ」
「むふふ〜っ、やったえ〜魚人を仕留めたえ〜」
「ハ、ハチっ…!!!」

パッパグがハチに恐る怒る近づき、ナミが声を声を掛けるが起き上がる様子はない。
それを見たチャルロスは更に喜び、観客達も安心して批判の声を上げていた。ハチの身を気にしているのは麦わらの一味達だけである。

ケイミーは水槽を叩き必死にハチに呼びかけるが、水槽の中からだと声は届かない。

未だに嬉しそうに跳ねているチャルロスを見て、ルフィは目を鋭くしてチャルロスを睨み、殺気を込めて近付いて行く。
だが、それに気付いたハチがルフィの腕を掴み引き止めた。

「ニュ〜っ、待てっ!!待ってくれ麦わらっ…!!ダメだ怒るな!!おれがドジなんだよ」
「くっ……!!」
「目の前で誰かがう、打たれてもっ…天竜人には逆らわねぇって約束だろう!!?どうせおれは海賊だったんだ。悪いことしてたからその報いだ」
「「「……」」」
「ごめんなァ…こんなつもりじゃなかったのに!!ナミに…ちょっとでも償いがしたくて…お前ェらの役に立ちたかったんだけども……!!やっぱりおれは…昔から何ってもっ…ドジだからっ!!本当にドジだなからよォっ…!!」
「はっ、ハチっ!!」
「結局迷惑ばかり掛けて…ごめんなァァ!!本当にごめんなァァ!!」



「魚めえ、打ったのにまだベラベラ喋りおってえ!!お前ムカつくえ!!」

泣きながらルフィ達に謝り続けるハチに、チャルロスがコメカミに青筋を浮かべて銃を構えた。
そんなチャルロスから守るように瞬時に反応したルフィが、構えて鋭い目付きで睨み殺気を出してチャルロスに近付いて行く。

「お前、その目はなんだえっ!!」
「やっ、やめろォ!ムギィっ!!お前ェらもただじゃ済まねェぞお!!やめてくれェェェ!!!」
「これが見えんのかえ?」

「何する気だあいつ!?」
「麦わら屋…」
「ほ、本気かっ!?」

ゆっくりチャルロスに近付いて行くルフィに、会場中の人達がルフィが何をする気か気づき焦って声を上げるが、そんなの気にもとめずにルフィはチャルロスに近付いて行く。

そんなルフィにチャルロスが弾を2発打つが、華麗に避けてどんどん近付いて行く。

「うおアアアアアアアアッ!!!!!」
「うごっ…!!!」

そして、ルフィはついにチャルロスの目前まで行き、チャルロスの腹に拳をめり込ませ、叫び声を上げて全力で叩き潰した。

チャルロスはその力の強い拳を受け、壁を突き破り遠くへと飛んで行く。最早、生きているのかすら危うい。

それを見たチャルロスの家族の者達が席から立ち上がり、心配そうに飛んで行った方を見ている。
その反対で、キッドやロー達は不敵に笑った。どこか満足気である。

そんな中から、1人の女性がお店の中に入って来た。その女性とはシルヴィアである。扉が開く音に会場中の視線が扉がある方へと向く。そこに立ってさしてはピンク色のフードを被りサングラスをつけている。

だが、その隠しきれていない胸元が空いたところから綺麗な谷間が除く程のスタイルの良さと、フードの隙間から流れるホワイトアッシュのウェーブがかかった長い髪が流れていて、直ぐに女だと分かる。

ただ、腰には双剣と2本の拳銃をさしているのを見るとどう見ても一般人ではないと分かる。極めつけは、どこかの海賊団のマークの刺青が入っているのである。ローは人間屋に来る前に会っていた為に、直ぐに誰か気づき視線を外した。

そんな沢山の視線を浴びる中、シルヴィアはお店の中に入ると、血を流して倒れているタコの魚人のハチと、風穴が空いてる壁と天井が目に入った。
そして、どう見ても普通ではない状況を見て眉間に皺を寄せてステージの上にいるディスコへと視線を向けた。

「誰だ?あいつは…!!」
「キッド、おれの記憶が正しければあの女は…!!!」


『ねえ、ディスコ?何でこんなにお店が荒れてるのかしら。こんな会場を彼が見たらとても悲しむわ』
「こ、こここれには深い訳がありましてッ!!シルヴィア様どうかあの方には…っ!!!」
『見苦しい言い訳は結構よ。』

ディスコが真っ青になりながら叫ぶ様に呼んだ名前に会場中の者が気付き、ハッと息を呑んでシルヴィアを凝視した。
そして、シルヴィアはフードとサングラスを外した。

「「「「(えっ!?本当に人間!!??)」」」」

この時、この場にいるローとディスコ以外の者の心の中の声が一致した。無理もない、彼女は本当に生きてるのか怪しいくらい人形の様に容姿が整っていたのだ。まあ、実際は白狐なのだが…。

雪のように白い肌、卵型の輪郭で小さな顔、この世界では珍しい白銀色の髪と薄い紫の瞳をしていた。白銀色の髪は腰までの長さがありウェーブがかかっていて、薄い紫色の少しタレ目気味だが大きなアーモンド型の目を縁取る長い睫毛、すっと通った小ぶりな高い鼻、ぷっくりとした形の良いピンク色の唇、神秘的でいて儚い雰囲気があり本当に生きてるのか怪しい程に人形の様に愛らしくも美しい顔立ちをしていて、彼女と同じ女性や普段女性に興味のない者でも見惚れていた。

だが、シルヴィアはそんな視線に見向きもせずに言い訳をしようとしたディスコの言葉を遮り、腰にあった2本の銃を両手に1本づつ素早く構えてディスコへと向けて発砲した。
すると、小刻みに何発も心地いい音で発砲を始めた。

__パンパンパンパン
「「「っ!!!??」」」
__パンパンパンパン
「な、なんだっ!!??」
__パンパンパンパンパンパンッ

こんなに打たれているのにディスコは倒れる様子はない。

それもそのはず、シルヴィアはわざと外しているのだから。ディスコの背後の壁にはディスコの身体を形取るかのように綺麗に風穴が何個も空いていた。

しかも、全ての弾がディスコの身体をスレスレのところで狙われているのであるため、ディスコの身体の周りには弾との隙間が弾一個分もない。
ここまでの芸当が出来るのは彼女だからである。相当な腕前を披露し、周りには驚愕やら尊敬やら感心やら恐怖やらの様々な眼差しで見られている。

だが、風穴を見たディスコは悲鳴を上げて恐怖のあまり気絶した。

『次しくじったら今度は全て当てるわよ。……って、うふふふっ、もう聞こえてないわね』


「キッド、あの女は王下七武海の中でも最も危険な男と言われているヤツの懐刀で、懸賞金は元5億6000万ベリーの超大物海賊の"白狐姫"シルヴィアだ!!何故こんな所に…!!!」
「ハッ!!まさかこんな所で本物をお目にかかれるとはな!!今日はついてるぜ!!」
「あいつが元5億超えの賞金首だと…!?面白ェ!!!」
「なっ、なななーんて超ウルトラミラクルスーパーキューティクルレディなんだぁーーっ!!{emj_ip_0834}{emj_ip_0834}{emj_ip_0834} その笑顔をおれにも向けてほしいっ!!!{emj_ip_0834}{emj_ip_0834}{emj_ip_0834}」
「な、なんて命中力だっ…!!!」

周りが様々な反応を見せる中ルフィは仲間達に天竜人てぶっ飛ばしたしまった所為で海軍が来ることに対して謝った。

そんなルフィの言葉にゾロは抜きかけていた刀を、斬り損ねたと言って刀を閉まった。
そして、ナミとチョッパーはハチに急いで駆け寄って確認した。

だが、チャルロスが白目を向いて倒れているのを見て天竜人達の怒りを買ってしまい、父親のロズワードがルフィに向けて発砲する。

その怒りを目の当たりにした客達は席から急いで立ち上がり店の外へと逃げ出して行く。
更に発砲を続けるロズワードにサンジの蹴りが炸裂し、会場の中は戦場へと変わって行く。