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「いや、俺ルークじゃねーし?約束なんて知んないって」
約束≠チてのがあるってのは知ってる。ただ、俺が知ってるこのゲームの内容は中盤ぐらいの頭までだ。因みに、主人公が断髪してそっから他のメンバーを追いかける途中でガイと合流した所までな。
「……?どういう事ですの?」
王女サマが訝しげに首を傾げる。この人はラスボスが帰った後に現れて(話を聞き付けてだろーな)安堵と共に抱きついてきた。今は応接室で数人の使用人を控えて話をしている。
「記憶がないから、自分がルークとは思えないんですか……?」
「記憶がないのは当たり前なんだってー。記憶喪失ってのは嘘ね。別人なんだから、記憶はないって。本物はダアトに居んぜ」
「……え?」
「其れにさ、わかんだろ。本物はもっと赤いって、髪の色」
赤司みたいな感じの色だと思う。性格は全然ちげーけど。つか、赤司がアッシュなら本編始まる前にラスボス倒してそうな。
ちらりと王女サマを見遣れば彼女は未だ困惑状態だった。俺も困惑してるわ。
「あー、混乱してとかじゃないから!マジなんだって!」
つっても、証拠ねーしなぁ。アッシュホンモノが来てくれたら助かるんだけど。来てくれないかなぁ。
「ルーク……済みません。わたくしったら貴方が帰ってきた事が嬉しくって……疲れているでしょうに、無理させてしまいましたわね。無理矢理付き合わせて御免なさい」
……少しは聞いてくれたっていいと思うんだけど!
王女サマの命で使用人に私室まで連れていかれる中、俺は思考を巡らせる。マジでこれからどうしよう。取り敢えず軟禁は勘弁なんで正体はバラすつもりだけど、王女サマがこんなんじゃ王サマ達にはどんな反応されるか。まぁ、話すとするならラスボスさんがいねー間だな。下手したら消されそうだし。
どのタイミングとか話すかは後に考えるとして、やっぱ証拠だよなー。髪の色合い出せば納得してくれるかと思ったら、全然だったし。ルークとアッシュ似てないと思うんだけどなぁ。
もういっそアッシュ来てくれよ。