今日の二人はなにしてる
山姥切、と障子越しに聞こえた声に山姥切長義は読んでいた本から顔を上げた。正直言って非番の日まで逢いたくはないのだが、過去の経験から絶対にこいつは引かないと理解している。溜め息を吐くと本を机に置き、渋々部屋の障子を開けた。
「何かな偽物くん。俺も暇じゃないんだが」
「写しは偽物とは違うが、そうか。所でケーキを買ったんだが、食べないか」
そうかで済ますな!と憤りを感じつつも、山姥切国広の手元に視線を落とす。国広の手には金箔のロゴマークが印刷された白い箱が握られており、万屋で買ったのだと推測出来た。長義自身は実際に行ったことはないが、あそこは審神者のニーズに応えてか和菓子屋だけではなく洋菓子屋もあると記憶している。序でに現世に戻らなくてもいいから楽だと前に審神者が呟いていた事も思い出したが、まぁこれはどうでもいい。
「……俺とじゃなくて、お前の兄弟達と食べたらどうかな」
「兄弟達は出陣と遠征だ。そもそもお前と食べたくて買ってきたんだ。何の問題はない」
お茶はあるか?とまるで自室の様に勝手に侵入してくる写しに文句を云おうとして、けれどこいつは話を聞かない奴だったと思い出しぐっと堪えた。毎回こうだ。山姥切国広は一歩も引かず、こちらとしてもそのまま居座られるのが嫌だったので最終的に長義が折れ、何度こいつに付き合ったことか。お陰で長義は一人部屋だというのに何故か国広用の食器まで部屋に置いてある始末だ。
「偽物くんが気にせずとも、俺としては問題だらけなんだが?」
「おい山姥切。茶葉が切れかかってるぞ。今度買いに行こう」
「だからお前は俺の話が聞けないのかな!?」
……はぁ、全く。
再び溜め息を吐くと、長義は国広と向かい合うようにして座った。机には置いてあった本が下げられ、代わりに小さいホールケーキが乗せられた皿と、棚から取り出したのか急須と二振分の湯呑、それからフォークが置いてある。……自由過ぎないか、偽物くん?
まぁ、食べ物に罪はない。
仕方ないな、と長義は呟いてフォークを手に取った。
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