柊迫誕



 
 
「――え、これ臣さんが作ったの?」
 部活が終わって帰ろうとしたら、臣さんによって強制的に臣さんちに連れてこられた。誕生日祝いとして秀さんから貰ったバナナマフィンの残り、家でゆっくりと食べたかったのに。内心で不満を呟きつつ、おれはダイニングに通され座って待ってろと云われたのでスマホを弄りながら大人しく待つ。そんなに時間が経たないうちに臣さんはキッチンから大皿を持って戻ってきて、おれの目の前に置く。テーブルに置かれたそれにおれは目を丸くした。色とりどりのフルーツが鮮やかに散りばめられた、ドーム型のケーキ。どこのお店で買ったの? と云いたくなるようなクオリティの高さだ。向かい側に座った臣さんはおれの驚く顔を見て満足そうに口の端を吊り上げた。ほんと、この人何でも出来るよね。……あ、だから今日おれが秀さんからマフィン貰った時顔を顰めてたのか。秀さんも何か云いたげに臣さんを見てたっけ。
「おら、早く食えよ」
「あ、うん。……ん、美味しい」
 おれが部活の休憩の時の事を思い出していると何時の間にか臣さんがケーキを切り分けていたのか、フォークと共に渡されたので受け取って一口食べる。解ってたけど、味も完璧。スポンジはふわふわで、クリームの甘さとフルーツの酸味がぴったり。もうお店でも出して売ったらいいんじゃない? ってくらいに美味しい。思わず頬が緩むおれを当然だろ、と臣さんは頬杖をついて満足そうに見ている。
「臣さん、…………ありがと」
「おう」
 おれが小声でそう云うとぶっきらぼうに返されたけど、臣さんのその口元は嬉しそうに緩んでいた。