story.6

シルヴィアはドフラミンゴとの通話を終え、様々な反応を見せている彼等の方を振り向いた。大半が警戒をしている様子だったが。その様子に苦笑いをした。

「ね、ねぇあなた、今の人って…!!」
『うふふっ、あなたが思っている人で当たってると思うわよ?』
「王下七武海の1人で、王下七武海の中でも最も危険な男と言われているドンキホーテ・ドフラミンゴね!!あなた、彼の懐刀と言われてるけど実際には彼とはどういう関係!?」
『ふふっ、そうね彼とは大分付き合いが長いからどう説明すればいいかわからないけれど、簡単に言うと"家族"であり"恋人"よ』

麦わらの一味のナミとロビンの質問にシルヴィアがそう答えると、またしても彼等は様々な反応を見せた。警戒を強める者、怯える者、ショックを受ける者など。

「そんなァァァ!!!シルヴィアちゅわあん、そいつの恋人だなんて嘘だと言ってくれェェェ!!!おれはまだ失恋したなんて認めたくねェんだァァ!!!」
『えっ!?…あらあら、それはごめんなさいね…。でも、残念ながら本当よ。』

サンジは今まで何度も素敵な女性に恋に落ちたが、シルヴィアに出会って本物の恋に落ちたのだ。最初は見た目だが、このおっとりと柔らかくどこまでも優しそうな彼女の中身を知り、一瞬で恋に落ちたのだ。
だが、そのシルヴィアにまさかの恋人がいるというのだ。こんなに素晴らしい女性なら言い寄って来る男は沢山いるだろうが、自覚した途端に失恋するのはあまりにも悲しすぎる。少しでもチャンスが欲しいというもの。

サンジは目から大量に、まるで滝の様に流れてる涙をそのままに、シルヴィアに詰め寄った。そんな彼を見て麦わらの仲間達が呆れながら見守っているが、いつもとはどこか様子が違うサンジに戸惑いも感じていた。

「…お、おれは認めねェェ!!そいつを止めておれにしませんかァ!?シルヴィアちゃんっ!!」
『!!あらあら、どうしましょ…』
「ちょっとサンジ君!!どうしちゃったのよ!!?」
「…すいません、ナミさん!!どうやらおれ、本物の恋をシルヴィアちゃんにしちまったみてェなんだ…」
「「「「え、え〜〜〜〜〜っ!!!??」」」」
「本物の恋ィ〜〜〜〜〜!!!??」

サンジの本気の告白を聞き、麦わら一味の大絶叫がこの会場中を震わす程に響き渡った。決して冗談ではなく、本気だということを彼の真剣な表情と声を聞いてわかってしまったからだ。
シルヴィアは眉を下げ、彼の告白に困り果てていた。ここまで言われてしまっては、簡単に断ることも出来なくなってしまった。

そんな時、一人黙って聞いてられない者がいた。その者はサンジとシルヴィアの間に我慢出来ないといった感じで入り、二人を引き離した。

「おい、こいつは止めといた方がいいぞ、黒足屋!!こいつはお前には荷が重い!!」

そう、その者とはローである。ローはそう言い、鋭い目付きでサンジを睨みつけた。だがサンジは黙って引き下がる訳もなく、目を細めて鋭い目付きで睨み返した。

「あ"ァっ!!?そいつァどうゆうことだコラァ!!」
「そのままの言葉の通りだ!!お前には荷が重いって言ってんだ!!」
「だからそれがどうゆう意味かって聞いてんだよっ!!まるでシルヴィアちゃんのこと何でも知ってるかのように言いやがって!!気に食わねェ野郎だぜ!!」
「そいつは奇遇だな!!おれもお前が気に食わねェと思ってたところだ!!」

睨み合う二人は言葉を交わす度に段々目付きが更に鋭くなって行き、最終的には殺気までだし目付きだけで人を殺せる程までになった。
海軍大将がいつ来てもわからない状況の中でも、今にも戦い始めてしまいそうで、麦わらの一味とハートの一味はハラハラとしながら二人を見守っている。止めようもんなら、その人物をボコボコにする勢いだ。それ程までに二人の殺気は凄まじく、シルヴィアというただ一人の愛する女の事で二人は激しくぶつかり合っていた。

シルヴィアは突然の展開に着いて行けず、一人取り残された気分で二人を見守っていた。
だがドフラミンゴが待っているため、早く海軍本部にも行かなければならないのだ。どうしたものかと更に困り果てていた時、この状況を壊してくれる救いが現れた。


___ドッカァァン

突然鳴り響いたステージの奥から響いた破壊音にみんなの視線がそちらに向く。その事で、サンジとローのぶつかり合いも中断され、彼等の仲間とシルヴィアはホッと息を吐いた。
そして、破壊音はステージの壁を壊した時の音だったようだ。壊した壁からから現れたのは一人の巨人と、年寄りのおじいさんだった。ただ、そのおじいさんは明らかにただ者じゃなかった。彼の正体を知っている者は驚愕した。何故ならば彼は海賊王ゴールド・ロジャーの右腕とまで言われていた"冥王"シルバーズ・レイリーだからだ。

注目を浴びているレイリーは周りを見渡し、状況を把握しようとしていた。彼の目にはステージに倒れてる天竜人と、本来なら沢山の人で溢れてる席がガラガラに空いているのが目に入った。しかも、明らかに戦っていたのか席の方にも倒れてる天竜人が目に映り、武器を持って構えている者が数名いた。

「ほら見ろ巨人くん、会場はえらい騒ぎだ。オークションは終わりだな。金も盗んだし…さ、ギャンブル場へ戻るとするか」
「質の悪ィじいさんだな…金奪る為にここにいたのか?」
「あわよくば、わたしを買った者からも取るつもりだったがな。まァ、無理な話だったな…」

そう言っておじいさんは、酒が飲みたくなり手に持っている酒を飲もうとしたが、酒瓶の中味は空になっていたようで飲めずに終わった。

そして、その場は更に進みレイリーは麦わら帽子を被っている男、ルフィに目を止めた。

「その麦わら帽子は精悍な男によく似合う。会いたかったぞ、モンキー・D・ルフィ」